国民年金の支給金額とは?金額を増やせる制度とおすすめの投資方法を紹介
2024年04月03日
自営業や個人事業主のなかには「退職金や厚生年金がないため、老後の生活費が不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。老後、自営業や個人事業主は国民年金を受け取ることになりますが、生活するために十分な金額をもらえるのか気になるところです。
本記事では、自営業や個人事業主向けに、国民年金の支給金額はどのように決まるか解説します。また、国民年金の金額を増やす方法や、収入を増やす方法も紹介します。
国民年金の支給金額はどう決まる?
公的年金は、大きく分けて「国民年金」と「厚生年金」がありますが、自営業や個人事業主が加入するのは国民年金です。
国民年金の概要や保険料の金額、受給額などについて解説します。
国民年金の基礎知識
サラリーマンが加入する厚生年金は、収入によって納める保険料が異なりますが、国民年金の場合は収入にかかわらず一律となっています。2023年度の国民年金保険料額は月1万6,520円。20歳から60歳になるまでの40年間(満期)すべて納めると、年金を満額もらうことができます。
なお、国民年金に加入している人がもらえる年金を「老齢基礎年金」と呼びます。老齢基礎年金は原則65歳から受け取れますが、そのためには最低10年間(保険料免除期間など含む)保険料を納めている必要があります。
国民年金(老齢基礎年金)の計算方法
2023年度の老齢基礎年金の満額は、下記のとおりです。
67歳以下 月額6万6,250円
68歳以上 月額6万6,050円
もし、保険料納付期間が満期の40年間に満たない場合は、保険料を納めた月数で老齢基礎年金額を求めます。計算式は以下になります。
満額の老齢年金受給額×(保険料の納付月数÷480ヵ月)
例えば、20歳から29歳の10年間保険料を納めていなかった場合を考えてみましょう。保険料の納付月数は360ヵ月(30年)ですから、67歳の人がもらえる老齢基礎年金額は、「6万6,250円×(360ヵ月÷480ヵ月)」。つまり、約4万9,700円となります。
上記の計算は保険料の免除を考慮しませんでしたが、実際は保険料免除制度というものがあり、申請して承認されると保険料の納付が一部または全部免除となります。免除の申請を行なわず未納してしまった期間は受給資格期間に含まれませんが、免除制度を利用すると、免除期間を受給資格期間に含めることができます。また、老齢基礎年金受給額について、全額免除された期間は満額の2分の1として計算できます。
国民年金の金額を増やす公的な方法
将来受け取れる国民年金の受給額について説明しましたが、いかがでしょうか。「これだけでは生活費が賄えない」と不安に感じた方もいるのではないでしょうか。
実は、国民年金を増やす方法がいくつかあります。ここでは、国民年金、つまり老齢基礎年金を増やす公的な方法を4つ紹介します。
付加年金を納付する
付加年金とは、国民年金保険料を毎月追加で400円納めると、将来もらえる老齢基礎年金額が上乗せされる制度です。具体的には「200円×付加年金を納めた月数」が上乗せされます。
例えば、10年間付加年金を納めた場合「200円×120ヵ月(10年)」で、将来もらえる老齢基礎年金額が生涯にわたり年間2万4,000円増えることになります。
国民年金基金に加入する
国民年金基金は、国民年金に上乗せして保険料(掛金)を支払うことで、老齢基礎年金とは別に私的年金を受け取れる仕組みです。
国民年金基金の特徴は、口数単位で加入できることです。1口目は老齢基礎年金と同様、65歳から死亡するまでもらえる終身年金しか選べません。2口目からは、60歳からもらえて支給期間を選べる確定年金を選択することもできます。
なお、月の掛金の上限は6万8,000円です。
繰り下げ受給する
65歳以降もまだ働いており、当分は生活費に余裕がありそうだという方は、老齢基礎年金の繰り下げ受給をするという選択肢もあります。
通常65歳から受け取る老齢基礎年金ですが、最長で75歳まで繰り下げることが可能です。繰り下げることで、将来受け取れる老齢基礎年金額を増やせます。
※生年月日によっては繰下げの上限年齢が70歳までの場合もあります。
具体的には「繰り下げた月数×0.7%」の増額になります。例えば、65歳から75歳になるまでの10年間繰り下げた場合「120ヵ月(10年)×0.7%」で84%の増額になります。もともとの受給額が月額6万6,050円の場合、75歳まで繰り下げれば月額12万1,532円となり、2倍近く受給額が増えることになります。
60歳から65歳まで国民年金に任意加入する
原則、国民年金に加入して保険料を支払うのは、20歳から60歳になるまでの40年間です。ただし、国民年金保険料を満額の40年分納付できていなかった場合、60歳から65歳までの間国民年金に任意で加入して保険料を支払い、もらえる老齢基礎年金額を増やすことができます。
国民年金の任意加入は誰でもできるわけではなく、下記の条件に当てはまる人のみです。
日本に住所がある
60歳以上65歳未満
20歳以上60歳未満の保険料納付月数が40年未満
老齢基礎年金を繰り上げて受給していない
厚生年金保険や共済年金に加入していない
国民年金に加えて、投資で収入を増やす方法
国民年金を増やす公的な方法を紹介してきましたが、国民年金のほかにも老後のための資産をつくる手段はあります。ここでは、iDeCo、つみたてNISA、不動産投資を紹介します。
iDeCo
iDeCoは私的年金制度の一つで、正式名称は「個人型確定拠出年金」といいます。投資信託や保険商品、定期預金といった金融商品から運用したいものを自分で選び、掛金を毎月積み立てていきます。なお、iDeCoは上記で紹介した付加年金や国民年金基金と併用することができます(ただし、付加年金と国民年金基金の併用はできません)。
iDeCoのメリットは、掛金が全額所得控除の対象になり、税負担が軽減されること。さらに、運用して得た利益にも税金がかかりません。老後に受け取るときも、公的年金等控除または退職所得控除が受けられます。
デメリットは、原則60歳になるまでは引き出せないこと。また、運用状況により資産が増減します。投資信託など元本保証がない商品で運用した場合、元本割れする可能性もあることを覚えておきましょう。
新NISAのつみたて投資枠
NISAとは、投資で得られた利益が非課税になる制度です。2023年までの旧NISAは非課税で運用できる期間が制限されていましたが、2024年に改正された新NISAでは運用期間が無期限になりました。1年間に投資できる上限額も増額され、より資産形成に役立つ制度となりました。新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類があります。そのうちつみたて投資枠の投資先は、金融庁の基準を満たした投資信託とETFのみで、長期分散投資に適したものが選ばれています。新NISAのつみたて投資枠は、長期間かけてじっくり資産形成するのに向いている制度といえるでしょう。
先ほど紹介したiDeCoとは異なり、引き出したいときにいつでも引き出せ、60歳以降も引き続き投資可能なのがうれしいメリットです。インターネット証券であれば最低100円から積み立てできるため、無理なく気軽に始められます。
ただ、NISAはあくまで投資ですから、元本割れのリスクはあります。情勢が大きく変化する出来事があると、大きな損失を受ける可能性があることを忘れないでください。
関連記事
・新NISAとは?内容やメリット・デメリット、現行NISAとの違いについて解説
・積立NISA、20年後にはどうしたらいい?元本割れした場合の対処法は?
不動産投資
不動産投資も、老後のための資金をつくる手段として考えられるでしょう。不動産を購入すると、入居者がいる限り毎月決まった家賃収入が入ってきて、年金代わりになるためです。
不動産投資は土地や建物を購入しなければならないため初期投資にお金がかかりますが、ローンを利用できるため、自己資金が少なくても始めることは可能です。現役時代に不動産を購入し、ローンを完済できれば、不労所得を得られることになります。
また、万が一不動産投資で赤字になってしまった場合は、損益通算を適用して税金の負担を減らすことができます。
※組合事業の場合は、発生した損失は損益通算出来ないのでその点は注意しておきましょう。
不動産投資するときの注意点
老後の資金対策として不動産投資を挙げました。不動産投資は長期的に安定した収入が見込める投資ですが、デメリットもあります。注意しておきたい点を3つ紹介します。
空室・家賃下落のリスク
当たり前ですが、入居者がいないと家賃収入は得られません。入居者が退去してしまうと、収入が下がってしまいます。
1棟の不動産投資であれば、1世帯退去してもまだほかの入居者がいます。しかし、ワンルームマンション投資だと、空室になったとたん家賃収入がゼロになってしまうでしょう。
また、周辺環境の変化や、物件が経年劣化した影響で、家賃を下げねばならないリスクもあります。
金利が上昇するリスク
不動産投資をする際には、ローンを組んで不動産を購入するのが一般的ですが、金利が上昇すると支払金額が増加する可能性があります。変動金利でローンを組んだ場合には、金利上昇の影響を受ける可能性があることを覚えておきましょう。
関連記事
・利上げとは?為替や株価などに与える影響とおすすめの不動産投資方法
修繕費がかかる
築年数が経過した物件の場合、部屋の内装が傷んでいたり設備が壊れていたりして、多くの修繕費がかかる可能性があります。
また、購入時は新しい物件でも、老後の年金対策として長い間不動産投資を続けたいのであれば、大規模な修繕をしなければならないタイミングが必ず来ます。修繕費がどれくらいかかりそうかあらかじめ調べ、その分の費用を確保しておく必要があるでしょう。
気軽に始められる不動産投資は「COZUCHI」がおすすめ
不動産投資は長期的に安定した収入が見込めるため、老後の年金対策に選ばれることも多い方法の一つです。
しかし、不動産投資をするには、不動産を購入するために、多額の資金が必要です。また、空室・家賃下落リスクや金利上昇リスクに対する対応をはじめ、建物の修繕費、管理会社へ支払う手数料などの費用もかかるでしょう。いかに魅力的な投資であっても、不動産の知識がない状態でこれらのリスクに対して対応し続けることは、困難かもしれません。そこで、1万円から気軽に不動産投資ができる「COZUCHI」を検討してみてはいかがでしょうか。
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まとめ
自営業者や個人事業主向けに、将来もらえる国民年金受給額の計算方法を解説しました。「国民年金だけでは老後の生活費を賄うには足りない」と感じた方は、付加年金や国民年金基金など、本記事で紹介した国民年金を増やす方法を検討してみてください。
また、iDeCoやつみたてNISA(新NISAのつみたて投資枠)、不動産投資などで収入を増やすのもおすすめです。できることから始めて、老後に備えましょう。
■監修者
名前:齋藤 彩(さいとう あや)
所有資格:AFP(Affiliated Financial Planner)、薬剤師免許、1級FP技能士
おもなキャリア:
急性期総合病院において薬剤師として勤める中、がん患者さんから「治療費が高くてこれ以上治療を継続できない」と相談を受けたことを機にお金の勉強を開始。ひとりの人を健康とお金の両面からサポートすることを目標にファイナンシャルプランナーとなることを決意。現在は個人の相談業務・執筆活動を行っている。