「全世界株式はおすすめしない」とされる理由とは?メリットと投資時の心得も解説
2024年04月26日
中長期的な資産運用の手法として株式投資を検討している方のなかには、全世界株式への投資を考えている方もいるかもしれません。しかし「全世界株式はおすすめしない」と言われることがあります。
この記事では、全世界株式とはどのようなものなのか、おすすめしないとされる理由は何なのかを解説します。全世界株式のメリットや投資を行なう際の心得も紹介しますので、全世界株式を検討している方はぜひ参考にしてください。
また本記事の後半では、投資の方法の一つとして不動産投資クラウドファンディング「COZUCHI」についても紹介しています。
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全世界株式とは?
そもそも、全世界株式とはどのような投資商品を指すのでしょうか。全世界株式の特徴を見ていきましょう。
世界全体の株価に連動する全世界株式
全世界株式はその名のとおり、全世界の株式を投資対象とする商品です。さらに詳しく説明すると、世界全体の株価変動を表す指数と連動する「全世界株式インデックスファンド」を指します。
インデックスファンドとは、ある市場全体の値動きを示す代表的な指標と連動した成果を目指す投資信託のことです。複数銘柄に分散して購入でき、手軽に分散投資できる魅力があります。
また、市場の代表的な指標をベンチマークとしているので、値動きが見えやすいことも特徴の一つです。
「eMAXIS Slim 全世界株式」に見る投資先の内訳
前述のとおり、全世界株式は全世界の株式を対象としますが、「全世界」だけでは投資先がどこかわかりません。そこで、代表的な全世界株式のインデックスファンドである「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を例に、投資先の内訳がどうなっているのかを具体的に紹介します。
「eMAXIS Slim 全世界株式」の地域別構成比率(2023年3月末時点)は次のとおりです。
先進国(89.1%) | アメリカ60.6%、日本5.5%、イギリス3.8%、
フランス3.2%、カナダ3.0% など |
新興国(10.9%) | 中国3.6%、台湾1.7%、インド1.4% など |
参照:三菱UFJ国際投信「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)投資信託説明書(交付目論見書)」
各国の株式市場の実績に応じて構成比率が決まるため、現状は時価総額の大きい米国株が全体の6割を占める状況です。将来新興国が台頭することがあれば、国別の構成比率も変化すると考えられるでしょう。
また全世界株式には、日本株を含むタイプと含まないタイプがあります。日本株をすでに所有している方や海外専門で投資したい方などは、日本株を含まないタイプを選ぶと良いかもしれません。
全世界株式はおすすめしないとされる5つの理由とは
全世界株式を「おすすめしない」と主張する専門家や投資家もいます。こうした主張の根拠となるのが、次に紹介する5つのポイントです。
(1)「全世界」と言いつつ米国株の影響を強く受けるから
先ほど紹介した「eMAXIS Slim」のように、「全世界」と言いながらも現状は米国株が大きな割合を占めているのが実情です。つまり、米国株に投資しているのとあまり変わらないとも考えられます。
「eMAXIS Slim」の資産構成(2023年4月28日時点)を見ても、構成比の上位10社はすべてアメリカ企業です。次項で詳しく説明しますが、現状は米国株のみに投資したほう
良い運用実績を達成できる傾向にあります。
(2)過去実績で比較するとS&P500に劣るから
投資信託の人気商品として、アメリカの「S&P500」連動型のインデックスファンドが挙げられます。
S&P500とは、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が提供する、アメリカの株式市場における代表指標の一つです。ニューヨーク証券取引所やNASDAQなどに上場する約500銘柄から構成され、時価総額の約80%をカバーしています。
S&P500をベンチマークとするインデックスファンドは過去の運用実績が良いため、優れた投資先として語られるケースが多くなっています。
世界株式に占める米国株の割合が大きい現状では、全世界株式よりも運用実績の良いS&P500に投資すべきとの論調もあります。
(3)低成長の国や不確実性の高い新興国も含まれているから
米国株投資では成長率の高いアメリカに投資を集中できますが、各国に分散投資する全世界株式では成長率の低い国の銘柄も投資先に含まれます。そのため、前述したようにS&P500と比べると、現状の運用実績は劣ります。
全世界株式に含まれる新興国は、先進国に比べてカントリー・リスクが高く、政治や経済基盤も安定していません。そのため、重大な政治体制の変更やクーデター、投資に関わる重大な規制導入など、その国特有のさまざまなリスクが高まるおそれがあります。
米国株や先進国株への投資に比べると安定性や信頼性が劣る部分もあることから、全世界株式をおすすめしない専門家や投資家もいます。
(4)全世界に分散=リスクヘッジできるとは限らないから
ここまで説明したとおり、全世界株式は現状米国株が占める割合が高いうえに、低成長の国やリスクの高い新興国株も投資対象となっています。米国株の値動きの影響を受けやすく、投資対象となる低成長の国や新興国の政治・経済動向の影響も受けやすいといえるでしょう。
そのため、世界各国に分散投資してはいるものの、リスクヘッジにはならないとの指摘もあります。投資先の国や銘柄を分散しても結局は株式投資の範囲となるため、リーマン・ショックのような世界的な株価下落時において、損失を避けるのは難しいかもしれません。
(5)為替変動の影響を受けやすいから
全世界株式の多くは為替ヘッジが設定されていないため、為替変動に影響されやすい点にも注意が必要です。
為替ヘッジとは、為替取引や先物取引などを利用して、為替変動による円ベースでの資産価値変動を抑える仕組みをいいます。為替ヘッジありの商品は為替によるリスクを下げられますが、その分コストがかかるのが難点です。
為替ヘッジのない商品が問題になるのは、円高が進んでいるときです。全世界株式のリターンを実際に受け取る際は円に換える必要があるため、たとえ全世界株式が好調だったとしても、円高局面では円換算の利益が目減りしてしまいます。
為替変動の影響の受けやすさを懸念し、全世界株式はおすすめしないとする主張もみられます。
全世界株式にはこんなメリットもある
全世界株式は5つの理由から「おすすめしない」とされることもありますが、メリットもいくつか存在します。株式におけるアメリカ一強時代が今後も続くとは限らないため、リスクヘッジの観点からも全世界株式への投資を検討しても良いかもしれません。
全世界株式のおもなメリットは次のとおりです。
新興国の経済成長による恩恵が期待できる
前述したように、全世界株式では米国株が多くの割合を占めています。これは、現在世界経済の牽引役がアメリカだからです。
全世界に分散投資することで、低成長国や不安定な新興国の影響を受けるのがリスクと紹介しました。一方でこうした新興国などが急速な経済成長を遂げた場合、全世界株式に投資していればその恩恵を受けられる可能性もあります。
長期的なリターンが期待できる
国ごとの経済成長率を見ると先進国を中心に低成長、あるいは年によってマイナス成長を記録するケースもあります。しかし、新興国を含めた全世界の経済成長率で見れば、プラスの傾向にあります。
国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し」によれば、先進国は単年で1%台の低成長やマイナス成長という国が多い状況。アメリカも例外ではなく2023年1.8%、2024年は1.0%の成長に留まる予測です。一方、新興国ではインド・中国を筆頭に3~6%台の高い成長が予測されており、全世界では2023年・2024年とも3.0%の成長が見込まれています。
参照:国際通貨基金「IMF世界経済見通し 短期的な強靭性 続く課題 2023年7月」
短期的な運用実績で見れば米国株投資に軍配が上がるものの、長期投資を前提とするなら全世界投資も有力な選択肢と考えられるでしょう。
比較的手数料が安く、少額投資で始められる
全世界株式のインデックスファンドは、一般的な投資信託などに比べて手数料が低めに設定されているのもメリットです。全世界を対象に自動で分散投資やリバランスが図れることは独自の強みといえるでしょう。
手数料割合としてはわずかに感じる差でも、長期投資が前提だと将来の運用益に大きな差が出ます。手数料はできる限り安く抑えるほうが、効率的な資産形成ができます。
また、全世界株式は投資信託のため、少額投資でスタートできることも投資初心者にとっては大きなメリットといえるでしょう。金融機関によっては100円から投資が始められるため、初めての投資にも良いかもしれません。
難しい投資判断が必要ない
投資初心者にとって「どの銘柄を購入すべきか」という投資判断は難しく、個別株への投資はハードルが高いと感じる方も少なくないでしょう。
全世界株式であれば自動で全世界に分散投資してくれるため、自分で細かな銘柄選びや投資比率を調整する必要がありません。難しい投資判断の必要がなく、初心者でも取り組みやすいと考えられます。
ただし、株価に影響を与えるような世界情勢にアンテナを常に張っておくなど、投資の判断材料となる情報収集や勉強は欠かせません。
今後、米国株で暴落が起きるような事態があっても、全世界株式なら他国の株式である程度損失をカバーできる可能性があります。
全世界株式を検討する人が意識したい3つの心得
全世界株式への投資を検討する場合には、次に挙げる3つのポイントを心得ておきましょう。
●長期的な目線でコツコツ積み立てる
●暴落しても焦って売却しない
●投資の世界に「絶対」はないことを理解する
それぞれの心得について詳しく解説していきます。
(1)長期的な目線でコツコツ積み立てる
全世界株式のメリットは長期的なリターンを期待できることであり、短期で見れば下落する可能性も十分にあります。そもそも、全世界株式は個別株に比べて値動きが安定しているため、短期で大きなリターンは狙いづらい投資手法です。
全世界株式で資産運用を行なうのであれば、長期的にコツコツ積み立てる姿勢が重要です。分散投資によりカントリー・リスクへの備えにもなることから、長期的な資産形成との相性は良いといえるでしょう。
(2)暴落しても焦って売却しない
前述したように、全世界株式は長期的な目線で取り組むべきであり、短期的に見れば損失が出るタイミングもあります。将来的に暴落する局面があったとしても、焦って売却しないことが大切です。
初心者だとさらなる損失を恐れるあまり、一時的な下落でも売り急いでしまうことがあるでしょう。しかし、前述したように世界全体ではプラス基調にあり、一時的に下落しても長期的に見ればプラスに転じる可能性があります。短期の動向に一喜一憂せず、常に冷静な判断を心がけましょう。
(3)投資の世界に「絶対」はないことを理解する
全世界株式は一定の運用益を出していますが、今後損失が出る可能性もあります。全世界株式は個別株などに比べれば安定的なだけで、「絶対に儲かる」とは言えないことを認識しなければなりません。
金融商品には、投資資金を回収できないリスクが多少なりともあります。元本割れを避けたいのであれば預貯金、国債・地方債などを活用した資産運用を検討しましょう。ただし、ローリスクである分、大きなリターンは期待できません。
中長期の資産運用は投資商品の分散も大切
資産運用で長期的なリターンを目指すのであれば、全世界株式は有力な選択肢です。全世界株式は先に紹介したように広く分散投資が可能ですが、いずれも株式投資であることに変わりはありません。
アメリカや日本を含めて株価は世界的に連動する傾向があり、分散投資していても世界的な株価暴落が起これば元本割れのリスクは避けられないでしょう。
中長期の資産運用における分散投資を検討するなら、株式以外の投資も組み合わせてポートフォリオを組むことが得策でしょう。
幅広いポートフォリオを組むにあたって、ぜひ取り入れたいのが不動産投資です。例えば、既に株式投資を行っている方であれば、不動産投資は得られる収入の種類や価格の安定性など大きく異なる性質を持つ投資手法であり、リスク分散の観点からすると2つを組み合わせるのは理に適っています。なかでもおすすめしたいのが不動産投資クラウドファンディングを用いる方法です。
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まとめ
「全世界株式はおすすめしない」とされる場面もありますが、長期的な資産運用を考えている方にとっては有力な選択肢になるかもしれません。全世界株式に投資する際は、短期的な結果にとらわれず長期的な目線を持って、ある程度のリスクを想定したうえで臨むことが大切です。
分散投資で中長期的な運用を目指しているなら、「COZUCHI」を活用した不動産投資もあなたのポートフォリオに加えることも検討してみてはいかがでしょうか。
【監修者】
氏名:赤上 直紀(あかがみ・なおき)
保有資格:1級ファイナンシャル・プランニング技能士
主なキャリア:元銀行員。資産運用やローンを通じて、多くのお客様のライフプランニングに携わる。現在は、編集者として金融機関を中心に、ウェブコンテンツの編集・執筆業務を行う。