インフレに強い資産とは?良いインフレ・悪いインフレの特徴と併せて解説

2024年04月10日

さまざまなモノの値上げがニュースになっていることもあり、「インフレ(インフレーション)」に対して不安を感じている人も多いのではないでしょうか。

インフレ下で資産を守るには、現金や預金ではなく、インフレに強い資産を保有しておくことが大切です。

この記事では、インフレの定義や原因を解説するとともに、インフレに強い資産・弱い資産をそれぞれ紹介します。インフレに備えたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

インフレには「良いインフレ」と「悪いインフレ」がある

そもそも「インフレ(インフレーション)」とは、継続的にモノの値段が上がり、お金の価値が下がる状態のことです。例えば、現在100円で買える商品が150円に値上がりすると、100円を持っていても同じ商品は買えなくなります。

モノの値段が上がる・お金の価値が下がると聞くと、「インフレ=良くないこと」と感じるかもしれません。しかし、インフレは原因によって「良いインフレ」と「悪いインフレ」に分けられます。

ここでは、良いインフレ・悪いインフレの原因と特徴を見てみましょう。

良いインフレの原因と特徴

良いインフレは、モノの需要が高まることで発生するインフレです。

モノの需要が高まると、商品・サービスの消費が活発となり、企業の利益が向上します。その結果、消費者でもある従業員の賃金が上昇し、さらに商品・サービスが売れるという好循環が発生するでしょう。

すなわち、良いインフレには景気回復効果があるのが特徴です。加えて、日本の高度経済成長期のように、経済成長につながることもあります。

悪いインフレの原因と特徴

悪いインフレには、「スタグフレーション」と「ハイパーインフレ」の2つがあります。

スタグフレーションとは、世界情勢の悪化や生産コストの上昇などを背景に、景気が後退するなかでインフレが進行する現象です。スタグフレーションの場合、景気が後退しているため賃金は上昇せず、モノの値段だけが上がります。よって、モノが売れにくく景気がさらに悪化しやすいでしょう。

現在の日本は、悪いインフレ・スタグフレーションの状態です。新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ危機、円安などをきっかけに生産コストが上昇し、モノの値段が高い状態が続いています。

一方のハイパーインフレとは、国の財政悪化や通貨供給量の増えすぎなどによって発生するインフレです。一般的なインフレとは比にならないレベルでモノの値段が急上昇し、お金の価値が大きく下落します。ハイパーインフレは、一度発生するとコントロールがきかず、経済が混乱するでしょう。

日本でハイパーインフレが起きる可能性

世界を見ると、ベネズエラの年率268万%のインフレのように、ハイパーインフレが発生した事例はいくつかあります。日常生活が困難になるほどのハイパーインフレが、「日本でも発生する可能性はあるのだろうか?」と不安になる人もいるのではないでしょうか。

日本では、第2次世界大戦後の1945年から1949年にかけて、モノの値段が約70倍も上昇しました。この状態がハイパーインフレに該当するかどうかについては、さまざまな見方があるものの、インフレとしては極めて高い状態であることは確かでしょう。

現代の日本では、同様の状態に陥る可能性は低いとされていますが、負担にならない範囲で備えておくことが大切です。

インフレに備える際のポイント

インフレに備える際のポイントは、大きく分けて「インフレに強い資産を持つこと」と「複数の資産に分散投資すること」の2つです。

インフレに強い資産を持つ

インフレが発生すると、お金の価値が下がるため、「現物資産(実物資産)」を持っておくとよいでしょう。

現物資産とは、不動産・貴金属・美術品などのように実物があり、それ自体に価値や用途を見出だせる資産のことです。例えば、土地や建物といった不動産を所有しているなら、自分や家族の住居として利用したり、他人に貸し出したりできます。インフレでお金の価値が下がったとしても、土地や建物の利用価値は失われません。

また、日本国内でインフレが発生する場合は、「円の価値が下がる=相対的に外貨の価値が上がる」とも考えられます。したがって、現物資産のほか、外貨を保有しておくのも有効です。

複数の資産に分散投資する

一般的にはインフレに強いとされる資産でも、ケースによっては価値が落ちてしまう可能性があります。

状況の変化に柔軟に対応するには、「建物だけ」「金(ゴールド)だけ」などと資産を限定せず、特徴の異なる複数の資産に分散して投資するのがおすすめです。

インフレに強い資産・4選

ここでは、インフレに強い4つの資産について解説します。

不動産

不動産には、土地のほか、マンション・アパート・戸建て住宅などがあります。不動産はそのものに価値があるのに加え、他人に貸し出すことで、家賃収入による新たな利益も生み出せるのが特徴です。

また、インフレ下ではモノの値段が上がるため、家賃も上昇します。不動産を所有していれば、インフレが発生しても価値が失われないだけでなく、家賃上昇による利益の増加も期待できることから、インフレに強い資産といえるでしょう。

ただし、不動産投資のために不動産を購入しようとすると、初期費用だけで数百万円かかるケースもあります。まとまった資金がない場合は、金融機関から融資を受ける方法や、少額から不動産投資ができるサービスを活用する方法を検討してみてください。

不動産と同様に、金(ゴールド)も現物資産です。金は、インフレや金融危機が発生した際に価値が上昇しやすいため、インフレに備える目的で保有しておくことは有効です。

ただし、金を持っているだけでは、不動産の家賃収入のような不労所得は得られません。金で利益が得られるのは、相場が低いときに購入した金を、高いときに売却するタイミングだけです。

したがって、金を保有する場合は分散投資先の一つと考え、金とは特徴の異なる不動産投資と組み合わせるのが良いかもしれません。

外貨

米ドルやユーロといった外貨を保有しておくと、日本国内でインフレが発生した(=円の価値が下がった)際に、相対的に資産価値が上がります。

外貨の具体的な保有方法としては、「外貨預金」や「外貨建て株式・投資信託」などが挙げられます。

外貨預金とは、その名のとおり、円から外貨に交換して預金することです。預け入れたときと払い戻したときの為替レートの差により、利益を得られる場合があるでしょう。また、海外の金利は日本よりも高い傾向にある点もメリットです。

外貨建ての株式や投資信託は、円ではなく外貨ベースで運用する株式・投資信託を指します。外貨建て株式・投資信託も、外貨預金と同様に、為替レートの差によって利益または損失が発生します。

なお、保有している外貨の国でインフレが起きるリスクもあるため、外貨を保有するなら複数の通貨に分散するとよいでしょう。

有価証券

株式などの有価証券は、不動産や金のような現物資産とは異なるものの、インフレで企業の収益が向上する場合は、株価なども上昇すると考えられることから、現金のように価値が目減りせず、インフレに強い資産といえます。

ただし、すべての銘柄が同じような値動きをするわけでないため、値動きを予測するのが難しい方は、プロに運用を任せられる投資信託を活用するのがおすすめです。

インフレに弱い資産・3選

続いて、インフレに弱い3つの資産について解説します。

現金・預金

インフレが発生すると現金の価値は下がることから、現金はインフレに最も弱い資産といえます。

預金している場合でも、インフレの進行を上回る金利が付かなければ、プラスになりません。現在の日本は「超低金利」といわれるほど金利が低いため、外貨預金を除き、預金でインフレに備えるのは難しいでしょう。

保険

将来受け取る保険金の額を契約時に決める場合、契約時と比べてインフレが進んでも、最終的に受け取れる金額は変わりません。例えば、将来1,000万円を受け取ることを決めて契約し、1,000万円を受け取ったとしても、インフレが進行してしまったら、本来は1,000万円でできたこともできなくなってしまいます。

このように、インフレが発生すると保険金の価値が下がるため、保険もインフレに弱い資産といえるでしょう。

インフレ対策として保険を選ぶなら、「変額保険」が有効です。変額保険とは、運用実績によって、将来受け取る保険金や解約返戻金の額が変動する保険を指します。ただし、変額保険には元本割れのリスクもある点を理解しておきましょう。

年金

現在の公的年金は、「マクロ経済スライド」を採用しています。マクロ経済スライドとは、そのときの社会情勢に応じて、給付する年金額を自動的に調整する仕組みです。

インフレが発生したからといって、物価上昇率と同じように公的年金額を上昇させてしまうと、現役世代の負担が大きくなるでしょう。そこで、マクロ経済スライドでは、物価や賃金の上昇率ほどには公的年金を増やさないことが決められています。

したがって、公的年金では、インフレにより増える日常生活費の負担をカバーしきれません。

インフレに強い資産、不動産投資を始めたいなら「COZUCHI」がおすすめ

先述のとおり、インフレに強い資産の代表例は「不動産」です。しかし、不動産投資に興味はあるものの、数百万円のようなまとまった資金は準備できないという人も多いのではないでしょうか。

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まとめ

継続的にモノの値段が上がり、お金の価値が下がるインフレは、発生原因によって「良いインフレ」と「悪いインフレ」に分けられます。特に、悪いインフレの場合は、賃金の上昇が追いついていない状況でモノの値段だけが上がるため、日常生活への影響が大きいと考えられるでしょう。

インフレに備えるには、インフレに強い資産を持つこと・複数の資産に分散投資することが大切です。インフレに強い資産の代表例は不動産ですが、不動産投資の知識が少ない投資初心者の人や、まとまった初期費用を捻出できないという人も多いかもしれません。

そのような人は、今回紹介した不動産投資型クラウドファンディングサービスの「COZUCHI」を活用してみてはいかがでしょうか。

自分に合う方法を見つけ、できることからインフレへの備えを始めましょう。

【監修者】

名前:金子 賢司
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。
保有資格:CFP