復興特別所得税とは?税率・計算方法や支払い方法などを解説

2024年05月20日

復興特別所得税は、所得税額に対する付加税で不動産の投資・売却などで所得が発生したときにかかる税金の種類です。復興特別所得税には、いわゆる普通の所得税などと比べて仕組みや計算方法、支払い方などが「わかりづらい」と感じられることが多い傾向があります。

この記事では、復興特別所得税の概要を確認したうえで、納税義務者・計算方法・支払い方法などを詳しく解説します。復興特別所得税について詳しく知りたい方は、ぜひ記事を参考にしてください。

復興特別所得税とは

復興特別所得税とは、復興特別税の一つです。ここでは、復興特別税の概要などに触れながら、復興特別所得税がどういうものかを解説していきます。

復興特別税と復興特別所得税の概要

復興特別税は、2011年3月11日に起きた東日本大震災の復興財源を確保する目的で設けられた期間限定の課税措置で。2011年12月2日に交付された「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律第117号:復興財源確保法」」に基づき、所得税・法人税・住民税で復興特別税が加算されることになりました。

この所得税に対して加算される復興特別税のことを、復興特別所得税と呼びます。

復興特別所得税が生まれるまでの流れと背景

未曾有の大災害である東日本大震災の発生を受け、復興財源の議論が始まったのは、災害発生から約1ヵ月後の「第1回東日本大震災復興構想会議」でのことです。

五百旗頭真議長が復興財源として「震災復興税」を提起し、「国民全体での負担を視野に」という話をしたものの、初回の会議では否定的な意見もかなり多く、賛否が分かれる形となりました。

しかし、2011年10月の政府税制調査会の「税制改正大綱」には復興税が盛り込まれることが決まり、翌月には復興財源確保法が成立することになります。こうした流れから、復興特別所得税は東日本大震災の発生から8ヵ月ほどで生まれた税であるといえます。

そして、2011年の12月2日に復興財源確保法が交付となり、2013年1月1日から復興特別税が課税されることになりました。

参考:国税庁 復興特別所得税関係(源泉徴収関係)

復興特別所得税の課税期間

復興特別所得税は、2013年1月1日~2037年12月31日の所得税に上乗せして徴収される特別税です。なお、同じ復興特別税である復興特別法人税は、代替財源を確保する目処が立ったなどの理由から、2014年3月末で廃止されています。

復興特別所得税の納税義務者と課税対象

復興特別所得税でも、所得税などと同様に納税義務者と課税対象が決まっています。

復興特別所得税を納税する人(納税者)

所得税を個人で納める義務がある人には、通常の所得税と併せて復興特別所得税も納める義務があります。会社員などの給与所得者の場合、会社から支払いを受ける給与などから復興特別所得税が源泉徴収されることになります。

個人の納税義務者と給与所得者などの違いは、国税庁の以下ページを確認してください。

参考:国税庁 個人の方に係る復興特別所得税のあらまし

復興特別所得税の課税対象と基準所得税額

個人の場合、2013~2037年までの各年分の基準所得税額が課税対象になります。基準所得税額とは、所得税額から税額控除を差し引きした金額のことです。

参考:国税庁 No.1000 所得税のしくみ
参考:国税庁 個人の方に係る復興特別所得税のあらまし

基準所得税額は、国税庁が示す以下の表のとおり、居住者(非永住者以外の居住者・非永住者)・非居住者の区分によって詳細が変わります。

参考:国税庁 個人の方に係る復興特別所得税のあらまし

復興特別所得税の払い方・税率・計算方法

では、復興特別所得税とは、どのくらいの金額をどのような方法で払うものなのでしょうか。ここでは、復興特別所得税の払い方・税率・計算方法を解説します。

復興特別所得税の払い方

復興特別所得税は、所得税とセットで徴収されるものです。そのため、個人であれば、確定申告後に所得税と一緒に納付することになります。一方で会社員などの給与所得者の場合は、所得税と一緒に源泉徴収されます。

こうした特徴から、復興特別所得税の税率や計算式などにも、所得税が関係してくることになります。

参考:国税庁 復興特別所得税の源泉徴収のあらまし(平成25年1月以降の源泉徴収)

復興特別所得税の税率

復興特別所得税の税率は、個人の場合は基準所得税額の、給与所得者など源泉徴収される場合は源泉徴収の対象となっている所得税額の2.1%相当であり、通常の所得税率と合わせた合計税率によって課せられます。合計税率は以下のとおりです。

合計税率(%)=所得税率(%)×102.1%

なお、2015年以降の所得税率には、5~45%までの7区分があります。

参考:国税庁 No.2260 所得税の税率

例えば、課税対象の所得金額が200万円の場合の所得税率は10%であることから、合計税率は以下のとおりになります。

合計税率=10%(所得税率)×102.1%=10.21%

納付すべき所得税および復興特別所得税の額

源泉徴収される場合の「所得税+復興特別所得税」の金額は、以下の計算式で算出できます。

支払金額等×合計税率(%)= 源泉徴収すべき所得税および復興特別所得税の額

算出した所得税および特別復興所得税の額に1円未満の端数が出た場合、端数は切り捨てることになります。例えば、依頼した仕事に対する報酬として22万9,980円を支払った場合、源泉徴収すべき所得税および復興特別所得税の金額は、所得税率が10%の場合、以下のとおりです。

229,980円×10.21%(合計税率)=23,480.958円(算出税額)⇒22,480円(端数切り捨て後の源泉徴収額)

参考:復興特別所得税の源泉徴収のあらまし(平成25年1月以降の源泉徴収)

復興特別所得税の確定申告と納付遅延

まず、大部分の給与所得者は、給与を支払う企業側が行なう年末調整で所得税額が確定し、納税も完了することになります。この条件に該当すれば、給与所得に対する特別復興所得税に関しては、自分で各種手続きをする必要はありません。

一方で、国税庁が示す以下条件に該当する給与所得者や個人事業主などの場合、自分で確定申告を行ない、所得税および特別復興所得税を納付する必要があります。

1.給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
2.1ヵ所からの給与支払いを受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超えている人
3.同族会社の役員などで、その会社から貸付金の利子や資産の賃料などを受け取っている人
4.源泉徴収義務のない相手から給与などの支払いを受けている人 などの7条件

給与所得者における確定申告が必要かどうかの条件や、確定申告の手続きについては、国税庁の以下ページを参考にしてください。

参考:国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
参考:国税庁 No.2020 確定申告

復興特別所得税における確定申告の概要

確定申告とは、毎年1月1日~12月31日までの1年間で生じた全所得金額と所得税および復興特別所得税などの額を計算し、申告期限までに申告書を提出することで税金の精算をする手続きのことです。

確定申告は、例年2月中旬~3月中旬に実施されています。2023年分については、2024年2月16日~同年3月15日までの申告が必要です。

参考:国税庁 所得税の確定申告

復興特別所得税を期日までに納付できない場合

所得税および復興特別所得税を期限までに納付しなかった場合、延滞税がかかることになります。延滞税として加算される金額は、以下のとおりです。

●【納期限の翌日から2ヵ月経過する日まで】
「年7.3%」もしくは「特例基準割合+1%」のいずれか低いほう
●【2ヵ月を経過した日以降】
「年14.6%」もしくは「特例基準割合+7.3%」のいずれか低いほう

なお、2021年1月1日以後に対応する延滞税の計算では、特例基準割合のところに延滞税特例基準割合が当てはめられます。

国税庁のサイトでは、特例基準割合と延滞税特例基準割合を以下のように解説しています。

【特例基準割合】
特例基準割合とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1パーセントの割合を加算した割合をいいます。

【延滞税特例基準割合】
「延滞税特例基準割合」とは、各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合に、年1パーセントの割合を加算した割合をいいます。

なお、申告期限である3月15日が日曜日の場合はその翌日の3月16日、土曜日の場合はその翌々日である3月17日までに納付しなければいけません。

引用:国税庁 No.9205 延滞税について

まとめ

今回は、復興特別税の一つである「復興特別所得税」について解説しました。

復興特別所得税は、普通の所得税と一緒に申告・納付する税金です。所得税・復興特別所得税を期限までに納付しなかった場合、延滞税がかかります。確定申告が必要な人は、必ず期日までに申告・納付を終わらせるようにしてください。

■監修者

名前:齋藤 彩(さいとう あや)
所有資格:CFP(Certified Financial Planner)、1級FP技能士、薬剤師免許

おもなキャリア:
急性期総合病院において薬剤師として勤める中、がん患者さんから「治療費が高くてこれ以上治療を継続できない」と相談を受けたことを機にお金の勉強を開始。ひとりの人を健康とお金の両面からサポートすることを目標にファイナンシャルプランナーとなることを決意。現在は個人の相談業務・執筆活動を行っている。