根抵当権とは何か?抵当権との違いや設定方法、注意点を解説
2024年01月22日
根抵当権という言葉を聞いたことがありますか。抵当権と名前が似ていますが、何が違って、どのような場合に使われるのでしょうか。
本記事では、不動産投資を考えており金融機関から融資を受けたい方向けに、根抵当権の定義や抵当権との違い、設定の流れや注意点などを解説します。
抵当権と根抵当権の定義
投資物件を購入する際に使われる不動産ローンでは、何らかの理由で返済できなくなったときに備え、不動産に抵当権または根抵当権を設定します。
基本的に使われているのは抵当権ですが、根抵当権についても知っておくことで選択肢の幅が広がるでしょう。
抵当権とは
融資をする側のことを債権者、融資を受ける側のことを債務者といいます。抵当権とは、債権者が債務者に対して融資を行なうときに、債務者の持ち物を担保にできる権利のことです。
不動産投資ローンの場合、債権者である金融機関などが、債務者である投資家の不動産を担保として設定します。もし債務者からの返済が滞ったら、債権者が不利益とならないようその担保から優先的に弁済が行なわれます。
根抵当権とは
根抵当権も担保として不動産を設定しますが、その際にあらかじめ上限額と債権の種類を決めておきます。決めた上限額と種類の範囲内であれば、何回も追加で融資を受けたり、返済したりすることができます。
抵当権と根抵当権の違い4点
ここからは、抵当権と根抵当権はどのように異なるのか、4つのポイントに注目して解説していきましょう。
繰り返し借り入れできるか
抵当権は対象の債権が決まっており、一回の融資のみに設定されます。そのため、何度も繰り返し借り入れすることはできません。追加で融資を行ないたい場合は、あらためて金銭消費貸借契約を結び、新たに抵当権を設定する必要があります。
一方、根抵当権は対象の債権を明確にはしません。担保となる不動産の評価額をもとに上限額のみを設定します。設定した範囲内であれば、何度も繰り返し借り入れや返済をすることができます。
権利が自動的に消滅するか
上記で説明したように、抵当権が設定されるのは一回の融資のみです。よって、返済が完了した時点で、抵当権は自動的に消えたものとなります。
(登記簿謄本上には抵当権の記載はそのまま残るため、抹消登記は必要です)
一方、根抵当権は何度も繰り返し借り入れや返済ができるため、一度融資の返済が完了しても、権利はなくならず続いたままです。根抵当権を抹消するには融資を完済し、根抵当権者の承諾を得てから抹消手続きとなります。根抵当権が付いた物件を売却することは基本できないため、返済が終わったら根抵当権の抹消手続きを始めるとよいでしょう。
権利の移転ができるか
抵当権は対象の債権が明確で、いつまでにいくら返済すべきかはっきり決まっています。そのため、債務者の許可なく権利を移転する、つまり債権者を変更することが可能です。
一方の根抵当権は、債権の種類と上限額しか決まっていません。具体的な返済金額や返済期日は、債権者と債務者が話し合って決めます。したがって、債務者は独断で債権者を変更することはできません。
連帯債務者を立てられるか
連帯債務者とは、1つの借り入れにおいて複数人がそれぞれ全額の債務者となることをいいます。抵当権では、連帯債務者を立てることが認められています。
しかし、根抵当権の場合、基本的に連帯債務者を付けることができません。根抵当権は上限額の範囲で融資を行ない、返済金額や返済期日が明確に決まっていない仕組みですから、そもそも連帯債務という概念が合わないのです。
ただし実務上は、根抵当権であっても、対象となる1つの債権を定めることで連帯債務者を立てられるパターンもあります。
根抵当権を選んだほうがいいのはどのような場合か
抵当権と根抵当権には、それぞれメリット・デメリットがあります。上記で解説した抵当権と根抵当権の違いを踏まえ、抵当権ではなく根抵当権を選んだほうがいいのはどのようなときか解説していきましょう。
何度も借り入れしたい場合
何度も繰り返して融資を受ける予定がある場合は、根抵当権を選んだほうがいいと考えられます。
抵当権だと、借り入れのたびに金銭消費貸借契約を結び、あらためて抵当権を設定し直さなければなりません。書類の準備や登記費用、司法書士への報酬などが毎回必要で、時間と費用がかかります。
根抵当権の場合、最初に設定した上限の範囲内であれば、何度でも借り入れが可能です。借り入れのたびに抵当権を設定しなくてよいため、大幅にコストを削減できると考えられます。
融資先を変更しない場合
融資先を変更する予定がない場合は、根抵当権を選ぶとよいでしょう。逆にいうと、融資先を変更する可能性がある場合には、根抵当権を選ぶべきではありません。
抵当権の場合、新たな金融機関から借り入れた資金で、現在の金融機関のローンを完済してしまえば抹消ができるようになります。抹消後、抵当権は新たな金融機関に移行すればよいため、柔軟に融資先の変更が可能です。
一方、根抵当権においての融資先の変更は、債権者である金融機関などと相談して、承諾を得られない限りは実現しません。
根抵当権を選んだ際の注意点
先述のように、根抵当権が付いたままの物件を売却することは難しいとされています。なぜなら、根抵当権が付いた状態の物件を買うと、その購入者がもともとの債務者の借り入れを担保することになってしまうためです。債務者が返済を怠ると購入者まで巻き込まれてしまうことになるので、根抵当権が付いた物件を買おうとする人は普通いないのです。
よって、物件を売却する際には、先に根抵当権を抹消しておく必要があるでしょう。
根抵当権を抹消するためには債権者である金融機関と相談する必要がありますが、金融機関に引き止められてしまう可能性もあります。なぜなら、根抵当権を設定している人は、繰り返し借り入れを行なってくれる金融機関にとって手放したくない顧客だからです。スムーズに根抵当権の抹消を承認してもらえない可能性もあることを覚えておきましょう。
根抵当権の登記方法
ここからは、実際に根抵当権を設定する際の登記の流れと必要書類を見ていきましょう。なお、根抵当権の登記手続きは専門的で難しいため、司法書士に依頼するのが一般的です。
根抵当権登記手続きの流れ
根抵当権登記手続きの流れは下記のとおりです。
1.登記簿の事前調査
2.司法書士と根抵当権設定登記について委任契約を結ぶ
3.抵当権設定登記の準備
4.抵当権抹消
5.法務局へ申請
6.登記完了証の引き渡し
根抵当権登記に必要な書類
●根抵当権設定契約書
●登記済権利証または登記識別情報
●不動産所有者の印鑑証明書
●根抵当権者の資格証明書
●法人の場合は会社謄本
●司法書士へ依頼するための登記委任状
根抵当権の抹消方法
物件を売却する際や相続手続きの際には、事前に根抵当権を抹消する手続きが必要です。ここからは、根抵当権を抹消する手続きの流れや必要書類について紹介します。
なお、根抵当権の登記と同じく抹消手続きも専門的な内容で非常に難しいため、司法書士に代行してもらう場合が一般的です。
根抵当権抹消手続きの流れ
1.債権者との契約を解除
2.根抵当権者から送付された書類を確認
3.司法書士と委任契約を結ぶ
4.根抵当権抹消登記の準備
5.法務局へ申請
6.抹消登記の完了と書類返送
根抵当権抹消に必要な書類
●根抵当権解除証書
●登記識別情報または登記済証
●根抵当権者の委任状
●根抵当権設定者の委任状
●本人確認書類
「COZUCHI」の不動産投資なら複雑な手続きが不要
不動産投資を考えており投資物件を購入しようとしている方のために、根抵当権の概要や根抵当権を選んだほうがいい場合、手続きの方法などについて解説してきました。
根抵当権を選ぶことによって最初に設定した上限の範囲内であれば、何度でも借り入れができるなどのメリットがある一方、抹消の際の金融機関でスムーズに抹消の承認をしてくれない可能性があるといった注意点もあります。
また不動産投資を行うには物件購入などの多額の初期費用がかかることも、投資を始めるうえでハードルに感じる方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方は不動産投資クラウドファンディングを検討してみてはいかがでしょうか。不動産投資クラウドファンディングは、複数の投資家から資金を集めて不動産に投資し、得られた利益を投資家に還元する仕組みです。
不動産投資クラウドファンディングのCOZUCHIでは不動産の購入や管理、運営などはすべてプロに任せることができます。そのため投資家は複雑な手続きや、やり取りも不要で、投資後はほったらかしで運用をすることができます。
多くの投資家から資金を集めるため、数十億円の不動産に1万円から投資することも可能ですので、普段個人ではなかなか投資することができないような物件にも手軽に投資することができます。
投資する際の購入手数料や運用手数料は無料で、気軽に投資をはじめやすくなっています。(運用期間中での中途換金の際は換金手数料が発生します)
初期費用の高さや手続きの複雑さから不動産投資をあきらめていた方も、「COZUCHI」なら無理なく不動産投資を始めることができるのではないでしょうか。
COZUCHIについてさらに詳しく知りたい方は、以下のホームページをご覧ください。
COZUCHIのホームページはこちら
また、お問い合わせや会員登録については、以下のページにお進みください。
COZUCHIのお問い合わせフォームはこちら
COZUCHIの会員登録ページはこちら
まとめ
根抵当権と抵当権との違いや、根抵当権を選ぶべき場合、根抵当権の登記手続きや抹消手続きについて解説してきました。不動産投資を考えている方は、ぜひ参考になさってください。
また、根抵当権の内容や手続きが複雑で難しいと感じる方は、それらをすべてプロにお任せできる不動産投資クラウドファンディング「COZUCHI」から始めてみるのもおすすめです。
【監修者】
名前:齋藤 彩(さいとう あや)
所有資格:AFP(Affiliated Financial Planner)、薬剤師免許
おもなキャリア:
急性期総合病院において薬剤師として勤める中、がん患者さんから「治療費が高くてこれ以上治療を継続できない」と相談を受けたことを機にお金の勉強を開始。ひとりの人を健康とお金の両面からサポートすることを目標にファイナンシャルプランナーとなることを決意。現在は個人の相談業務・執筆活動を行っている。