老後資金はいくら必要?資金の貯め方・増やし方について詳しく解説
2023年08月01日
「人生100年時代」や「老後資金2,000万円問題」が大きな話題となったように、老後の生活資金に不安を抱いている方は少なくありません。
医療技術の発展や生活環境の改善により、日本人の平均寿命は延びています。厚生労働省による日本人の平均寿命についての調査(令和3年)では、男性は81.47歳、女性は87.57歳という結果でした。日本の平均寿命は世界でもトップクラスに長く、寿命の延伸にともない老後生活も長期化しています。
老後資金について考える際は、まず「自分の老後生活の資金はいくら必要なのか」を知ることが大切です。
この記事では、老後資金の目安額や、年金のみで老後資金をまかなえるのかについて解説します。老後に向けた資産形成方法についても触れていくので、ぜひ最後までお読みください。
老後資金はいくら必要?
老後に向けた資産形成を考える際は、老後の生活資金がどのくらい必要になるかを知っておくことも大切です。「老後は年金だけで生活する」というライフプランを組んでいる方も多いのではないでしょうか。
この章では、老後資金の目安額や、年金だけで生活できるのかという点について解説していきます。
老後資金の目安額とは?
公益財団法人生命保険文化センターの調査(令和4年度)によると、夫婦2人が老後に必要とする最低生活費は、月平均23.2万円となっています。この調査では、15万円未満から40万円以上までと回答に幅がありますが、「20~25万円未満」が全体の27.5%を占めており、最も回答数が多いという結果でした。
23.2万円は最低生活費のため、旅行や趣味などを楽しむ「ゆとりある生活」を送るためには、さらに資金が必要となります。同調査では、ゆとりある生活を送るために必要と考える金額は最低生活費以外で月平均14.8万円という結果が出ています。
この結果から、ゆとりある老後資金の目安額は、月平均で37.9万円ということになります。ただし、37.9万円というのはあくまで目安額のため、個人の生活環境などによって金額は前後するでしょう。
参考:「生活保障に関する調査」/2022(令和4)年度|公益財団法人生命保険文化センター
年金だけでは老後資金は足りないのか?
2021年の家計調査年報(厚生労働省)によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の実収入は23万6,576円、可処分所得は20万5,911円、消費支出は22万4,436円でした。また、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)については、実収入は13万5,345円、可処分所得は12万3,074円、消費支出は13万2,476円という結果が出ています。
可処分所得とは、個人の所得から税金や社会保険料を差し引いた所得のことで、いわゆる「手取り収入」を指します。自分で自由に使える収入であり、可処分所得内で生活費をまかなうことができれば赤字にはなりません。しかし家計調査では、無職世帯の消費支出は可処分所得を上回っており、夫婦世帯と単身者世帯のいずれの場合も生活費が赤字となっています。
年金額は、職業や納付期間、共働きかどうかなど、さまざまな条件の影響を受けるため、受給額は世帯ごとに大きく異なります。老後の収入が年金だけの場合は、毎月の不足分は貯蓄を取り崩して補填することになるでしょう。
平均寿命の延伸や社会情勢の影響を受け、年金のみで老後生活のすべてをまかなうのは難しくなっています。かつては「老後は年金生活」というのが一般的でしたが、近年はこの生活スタイルが崩れているのです。
老後資金のシミュレーション
先述の家計調査年報を参考に、夫婦のみの無職世帯と単身無職世帯の老後生活に必要な総資金額をシミュレーションしてみましょう。
老後生活費の総額は、余命年数によって異なります。ここでは余命年数25年の場合と、30年の場合を例に挙げます。
<夫婦のみの無職世帯>
可処分所得20万5,911円、消費支出22万4,436円より、毎月の不足分は1万8,525円
余命年数25年(65~90歳)の場合:1万8,525円×12ヵ月×25年=555万7,500円
余命年数30年(65~95歳)の場合:1万8,525円×12ヵ月×30年=666万9,000円
<単身無職世帯>
可処分所得12万3,074円、消費支出13万2,476円より、毎月の不足分は9,402円
余命年数25年(65~90歳)の場合:9,402円×12ヵ月×25年=282万600円
余命年数30年(65~95歳)の場合:9,402円×12ヵ月×30年=338万4,720円
上記より、夫婦のみの世帯では600万円前後、単身者の世帯では300万円前後の資金が不足する可能性があることがわかります。
また、高齢になると、医療費・介護費やリフォーム代など、何かと出費がかさみます。なかでも、介護費用は大きな出費となる可能性が高い項目です。
公益財団法人生命保険文化センターの調査(令和3年度)によると、介護期間の平均は5年1ヵ月(61.1ヵ月)、月々の介護費用の平均は8.3万円、リフォームや介護用ベッドの購入など一時的にかかった費用の合計は平均74万円という結果でした。この調査結果をもとに計算すると、一人当たりの介護費用の平均は約581万円、二人分だと約1,162万円となります。
老後に向けた資産形成では、食費や住居費、水道・光熱費だけでなく、これらの出費に備えておくことも重要です。必要な老後資金額には個人差がありますが、夫婦のみの世帯の場合は、医療・介護費用を含めて2,000万円程度を目安に貯蓄や資産運用の計画を立てるとよいでしょう。
老後資金は早めの準備が大切
「老後に向けた資産形成をいつから始めるか」について悩んでいる方もいるかもしれませんが、老後を意識した貯蓄を始めるのは「早ければ早いほど良い」といえます。
老後資金は数千万円規模で必要となることが予想されます。一朝一夕に貯めることは難しい金額のため、老後生活に向けた資産形成は早めにスタートすべきでしょう。
また、資金に余裕があれば、老後だけでなく、転職や結婚・出産などのライフステージの変化にも柔軟に対応することができます。20~30代のうちに貯蓄や投資で資産形成を始めていれば、より余裕を持って生活していけるでしょう。
老後資金の貯め方・増やし方について
老後資金の貯め方や増やし方について、具体的な方法を見ていきましょう。
つみたてNISA
つみたてNISAとは、少額からでも長期で運用できる投資方法です。年間40万円を上限に、積立投資の利益が非課税になるメリットがあります。公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)が対象となっており、投資初心者でも安心して始められる投資といえるでしょう。なお、つみたてNISAは2024年から新NISAとなり、現行制度から大きく変更される予定です。
新NISAについて詳しくは、金融庁の「新しいNISA」をご確認ください。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは私的年金制度の一つで、積み立てた金額と運用益を、原則60歳以降に受け取れる制度です。積み立てた金額は全額所得控除、運用益も非課税になるため、節税対策としても有効です。iDeCoと公的年金を組み合わせれば、老後資金をより充実させられるでしょう。
iDeCoについて詳しくは、厚生労働省の「iDeCoの概要」をご確認ください。
個人年金保険
個人年金保険は私的年金の一つです。契約時に定めた年齢まで毎月保険料を支払い、受け取り期間後は、一定期間または一生涯にわたり年金を受け取れます。保険会社ごとにさまざまなプランがあり、保険の種類や契約内容によって払込方法や受け取り方を選択できるというメリットがあります。
投資信託
投資信託とは、複数の投資家から集めた資金を、運用会社が株式や債券などに投資・運用する商品です。投資額に応じて、運用の成果が投資家に分配されます。投資のプロに運用を任せられるため、初心者にもおすすめの投資方法といえます。
不動産投資クラウドファンディング
不動産投資クラウドファンディングとは、投資家から資金を募り、集めた資金をもとにして不動産投資を行なうサービスです。一般的な不動産投資は、物件の購入やメンテナンス、運用に多額の資金が必要です。それに対し、不動産投資クラウドファンディングは少額から投資でき、リスクも抑えられるというメリットがあります。
老後のための資産形成なら「COZUCHI」がおすすめ
老後生活の資産形成には、不動産投資クラウドファンディングサービスの「COZUCHI」がおすすめです。数十億円の不動産へも1万円から投資できるため、初心者の方でも安心して投資を始められるでしょう。
個人で不動産投資をする場合は、高額の初期投資が必要となり、物件の運用や管理に専門知識が必要になります。そのため、始めるにはそのハードルの高さがネックでした。
それに対し、COZUCHIは不動産の運用はプロに一任でき、投資家の皆様は「投資後は配当の振り込みを待つだけ」という気軽さが魅力のサービスです。不動産の購入手数料や運用手数料も無料で、今後は中長期運用型のファンドもできることから、長い目で見ても安定的に不動産投資ができます。(換金の事務手数料のみ必要)
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まとめ
老後生活の資金問題を抱えている方は少なくありません。平均寿命の延伸や社会情勢の影響から、65歳以降の生活を公的年金のみでまかなうのは難しくなっています。
老後生活に向けた資産形成は、始めるのが早ければ早いほど、余裕を持った取り組みができるでしょう。ただし、日本では超低金利時代が続いており、貯蓄だけでは資産が増やせなくなっています。
そのため、貯蓄以外の資産形成の方法として、投資などの資産運用で積極的に資産を増やしていくのがおすすめです。
投資初心者の方は、まずは不動産投資クラウドファンディングなどの少額から始めることのできる投資や、つみたてNISA・iDeCoなどの非課税制度を利用して、投資に慣れることからスタートするとよいでしょう。
【監修者】
名前:金子 賢司
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。
保有資格:CFP