公務員の年金額はいくら?年金の種類・退職金の平均額について紹介

2023年08月01日

公務員として働いている自分の年金や退職金はどのくらいになるのか、正確な金額を把握している人は少ないのではないでしょうか。しかし、ゆとりのある老後生活を送るためには、自分がもらえる年金や退職金の金額を把握することが大切です。

この記事では、公務員の年金の仕組みや金額の計算方法、平均額などについて解説します。今からでも始められる効果的な資産運用方法もお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

公務員が受け取れる年金の種類

一口に年金といっても、公務員が受け取れる年金は3種類に分けられます。それぞれがどのようなものなのかを解説します。

老齢基礎年金

老齢基礎年金とは、日本に住む20歳以上60歳未満の人が加入して保険料を納付し、65歳から受給できる制度です。年金を受給するには最低10年間の受給資格期間(保険料を納めた期間や加入者であった期間)が必要で、給付額は納付期間に応じて決まります。20歳から60歳まで40年間すべて納付した場合の受給額は、令和4年度で月額6万4,816円です。

老齢厚生年金

老齢厚生年金は、会社員や公務員が加入する年金制度で、老齢基礎年金に上乗せして支払われるものです。老齢基礎年金は1階、老齢厚生年金は2階に例えられます。保険料は、複数月の給与を平均した金額を標準報酬月額の区分に当てはめ、保険料率をかけて算出され、雇用主と被保険者が折半して支払います。

従来公務員は、老齢厚生年金ではなく共済年金に加入していました。しかし、共済年金は保険料率が老齢厚生年金に比べて低く、民間企業と公平にするために2015年(平成27年)10月に厚生年金制度に統一されています。

退職等年金給付(年金払い退職給付)

共済年金には2階部分に加えて、3階部分の職域加算がありましたが、老齢厚生年金に統合された際に職域加算は廃止されました。しかし、民間企業の多くでは3階部分にあたる企業年金をもっていたことから、職域加算に代わる制度として退職等年金給付制度が創設されています。

退職等年金給付は、半分が有期年金、半分が終身年金となっており、有期年金は10年または20年支給を選べます。本人が死去した場合に終身年金は終了しますが、有期年金が残っていた場合は、家族に一時金として支給されます。

公務員は年金をいくら受け取れるのか?

公務員は年金をいくら受け取れるのでしょうか。平均額や計算方法を確認してみましょう。

令和3年度の厚生年金の平均受給月額

厚生労働省が令和3年度に調査した「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険の平均年金月額は、14万3,965円(男性16万3,380円、女性10万4,686円)でした。この金額は老齢基礎年金も含んだものです。ちなみに、老齢基礎年金の平均年金月額は5万6,368円です。

退職等年金給付(年金払い退職給付)の計算

退職等年金給付は具体的にどの程度の金額になるのでしょうか。有期退職年金を20年で受給する場合の計算式は次のようになります。

・有期退職年金:給付算定基礎額×1/2÷有期年金現価率
・終身退職年金:給付算定基礎額×1/2÷終身年金現価率

給付算定基礎額とは、標準報酬月額に一定率を乗じた付与額と利子を累積したものです。有期年金現価率と終身年金現価率は毎年10月に改訂されます。

職域加算がある場合の計算

共済年金が老齢厚生年金に統合された際に、3階部分の職域加算は廃止されましたが、それまでの間に加入していた場合は、加入期間に応じて職域加算分が支給されます。計算式は次のとおりです。

・2003年(平成15年)3月31日までの加入分:平均標準報酬月額×1.425/1000×2003年3月までの加入月数
・2003年(平成15年)4月1日から2015年(平成27年)9月30日までの加入分:平均標準報酬月額×1.096/1000×2003年4月以降、2015年9月30日までの加入月数

共済期間の加入月数が240月(20年)未満の場合は、上記の式へさらに1/2を乗じます。

年金を繰上げ受給した場合

年金の受給は原則65歳からですが、60歳まで繰り上げして受給が可能です。ただし、繰上げ受給を行なうと、1ヵ月当たり、年金の受給額は繰り上げた請求月から65歳に達する日の前月までの月数×0.4%が減額(1962年(昭和37年)4月1日以前生まれの場合は0.5%)されます。60歳から受給した場合は、65歳から受給する人に比べ、24%減額になる計算です。一度減額した年金の取り消しはできず、65歳になってももとに戻ることはないため、繰上げ受給をする際は、将来への影響をよく考えておく必要があります。

年金を繰下げ受給した場合

年金は繰上げ受給だけでなく、繰下げ受給も可能です。繰下げは66歳から最長で75歳まで可能で、繰り下げた期間によって年金額が増加されます。増額率は1年8.4%で、75歳まで繰り下げた場合の増加率は84.0%です。

公務員の退職金の平均額とは?

老後に備えるには、年金だけでなく退職金も大切です。公務員の退職金はどのくらいあるのでしょうか。国家公務員と地方公務員の平均額を紹介します。

国家公務員の退職金

内閣官房内閣人事局が2022年12月に発表した「退職手当の支給状況」によると、常勤職員として定年を迎えた場合の退職金は平均約2,106万円でした。受給者は勤続25年以上が多く、勤続年数別の平均値は以下のとおりです。

・25~29年:約1,618万円
・30~34年:約1,976万円
・35~39年:約2,300万円
・40年以上:約2,235万円

地方公務員の退職金

総務省が調査した「令和3年 給与・定員等の調査結果等」によると、一般行政職の全退職者の平均支給額は約1,530万円で、60歳定年退職者の平均支給額は約2,190万円でした。

なお、地方公務員の場合は、自治体によって退職金の金額が異なります。例えば、富山県の一般行政職の60歳定年退職者の平均支給額は約2,035万円であるのに対して、静岡県は約2,342万円で、300万円以上の差があります。

老後に必要な資金の目安について

老後に必要な資金はどのくらい必要なのでしょうか。公益財団法人生命保険文化センターが2022年に行なった調査によると、夫婦2人の日常生活費の月額平均は23.2万円でした。ただし、旅行や趣味などゆとりある生活を送るためには月額平均37.9万円が必要とされています。

つまり、ゆとりある生活を送ろうとした場合、退職金と年金だけでは資金が不足する可能性があります。不足する分は別の方法で用意しなければなりません。

公務員の老後資金形成におすすめの方法

退職金と年金だけでは老後資金が不安な場合、投資によって老後までに資産形成をしておくことも一つの手段です。公務員におすすめの投資にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、3つの方法を解説します。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後の資金不足を補うために創設された制度です。運用商品は、預金・投資信託・保険商品のなかから、口座を設定する金融機関が扱っている商品を選びます。創設当初、公務員はiDeCoの対象外でしたが、2017年の法改正から加入できるようになりました。

運用に必要な掛け金は自分で選択できますが、職業などによって拠出限度額が定められています。公務員の限度額は従来1万2,000円でしたが、2024年12月以降から確定給付型の他制度に加入する場合は2万円に引き上げられます。

つみたてNISA

つみたてNISAは、長期投資による資産形成を支援するための制度で、2018年に始まりました。運用可能な商品は、金融庁が指定した投資信託のみのため、iDeCoと比べると選択肢は多くありません。

先述のiDeCoとつみたてNISAには、いくつかの違いがあります。例えば、税制優遇について、つみたてNISAは年間40万円を上限に最長20年間の運用益が非課税になるだけであるのに対して、iDeCoは掛け金が全額所得控除される、運用益も非課税になる、受給時も控除が受けられるなど優遇制度が豊富です。一方で、つみたてNISAは途中でいつでも換金可能であるのに対して、iDeCoは原則として60歳までは途中換金ができません。

iDeCoとつみたてNISAを比較した表を作成しましたので参考にしてください。

iDeCo つみたてNISA
投資上限額 1万2,000円/月(公務員の場合)

※2024年12月以降は2万円/月

40万円/年
税制上のメリット ・掛け金非課税

・運用益非課税

・受給時に各種控除など

運用益非課税
途中換金 原則60歳まで不可 可能
運用商品 定期預金・投資信託・保険商品 金融庁が認めた投資信託

つみたてNISAと似た制度で「NISA」があります。こちらは、投資信託だけでなく株式やETFなども運用できるほか、年間上限投資額が120万円です。しかし、非課税期間は5年間と短くなっています。

なお、つみたてNISAは2024年から制度が変わります。現行では、「一般NISA」「ジュニアNISA」「つみたてNISA」に区分されていますが、そのすべてが2023年末をもって終了します。2024年からは新しいNISAとなり、「成長投資枠」「つみたて投資枠」という2つの枠が設けられ、つみたてNISAに近いのは「つみたて投資枠」です。

新しい制度では、年間上限投資額が120万円になるほか、非課税期間が無期限になるなど、より長期での資産形成を行ないやすい制度になっています。現在のつみたてNISAと新しいNISAのつみたて投資枠を比較した表を作成しましたので、参考にしてください。

つみたてNISA

(~2042年まで)

つみたて投資枠
非課税期間 20年間 無期限
年間投資上限額 40万円 120万円
非課税保有限度額 800万円 1,800万円

不動産投資

不動産投資は、不動産を購入して第三者に貸し出し、家賃収入を得る方法です。入居者が定着すれば、長期間安定した家賃を得ることができます。家賃は物価とともに上昇するためインフレに強い点もメリットです。

一方で、現物不動産投資は初期費用が多くなりがちです。そのため、ある程度貯蓄がある人に向いています。また、不動産の運用には手間がかかるほか、家賃が下落するリスクや空室が発生するリスクなどもあります。そのため、初心者向けではないかもしれません。

しかし、最近では不動産投資クラウドファンディングという仕組みが脚光を浴びています。不動産投資クラウドファンディングとは、多くの投資家から少しずつお金を集めて不動産へ投資する手法です。少額から始められることや、運用の手間がかからないことなどがメリットとなります。詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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※不動産投資が国家公務員法や地方公務員法等で禁止される副業にあたるかどうかは、ご自身でご確認をお願いいたします。

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まとめ

公務員は退職金や年金が充実しています。しかし、退職後の資産残高や生活レベルによっては生活資金が不足することも考えられます。そのため、まずは自分の退職金や年金がどの程度の金額になるのかを把握することが大切です。

老後資金が不足している場合は、iDeCoやつみたてNISA、不動産クラウドファンディングなどを活用して資産運用を始めることをおすすめします。早めに投資を始めて老後に備えていきましょう。

【監修者】

名前:金子 賢司
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。
保有資格:CFP