自営業者の年金はいくら?年金の仕組みやおすすめの年金対策についても解説
2024年01月30日
近年の日本では、著しい高齢化社会へと進むなかで、「老後資金2,000万円問題」などの言葉がメディアを賑わわせることが多くなりました。
こうした状況で、事業を営む自営業者や個人事業主、フリーランスのなかには「自営業者の年金額は一体いくらになるのか?」といった疑問を抱く人も多いでしょう。
この記事では、日本における年金制度の基本的な仕組みや自営業者の年金額、自営業者向けのおすすめ年金対策を解説します。
自営業者も知っておくべき年金の仕組み
日本の年金制度は、以下のような3階建て構造になっています。
●3階:企業年金・個人年金 など
●2階:厚生年金・国民年金基金
●1階:国民年金(基礎年金)
1階・2階部分は公的年金、3階部分は私的年金に該当します。
日本では、国民皆年金制度を採用しています。そのため、原則として、日本在住の20歳以上60歳未満のすべての人に公的年金の加入が義務付けられています。国民年金は、1階部分で国民の生活を支える役割を担っているため、基礎年金とも呼ばれています。
国民年金の加入者(被保険者)は、職業や属性によって第1号~第3号に分類されます。各被保険者の特徴を確認しましょう。
第1号被保険者
第1号被保険者とは、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のうち以下に該当する方です。
●自営業者/農業者とその家族
●フリーター
●無職
●学生 など
日本年金機構では「第2号被保険者、第3号被保険者でない人が第1号被保険者です」と定めています。上記の「自営業者/農業者とその家族」とは、自営業者などの家族のうち、厚生年金や共済組合などに加入しておらず、第3号被保険者ではない方です。
第1号被保険者が加入する公的年金は、国民年金のみです。国民年金保険料はすべて自分で納めます。
第2号被保険者
第2号被保険者とは、基礎年金である国民年金に加えて、厚生年金や共済組合にも加入している民間企業の会社員や公務員などです。
第2号被保険者の国民年金保険料は、加入する厚生年金保険が負担します。また、厚生年金保険料は労使折半です。保険料の納付義務は事業主が負っているため、第2号被保険者の本人が自分で払う必要はありません。
事業主は、従業員に支払う給料などから被保険者本人の負担分を源泉控除して保険料を納めます。
第3号被保険者
第3号被保険者とは、第2号被保険者に扶養されている配偶者のうち、「20歳以上60歳未満であり、なおかつ年収が130万円未満」という条件を満たしている人です。第3号被保険者に該当した場合、第2号被保険者となる配偶者が働く事業所に届け出が必要となります。
第3号被保険者の国民年金を含めた保険料は、配偶者である第2号被保険者が加入する厚生年金や共済組合が一括で負担します。第3号被保険者の場合も、本人が支払う必要はありません。
自営業者の年金はいくら?
例えば、第2号被保険者となる民間企業の会社員や公務員などは、自分が加入した国民年金と厚生年金の2階建てで年金を受け取れます。
これに対して自営業者は、第1号被保険者となるため厚生年金には加入しません。2階部分の厚生年金がなく1階部分の国民年金だけの加入の場合、受け取れる年金額もそれだけ少なくなる可能性が高いです。
令和5年度における国民年金の年金受給額(満額)は、月額6万6,250円です。ただし、保険料を納付していない時期があった場合、上記より年金額が減ってしまったり、資格期間が短すぎることで年金受給ができなくなることもあります。
なお、厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均の年金月額は56,479円、厚生年金の平均の年金月額は145,665円です。これらの数字は、国民年金だけの自営業者と、国民年金・厚生年金の両方に加入する民間企業の会社員や公務員と比べた場合、年金受給額に平均値で2.5倍程度の差が出ることを意味します。
出典:令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況(厚生労働省)
なお、近年では金融庁の審議会の報告書に、老後2,000万円もの生活資金が必要との記載があり、注目を集めました。一方で自営業者が、月額7万円に満たない国民年金だけで老後の生活費を賄うことは非常に難しいと考えられます。
また、自営業者には基本的に退職金もありません。自営業者は、民間企業の会社員や公務員とは大きく異なる実情を理解したうえで、早めに老後資金の対策を検討する必要があります。
【自営業者向け】おすすめの年金対策3選
自営業者が実践できる老後の年金対策には、いくつかの種類があります。ここでは、代表的な3種類の年金対策を紹介しましょう。
国民年金基金
国民年金基金とは、厚生年金に加入できない自営業者などの第1号被保険者向けに創設された公的年金制度です。自営業者が国民年金基金に加入すると、民間企業の会社員や公務員と同様に公的年金を2階建てにできます。
国民年金基金は、掛け金を納めた期間に応じて国民年金が上乗せされる仕組みです。原則は65歳到達以後の支給となるため、老後の備えとして活用できます。また、国民年金基金の掛け金は、すべて社会保険料控除の対象のため、所得税・住民税の軽減にもつながります。
ただし、国民年金基金にもいくつかのデメリットがあります。
国民年金基金は一度加入すると途中で自分の都合で任意脱退できません。掛け金を払えなくなったら、事前申し出によって口数を減らしたり、掛け金の納付を一時中断したりすることも可能ですが、その場合、未納期間に応じて年金額が減ることになります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、自分で掛け金の拠出額や運用方法などを選べる私的年金制度です。
国民年金の被保険者で条件を満たせば、すべての方が加入できます。iDeCoは、国民年金や厚生年金などの公的年金に上乗せする形で受給可能です。そのため、自営業の方が老後に不足する生活費を補うためにも活用できます。
iDeCoの大きな特徴は、何で運用するかの運用商品を自分で決める点です。具体的には、自分で決めた運用方針にしたがって投資信託などの金融商品を自分で選び、掛け金のなかでどの商品をどれだけ購入するかの配分を決める必要があります。
iDeCoの掛金は、全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となるため、iDeCoに加入すれば住民税・所得税の節税効果が得られます。ただし、iDeCoは老後資金をつくる目的の制度であることから、原則として本人が60歳になるまでの間は掛金を引き出せないので、注意しましょう。
個人年金保険
個人年金保険とは、老後のための生活資金を計画的に準備できる保険商品の総称です。個人年金保険は、各保険会社が提供しているものとなります。
個人年金保険の基本的な仕組みは、契約時に決めた年齢まで保険料を支払い続けると、毎年一定の金額を年金として受け取れます。商品によっては、回数を選べる場合もあります。
個人年金保険には、大きく分けて以下3つの種類があります。
●確定年金:被保険者である本人の生死に関係なく、契約時に決めた期間で年金を受け取れるもの。本人が亡くなった場合は、遺族に支払われる。
●有期年金:確定年金と似た仕組みだが、被保険者である本人が死亡していると受け取れない。
●終身年金:被保険者である本人が生存している限り、生涯にわたって年金を受け取れるもの。
個人年金保険の場合、具体的な仕組みや保険料などは保険会社によって異なります。そのため、個人年金保険に加入する際は、各保険会社に詳細を確認することが大切です。
なお、多くの個人年金保険は、払込期間中のインフレによって物価が上昇しても、受け取れる年金額は変わりません。そのため、例えば、現在では2,000~3,000万円が必要とされている老後資金が著しいインフレによって5,000万円まで上昇した場合、受け取れる年金額の相対的価値は大幅に下がることになります。
老後の生活資金準備に向けた資産形成が必要
民間企業の会社員や公務員の方に比べ、退職金や老後に受け取る年金が一般的に充実しているとは言えない自営業者の方は、老後に向けた資産形成を早めに検討する必要があります。
国民年金基金などでも資産形成をすることは出来ますが、より資産形成を進めるためにその他の商品への投資を検討することをおすすめします。
まず、資産形成の代表的な投資方法としては株式や投資信託への投資が挙げられます。株式や投資信託は長期・分散・積立で投資を行っていくことで資産形成に有効だと言われていますが、その一方商品や銘柄によっては値動きが大きくなることもあります。
値動きが大きい商品と組み合わせて幅広いポートフォリオを組むためには、日々の値動きが少ない不動産投資を検討することも選択肢の一つになってきます。
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まとめ
自営業者は、国民年金と厚生年金の両方に加入できる民間企業の会社員や公務員と比べて年金受給額が少なくなりがちです。老後資金に不安を抱えている自営業者の方は、これから実践できる年金対策を検討することが求められてくるでしょう。
事業以外の時間が割けない方や、年金対策にあまり多くの資金を投資に回せないという方は、少額からはじめられる不動産投資クラウドファンディングのCOZUCHIを検討してみるのもひとつでしょう。運用や管理もプロに任せられるため、気に入った物件があればまずは投資してみてはいかがでしょうか。
【監修者】
氏名:赤上 直紀(あかがみ・なおき)
保有資格:1級ファイナンシャル・プランニング技能士
主なキャリア:元銀行員。資産運用やローンを通じて、多くのお客様のライフプランニングに携わる。現在は、編集者として金融機関を中心に、ウェブコンテンツの編集・執筆業務を行う。