【初心者必見】現物不動産投資とは?仕組みやメリット・デメリットについてわかりやすく解説

2024年06月06日

少子高齢化が進み公的年金制度への不安が高まるなか、安定的な収入が得られることや生命保険代わりとしても活用できる現物不動産投資が人気を集めており、副業として始めたいという方もいるのではないでしょうか。しかし、不動産は高額で、ローンを利用することも多く、初心者が始めるには勇気が必要なのも事実です。

この記事では、現物不動産投資とはどのような投資方法なのか、不動産投資の仕組みやメリット・デメリットなどを解説します。

現物不動産投資とは?

現物不動産投資とはマンションやアパート、戸建て住宅などの不動産物件を購入して運用することで収入を得る投資方法です。不動産投資には、不動産を人に貸し出して家賃収入を得る方法と、安く購入した不動産を高く売却して利益を得る方法があります。

投資した不動産が利便性などの高い地域にある場合は、収益性が高く長期的に利益が見込めるでしょう。しかし、不動産投資もほかの投資と同じようにリスクがあるため、知識を身に付けたうえで運用することが大切です。

不動産投資の仕組み

不動産投資で利益を得る方法には、インカムゲイン(Income Gain)とキャピタルゲイン(Capital Gain)の2種類があります。それぞれの仕組みを詳しく解説します。

インカムゲイン(家賃収入)

インカムゲインとは、資産を保有することで得られる利益のことです。株式の配当金や銀行預金の金利、債券の利子などがインカムゲインにあたります。不動産投資では、賃料収入から管理費や修繕費などの経費とローン返済額を差し引いた、利益のことを指します。

インカムゲインは、不動産を手放すことなく定期的・継続的に利益を得られる点が特徴です。家賃は物価のように毎月変動しないため、他の金融商品よりも景気変動の影響を受けにくいといわれます。

キャピタルゲイン(売却益)

キャピタルゲインとは、資産の価格変動によって得られる利益のことです。不動産投資では、不動産を購入価格以上で売却することで得られる利益のことを指します。例えば、2,000万円で購入した不動産を3,000万円で売却できた場合は、1,000万円のキャピタルゲインが得られます。

不動産価格が上昇しているときや人気の高いエリアでは、キャピタルゲインが期待できるでしょう。しかし、現在不動産投資では、キャピタルゲインを狙うよりもインカムゲインにより収益を得るケースが主流です。

現物不動産投資のおもな種類

不動産投資にはさまざまな種類がありますが、代表的な種類について詳しく説明します。

一棟投資(アパート・マンション)

一棟投資とは、マンションやアパートを一棟丸ごと購入し、全室を賃貸物件として運用する方法です。初期費用や修繕費は高額ですが、投資規模に比例して大きな収益が期待できる点が特徴です。また、入居者が定着すれば、長期的に安定した利益を得られます。

しかし、一棟投資は多額の費用がかかることなどから不動産投資のなかでも難易度が高く、初めての不動産投資には向いていません。不動産投資ローンを利用するにしても、ある程度の頭金が必要となるため上級者におすすめです。

区分マンション投資

区分マンション投資は、マンションの部屋を購入し、賃貸物件として運用し家賃収入を得る方法です。一棟投資よりも物件価格が安いため、金融機関のローンも通りやすいでしょう。

部屋のタイプは、単身者向けワンルームとファミリータイプがあります。ワンルームマンションは初期費用が安く売却もしやすいため、初心者におすすめの不動産投資方法です。

戸建て投資

戸建て投資は、戸建て住宅を購入し、賃貸物件として貸し出すことで家賃収入を得る方法です。日本では戸建て住宅に住みたいと考える人が多く、ファミリー層から安定した需要があります。子どもを転校させたくないと考える親も多く、戸建て住宅の入居者からは長期の家賃収入が見込めるでしょう。

その他の不動産

その他の不動産投資には、以下のものがあります。

・シェアハウス
シェアハウスは、リビングやダイニング、台所、浴室などは共有で、入居者ごとに個室があるタイプの共同住宅です。

・コインランドリー
すでに所有している土地にコインランドリーを設置して収益を得る方法です。

・駐車場
土地を月極駐車場やコインパーキング用に整備して利用料を得ます。初期費用がかからないため、土地を多くもっている人におすすめです。

現物不動産投資の6つのメリット

不動産投資には多くのメリットがありますが、そのなかでも代表的な6つのメリットについて説明します。

比較的安定した資産運用ができる

不動産投資は、賃貸物件の入居者が定着すれば、安定した家賃収入が期待できます。空室が出たとしても、同時にすべての入居者が出ていくことは少ないため、収入が完全になくなることは少ないでしょう。不動産の運用は管理会社に委託でき、入居者の募集や設備管理などを自らが行なうことなく運用できます。収益が見込める物件を手に入れれば、将来の収入も予測しやすいでしょう。

節税効果が期待できる

不動産投資をすると、所得税を節税できます。不動産所得は、給与所得や事業所得など、ほかの所得と損益通算が可能です。損益通算とは不動産所得が赤字の場合に、給与所得と不動産所得を相殺して課税総所得を計算することです。不動産購入時には多くの経費がかかりますが、かかった費用を損益通算で相殺することで総所得が減り、所得税額が抑えられるでしょう。

住民税も所得によって決まるため、損益通算により所得を抑えた場合は住民税も低くなり、2つの節税効果を期待できます。

相続税対策になる

相続の際に同額の現金と不動産があるとしたら、不動産を相続すると、現金よりも相続税が安くなる可能性があります。現金は相続する金額がそのまま評価額になり、現金1,000万円の財産評価額は1,000万円です。

不動産の場合、土地は路線価、建物は固定資産税評価額で評価され、土地は8割ほど、建物は7割ほどの評価になります。建物を賃貸で貸している場合は、さらに評価額が下がるため、現金よりも不動産を相続する方が相続税は低くなるでしょう。

生命保険の代わりにできる

万が一のときに備えて生命保険に加入している人も多くいますが、不動産投資は生命保険の代わりにもなります。不動産投資ローンを組む際には、団体信用生命保険(団信)に加入するのが一般的です。団体信用生命保険は、不動産の所有者が死亡・高度障害状態になった場合に、ローンの返済が全額免除される保険です。

残された家族は不動産を相続して、引き続き賃貸で収入を得られます。また、ローン返済をする必要がなくなっているため、不動産を売却して利益を得ることも可能です。

私的年金を形成できる

不動産投資をしていれば本業を定年退職したあとも、私的年金のように安定した家賃収入を得られます。

日本では少子高齢化が進んでおり、年金を受け取る高齢者は増えているにも関わらず、年金制度を支える若い世代は少なくなっているのが現状です。そのため、将来の公的年金は現在よりも減ることが予想されています。公的年金額だけでは生活費が不足しやすいため、副収入があると安心です。

インフレ対策になる

不動産は形のある実物資産のため、現金や有価証券と比べて物価変動にも強い点が特徴です。インフレが起きた場合、現金や有価証券などの資産価値は下がりますが、不動産の資産価値は物価とともに上昇します。

インフレとは反対のデフレになった場合でも、家賃が大幅に下落することは少なく、収入を維持しやすいでしょう。このように、不動産投資は景気変動の影響を受けにくく、長期運用向けの投資方法です。

現物不動産投資にはリスクやデメリットも

不動産投資にはメリットだけでなく、デメリットもあります。不動産投資にどのようなデメリットがあるかだけでなく、回避方法も解説します。

維持費用がかかる

マンションやアパートなどの建物で賃貸経営するためには、維持・管理費用がかかります。維持費として挙げられるのは、固定資産税や火災保険、管理会社の管理手数料、共用部の掃除費などです。

維持費は入居者の有無に関係なく発生します。特に、水回り設備は十年もすると修繕や入れ替えが必要になるでしょう。さらに、突発的な修繕が発生する可能性もあることから、家賃収入の一部を積み立てておく必要があります。

空室のリスクがある

物件の入居者がいない間は、家賃収入を得られません。投資不動産が1つしかない場合は、空室期間には収入がゼロになります。そのため、空室期間をなるべく減らして入居率を上げることが大切です。

空室リスクを減らすためには、賃貸需要の高い立地の物件を選ぶ、建物をリノベーションして需要に合う設備にする、顧客満足度が高い管理会社に管理を委託するなどの対策があります。空室リスク対策を施すためには費用がかかるため、効果とのバランスを見て検討しましょう。

◇家賃滞納のリスクがある

入居者が家賃を滞納すると、空室よりもやっかいな状態になるため注意が必要です。家賃収入が得られない点は空室リスクと同じですが、滞納者から家賃を回収するためには労力がかかります。また、滞納者が物件に住み続けているため、新たな入居者の募集はできず、簡単には退去させることもできません。

入居者の家賃滞納を防ぐためには、入居審査を信頼できる管理会社に委託しましょう。入居者に連帯保証人をつけるほか、家賃を自動引き落としやカード払いにすることも効果的です。

家賃が低下するリスクがある

不動産は新築になるほど人気があるため、築年数が浅いうちは高い家賃設定でも入居者は決まりやすいでしょう。しかし、築年数の経過とともに家賃は低下する傾向があり、1年経つと家賃は1%下落するといわれています。

立地が優れている物件や、建物の管理状態が良好であれば築年数の影響を受けにくく、家賃の下落が起きにくいでしょう。部屋や設備の老朽化が気になる場合は、リフォームすると家賃低下を抑えられます。

災害によるリスクがある

地震や台風、火災などの災害によって、不動産が大きなダメージを受ける可能性があります。日本だけでなく世界的に自然災害は発生しており、いつ・どこで甚大な災害が発生してもおかしくない状態です。

災害に対する備えの一つは、火災保険や地震保険など保険に加入することです。
また、購入する物件がどのような災害で、どの程度の損害を受ける可能性があるのか、津波などの水害予想はどれくらいなのかなど、自治体が公表するハザードマップで確認できます。不動産を購入する前には忘れず確認しましょう。

まとめ

現物不動産投資では不動産を購入する必要があり、初期投資が高額になりがちです。また、物件を見極めたり、運用したりする専門知識も必要であるため、初心者は失敗の可能性を恐れて、手を出せないこともあるでしょう。

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【監修者】

名前:金子 賢司
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。
保有資格:CFP