投資の割合はどのくらいが適切?割合を決めるポイントやおすすめの投資方法も紹介!
2024年04月10日
投資を始めてみたいけれど、どのくらいの金額を投資に割り当てれば良いのか悩む方もいるかもしれません。
日本人は家計金融資産に占める投資の割合が低く、現金・預金の割合が高いことが特徴ですが、今後の情勢を考えると投資の割合を増やす必要があるでしょう。
この記事では、投資の割合はどのくらいが適切なのか、割合を決めるポイントやおすすめの投資方法などを解説します。
日本人の投資割合はどのくらい?
日本人は、自分のお金の何割くらいを投資で運用しているのでしょうか。海外との比較や、日本人の年代別の違いなどについて解説します。
海外との投資割合の違い
2022年に日本銀行調査統計局が日本・アメリカ・ヨーロッパについて、家計の金融資産の調査を行ないました。
この調査によると、現金・預金の割合がアメリカは13.7%、ヨーロッパは34.5%なのに対して、日本は54.3%と現金・預金への比重が非常に大きいことがわかります。
一方で、債務証券(債券)、投資信託、株式などを合わせた割合は、日本が16.0%であるのに対して、アメリカは55.0%、ヨーロッパは31.5%でした。アメリカやヨーロッパと比べると日本の投資割合が低いことがわかります。
日本人の年代別による投資割合の違い
次に日本人の年代別による投資割合の違いを見てみましょう。令和4年に金融広報中央委員会が調べた「家計の金融行動に関する世論調査」をもとに、金融資産の保有割合を年代別にまとめました。
預貯金 |
金銭信託 | 生命保険 | 損害保険 | 個人年金保険 | 債券 | 株式 | 投資信託 | 財形貯蓄 |
その他 |
|
20代 |
51.4% | 2.5% | 6.0% | 1.6% | 6.0% | 3.8% | 11.7% | 8.3% | 7.0% | 1.6% |
30代 |
46.1% |
1.4% | 10.1% | 1.0% | 5.1% | 1.0% | 18.5% | 12.4% | 2.5% |
2.0% |
40代 |
42.1% |
1.3% | 11.2% | 1.4% | 5.8% | 3.2% | 19.3% | 9.3% | 4.7% |
1.6% |
50代 |
39.4% |
1.1% | 12.9% | 1.6% | 8.4% | 1.5% | 21.1% | 7.9% | 4.1% |
2.1% |
60代 |
46.8% |
1.2% | 11.2% | 1.3% | 7.3% | 4.5% | 16.5% | 8.9% | 0.8% |
1.4% |
70代 |
42.0% | 0.8% | 10.9% | 1.5% | 4.0% | 5.7% | 23.7% | 9.8% | 0.4% |
1.2% |
全体 | 43.3% |
1.1% |
11.2% | 1.4% | 6.1% | 4.0% | 20.1% | 9.2% | 2.0% |
1.5% |
これを見ると、20代では預貯金が51.4%と50%を超えるものの、ほかの年代では預貯金の割合が下がる傾向です。ただし、最も預貯金が低い50代でも39.4%と、先ほど確認した欧米よりも高い水準でした。
また、40代~50代になると生命保険などの割合が高くなる傾向で、特に2人以上の世帯では顕著になります。
なぜ投資の割合を増やす必要がある?
日本と欧米を比較すると、日本では投資の割合が低いことがわかりました。しかし、これからの時代は投資の割合を増やす必要があります。
その理由の一つに、日本でインフレが進んでいることが挙げられます。インフレとは物価の上昇によりお金の価値が下がることです。
例えば、現在100円で買えているジュースが来年200円に値上がりすれば、200円出さないとジュースは買えません。このように、商品の値段が上がり、お金の価値が下がってしまう状態をインフレといいます。
インフレが進んでいるのに対して、預貯金は低金利が続いており、預けていてもお金はほとんど増えません。現金や預貯金でお金を持っていると、インフレが進んだ場合に価値が目減りする可能性があるため、投資の割合を増やす必要があるのです。
投資に使う金額はどのように決める?
自分が持っているお金をすべて投資に使ってはいけません。自分の資産は「もしもに備えるお金」「将来使うお金」「投資で増やすお金」に分けることが大切です。ここからは3つのお金について解説します。
もしもに備えるお金とは
「もしもに備えるお金」とは、生活していくのに必要最低限のお金と、万が一に備えるお金のことです。
急な病気やけがなどで働けなくなった場合に備えて、生活費の3ヵ月~1年分を確保しておきましょう。もしもに備えるお金はすぐに使えるように預貯金などで持っておくことも大切です。
将来使うお金とは
「将来使うお金」とは、子どもの教育資金やマイホーム購入資金など、使い道が決まっているお金のことです。使う時期がまだ先のお金は投資に回しても構いませんが、使う時期が近いお金は投資には回さず、預貯金などに戻してすぐに使えるようにしておきましょう。
投資で増やすお金とは
「投資で増やすお金」とは、自分の資産から「もしもに備えるお金」と「将来使うお金」を差し引いて「残ったお金」です。また、このほかに将来残しておきたいお金などがあれば、それらも引いておきます。
この残ったお金は、使い道が決まっていないお金です。積極的に投資へ回していきましょう。
結局理想的な投資割合はどのくらい?
投資で増やすお金は、自分の資産から「もしもに備えるお金」と「将来使うお金」を差し引いて残ったお金だと説明しました。具体的に何割くらいを目標にすればよいのか知りたい人もいるでしょう。しかし、すべての人に当てはまる理想的な目標はありません。
例えば、年代によっても投資割合は調整していく必要があります。独身で20代の場合は、リスクをとって仮に失敗したとしても計画を見直せますが、年齢を重ねて家族が増えた場合は、リスクをとることが難しくなるでしょう。
年代による投資割合を調整する目安として、エイジスライド方式があります。これは「120-年齢」を投資の割合にするという指標です。例えば、40代の場合であれば120-40=80で、預貯金の8割が投資割合の目安になります。それぞれの年代の投資割合は以下のとおりです。
20代:120-20=100%
30代:120-30=90%
40代:120-40=80%
50代:120-50=70%
60代:120-60=60%
70代:120-70=50%
ただし、エイジスライド方式によって出した数字は、あくまで目安にすぎません。同じ40代でも独身の場合と夫婦2人の場合、子どもがいる場合ではそれぞれ適切な割合は異なります。
エイジスライド方式で出た数値を参考に、投資の目的や目標額に合った投資割合に調節しましょう。
投資割合を決める際のポイント
投資割合を決める際にはどのようなことに注意すれば良いのでしょうか。投資割合を決める際のポイントを3点紹介します。
投資の目的と目標額を決める
まず、投資の目的と目標額を決めましょう。「○年後までに子どもの大学進学資金として○万円を用意する」などのように、具体的な年数や金額を決めることが大切です。具体的な目標や金額を決めて逆算すれば、適切な資産運用計画が立てられます。
リスクをどの程度とるのか決める
投資では期待できるリターンが大きくなればなるほど、リスクもそれに応じて大きくなります。リスクとリターンがどの程度あるのかを十分理解して、リスクを受け入れる必要があります。
資産運用計画ができていれば、どの程度のリスク・リターンで運用しなければならないのかがわかるでしょう。
また、リスクをどの程度受け入れるのかは、目的や目標額だけでなく、自分の年齢や性格、家族構成、年収、投資経験などを考慮して決める必要があります。
初心者におすすめの投資3選
初心者でもおすすめの投資には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは初心者におすすめな投資を3つ紹介します。
投資信託
投資信託とは、投資家から集めた資金を、運用会社が代わりに運用・管理をする投資商品のことです。複数の株式などに分散投資をすることになるため、比較的リスクを抑えられる投資方法といえます。
少額から積立ができるほか、実際の運用はプロが行なうため、初心者でもはじめやすい投資のひとつと言えるでしょう。。投資信託を購入する場合には、NISAやiDeCoを利用すると税制上のメリットがあるためおすすめです。
株式投資
株式投資とは、企業の株を購入してその企業の成長に伴う利益を期待する投資方法です。株式市場の様々な企業から自分に合った銘柄を選べ、うまく運用すれば配当や株価上昇による利益が見込めます。
また投資信託と同様に非課税投資枠のNISAなどを活用して税制上のメリットを受けながら投資することができます。
これらの投資商品はいずれも少額からはじめることができます。ただし、投資信託や株式は値動きが大きくなる可能性もあり、ある程度の知識の習得が必要な商品でもあります。投資初心者には、値動きが小さく、プロに運用が任せられる投資もおすすめです。
不動産投資クラウドファンディング
そこで投資初心者の方におすすめなのが不動産クラウドファンディングです。
不動産投資クラウドファンディングは、インターネットで投資家から資金を集め、得られた資金で運用会社が不動産の購入・運用をする投資商品のことです。利益は出資額に応じて分配されます。
少額から出資できるだけでなく、運用もプロに任せられるため、初心者でも投資しやすいでしょう。また、株式や投資信託のような日々の価格変動がなく、ほったらかしで運用できることも初心者には向いている投資と言えるでしょう。
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不動産の購入や運用はプロに一任できるため、投資後は配当の振り込みを待つだけです。一度投資をすれば、ほったらかしで運用をすることができます。
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まとめ
日本人の金融資産は現金や預金の割合が高く、投資の割合は高くありません。しかし、低金利が続く一方でインフレも進んでおり、現金・預金に頼っていてはお金が目減りする可能性があるため、投資の割合を増やしていく重要性が高まっています。
投資割合を増やすには、自分の資産を「もしもに備えるお金」「将来使うお金」「投資で増やすお金」の3つに分けて考えて、使えるお金をはっきりさせることが大切です。また、目的や目標額を決めておけば、具体的な運用計画も立てられるでしょう。
投資に慣れていない場合は、NISAやiDeCoを活用した投資信託による分散投資、不動産投資クラウドファンディングなどリスクが抑えられる投資方法を選ぶことがおすすめです。自分に合った投資方法を選んで、目標額を目指して資産を増やしていきましょう。
【監修者】
名前:齋藤 彩(さいとう あや)
所有資格:AFP(Affiliated Financial Planner)、薬剤師免許
おもなキャリア:
急性期総合病院において薬剤師として勤める中、がん患者さんから「治療費が高くてこれ以上治療を継続できない」と相談を受けたことを機にお金の勉強を開始。ひとりの人を健康とお金の両面からサポートすることを目標にファイナンシャルプランナーとなることを決意。現在は個人の相談業務・執筆活動を行っている。