不動産投資におけるNOI・NOI利回りとは?重要性や注意点を解説

2024年04月10日

不動産投資において収益性を測る指標はいくつかあり、そのなかで「NOI」「NOI利回り」があります。この値を用いることで、単純な利益だけでなくコストも考慮したうえでの実際の収益性を把握することが可能です。

この記事では、NOIの解説と計算方法、目安にする場合の注意点やNOIを改善するポイントについてご紹介します。
不動産投資に興味があり、どのくらいの利益が得られるのかを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

NOIとは

「NOI(エヌ・オー・アイ)」とは、「Net Operating Income(ネット・オペレーティング・インカム)」の略で、不動産の収入から実質的な経費を差し引いた純収益のことを指します。
最初にNOIの計算方法と、もう一つの指標であるNCFとの違いについて解説します。

NOIの計算方法

NOIの値は、マンションなどの不動産の家賃収入から不動産運営にかかる費用を引いて計算します。家賃収入は、満室賃料から空室分を差し引いた数字を用います。

NOIの計算式は次のとおりです。

NOI=年間の満室時家賃収入-年間運営費-空室による損失

年間運営費に含まれるものには、以下のような項目があります。

●管理会社に支払う管理費用
●税金(固定資産税、都市計画税など)
●保険料(火災保険料、地震保険料など)
●共用部の水道光熱費
●建物や設備の修繕費用など

NOIとNCFの違い

NCF(エヌ・シー・エフ)とは「Net Cash Flow(ネット・キャッシュ・フロー)」の略で、不動産経営から得られるキャッシュフロー収益から資本的支出を差し引いたものをいいます。
資本的支出とは、不動産の修理や改良を行なうことで物件の資産価値や耐久性を高めるための支出です。例えば、避難階段を取り付けるための工事費用、防臭効果のあるグレードの高い壁紙に張替えるための費用などがあります。

NOIの計算で用いる年間運営費には、資本的支出は含まれません。これらも控除したものがNCFということになります。

NOI利回りは投資判断に重要

「利回り」とは、投資額に対してどれぐらいの割合で利益が得られるのかを示す数値のことです。そのため、NOI利回りは不動産の投資判断を行なう際に参考にする重要な値の一つです。

ここでは、投資判断においてNOI利回りが重要である理由と、実際にどのくらいの数値を目安にすれば良いのかを解説します。

NOI利回りは表面利回りより実態に近い

利回りにはさまざまなものがあり、通常物件の情報に記載されているのは、常に満室であると仮定して、さらにランニングコストを考慮しない「表面利回り」であくまでも表面的な数字に過ぎません。

それに対してNOIを用いた「NOI利回り」では、より実態に近い利回りを算出できます。

表面利回りとNOI利回りの違いは以下のとおりです。

表面利回り:年間収入÷物件価格×100
NOI利回り:(年間家賃収入-年間運営経費-空室による損失)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100

表面利回りとNOI利回りの具体例

例えば、以下のような物件の表面利回りとNOI利回りを計算してみます。

家賃収入(1ヵ月あたり月):10万円
年間運営経費:40万円
購入価格:1200万円
購入経費:50万円
空室期間:1ヵ月

表面利回り=120万円÷1200万円×100
=10%

NOI利回り=(120万円-40万円-10万円)÷(1200万円+50万円)×100
=5.6%

この物件の表面利回りは10%、NOI利回りは5.6%となりました。

このように、表面利回りは年間収入を物件価格で割った単純な計算方法ですが、NOI利回りでは空室や経費も考慮するため、実態に即した現実的な数字だといえます。
複数の物件を比較するとき、表面利回りが高い物件でも、NOI利回りで比べてみると収益性の順位が変わってくることがあるため注意が必要です。

実際に不動産投資を始める際は、詳しく調べてNOI利回りを試算してみるとよいでしょう。

NOI利回りの目安

NOI利回りの目安は、土地代を含んだ物件で4~6%、建物のみで7~8%ほどといわれています。
ただし、物件の種類や立地、状況、築年数などによって空室率や運営費用が異なるため、NOI利回りだけでなく、ほかの条件も調べてよく検討することが重要です。

NOIの注意点


NOI利回りは実際の収支から計算されますが、たとえ目安を超えていたとしてもタイミングや条件によっては注意しなければならないポイントがあります。特に注目すべき点は以下の3つです。

●新築物件のNOI利回りは、想定値である
●NOIは現在の数値に過ぎない
●NOIが高い=優良物件ではない

それぞれ詳しく解説します。

新築の場合は想定値になる

NOIは過去の実績を用いて計算しますが、新築物件の場合は当然ながら実績がないため、推定値になります。正確な数値がわからないので、場合によってはNOI利回りと実状が異なってしまうこともあるかもしれません。

新築物件のNOIを求める際は、近隣の同じような物件などから諸費用や空室率を参考にして、推計する必要があります。
不動産・住宅情報サイトなどでも都道府県別や地域別の空室率が調べられる場合があるので、そちらをチェックしてみるのもよいでしょう。

NOIは現在の数値に過ぎない

NOIは現時点での数値をもとに計算するものです。空室率が上がったり、入居者募集の広告費や想定外の修繕などの諸経費がかかったりするとNOIは下がります。
将来性が考慮されているわけではなく、経済情勢などにも影響される可能性があるため、あくまでも目安としてとらえ、NOIだけに頼り過ぎないことが大切です。

NOIが高い=優良物件ではない

NOI利回りが高ければ収益性が高い物件ではありますが、だからといって必ずしも投資すべき優良物件というわけではありません。

NOI利回りが高い物件は、価格が安いことが多いです。安く購入できる理由として、騒音や振動、日当たりの悪さなどで周辺が好ましくない環境であったり、事故物件であったりなど、条件が良くないことがあります。こうした物件では、入居状況が安定しない可能性があるため、収益が下がってしまうかもしれません。

NOIが高い物件でも、よく調べてみると上記のような高いリスクが潜んでいる場合もあるので、それだけで判断するのは危険です。同様の物件と比べて価格が大幅に低い物件にも注意しましょう。
立地や建物、周辺の状況も十分にチェックしてから購入することをおすすめします。

NOI利回りの計算精度を高めるには

NOI利回りは単に現在の数値に過ぎないとお伝えしました。ただし、その精度をできるだけ高めることで、当初の見込みと購入後の差を少なくすることができます。
ここからは、NOI利回りの計算精度を高めるための方法を解説します。

空室率は過去の履歴を参考にする

NOI利回りで年間家賃収入を計算する際は、空室率を考慮するのがポイントです。空室率が高いほど家賃収入が少なくなってしまうからです。

空室率は都道府県や物件によっても差があるため、実際には管理会社に過去の空室率を確認してみるとよいでしょう。

また、物件は築年数が経過するにつれて価値が下がり、賃料も下落する傾向があります。そのため、同一エリアの築年数が古い物件を参考に、将来の家賃下落も考慮しておきましょう。

経費を正確に把握する

火災保険料や管理費、固定資産税などの経費は自分でも調べられるため、正確な数値を用いて計算できます。
突発的な費用については調べるのが難しいため、管理会社にどれくらいになるのか確認しておきましょう。

調べられる経費はできる限り実質的な数値に基づいて計算すると、NOI利回りもより現状に即した値になります。

NOIを改善するポイント

NOIは「年間の家賃収入-年間運営経費」なので、NOIを改善するにはいかに家賃収入を増やし、経費を抑えるかがポイントです。

付加価値を高めて家賃収入を上げる

家賃収入の維持には、なるべく空室の期間を作らないことが大切です。
しかし、空室率の高さが原因でNOIが低い場合には、物件のリフォームなどを行ない、付加価値を高めて家賃を高く設定する方法があります。
近隣の競合物件をリサーチして、無料インターネット・無料Wi-Fiを導入する、宅配ボックスの設置など、設備を充実させて差をつけるのもおすすめです。

また、例えば単身の女性向けにセキュリティを強化するなど、男性か女性か、単身者かファミリー向けかなど、ターゲットとなる入居者に合わせて無駄のないリフォームを行なうとよいでしょう。

経費を見直す

NOIは、経費率が高い場合にも低下するため、経費の見直しが重要です。

例えば、オーナーに代わって不動産の管理業務を委託するために管理会社に支払う管理委託手数料は、一般的には家賃収入の5~8%といわれています。しかし、管理会社によっても異なるため、複数から見積もりをとって内容と費用を比較したうえで、管理費の安い会社を選ぶとよいでしょう。

入居者募集のチラシや不動産情報サイト・情報誌への掲載などに関わる広告費も、見積もりや媒体の変更など見直せる部分がないかチェックしてみるのがおすすめです。
その他保険料や修繕費なども比較検討して経費削減に努めることで、NOIを改善できます。

COZUCHIはプロが厳選した物件に投資できる

NOIは投資判断を行う上で重要な指標ではありますが、一概にNOIが高い物件が良い物件といえるわけでも無いため、不動産投資初心者の方にとって物件選びは難しい部分もあるかもしれません。そのため、「興味はあるけれど、どんな物件に投資したらいいか分からない」などと悩む方も多いでしょう。

不動産投資クラウドファンディング「COZUCHI」では、プロが選んだ物件に投資が出来るため自身で物件選びを行う必要がありません。また、投資したあとの運用もプロに任せられるため、不動産投資初心者の方におすすめです。

COZUCHIなら、金額面から個人での投資が難しい都心のオフィスビルや、ホテルなどにも投資ができます。また、1万円から始められる短期運用型と10万円から投資ができる中長期運用型があります。
短期運用型では高いリターンを目指すことができ、中長期運用型では定期的な配当を目指すことができるなど、目的や予算に合わせた投資の選択が可能です。

ファンド投資の取引はすべてインターネット上で完結できるため、忙しい方でもスキマ時間を利用して手軽に投資ができます。

不動産投資を始めてみたい方は、ぜひ以下のページからチェックしてみてください。

 
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まとめ

投資額に対してどれほどのリターンがあるのかをリサーチすることは、不動産投資ではとても重要です。

「NOI」は不動産の年間収入から諸経費等を引いた純収益のことで、「NOI利回り」とはNOIを不動産取得費で割った、不動産の収益性を表す指標です。

利益性を表す指標はこれら以外にもいくつかあるため、状況に応じた試算を行なうようにしましょう。

気になる物件が見つかった場合は、今回ご紹介した計算方法を参考にじっくり検討してみることをおすすめします。

【監修者】

名前:齋藤 彩(さいとう あや)
所有資格:AFP(Affiliated Financial Planner)、薬剤師免許
おもなキャリア:
急性期総合病院において薬剤師として勤める中、がん患者さんから「治療費が高くてこれ以上治療を継続できない」と相談を受けたことを機にお金の勉強を開始。ひとりの人を健康とお金の両面からサポートすることを目標にファイナンシャルプランナーとなることを決意。現在は個人の相談業務・執筆活動を行っている。