【2024年版】投資信託の売り時はいつ?NISAの売却タイミングや円安による影響

2024年10月09日

投資信託は、投資家から集めたお金を専門家が投資・運用し、運用結果に応じて分配金や譲渡益を投資家へ還元する投資手法です。運用を専門家に任せられるうえ、少額から分散投資が可能であることから、投資信託は投資初心者にもおすすめの投資手法だといえます。

また、投資信託は長期的な運用をすることで、「複利効果」などによる効果的な資産形成を目指しやすくなります。

ただし、投資信託はほかの多くの投資手法と同様に、元本保証がありません。長期保有にメリットがあるとはいえ、投資信託で利益を得るためには、売り時を逃さずに売却(換金)することも大切です。

この記事では、投資信託の売却にまつわる基礎知識を解説したうえで、投資信託の売り時といえる5つのタイミングを紹介します。NISA口座を活用した投資信託の売り時や、円安による影響なども解説しているので、これから投資信託を始める方や、現在、投資信託で運用をしている方はぜひ参考にしてください。

 
また本記事の後半では、資産運用の方法の一つとして不動産投資クラウドファンディング「COZUCHI」についても紹介しています。

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投資信託の売却のキホン

投資信託の売り時について解説する前に、まずは投資信託を売却するにあたって知っておきたい基本事項を見ていきましょう。

基本的には、いつでも売却可能

投資信託には、運用期間が定められているものと定められていないものがあり、運用開始から終了までの信託期間内であれば、投資信託は原則いつでも売却可能です。

ただし、クローズド期間が設定されている投資信託は、その期間中は売却できません。売却は災害で大部分の資産を失ったなど、やむを得ない事情がある場合に限られます。
ファンドによっては3ヵ月から1年程度のクローズド期間が設けられている場合もあるため、自身が保有するファンドにクローズド期間があるかを確認しておくとよいでしょう。

また、海外資産を対象とした投資信託の場合、投資先の国の取引所や金融機関が休業日のときは、売却はできません。

なお、投資信託の売却価格は、市場がクローズしたあとに確定する「基準価額(投資信託の値段)」によって決定されます。

売却時にかかる手数料・税金などの費用

投資信託の売却時は、解約手数料や信託財産留保額などの手数料がかかります。

・解約手数料:売却時に証券会社などの販売会社に支払う手数料。手数料の有無や金額はファンドによって異なる。
・信託財産留保額:投資信託の解約時に支払う費用で、解約代金から差し引かれる。費用はファンドによって異なるが、信託財産留保額を設定していないファンドもある。

また、投資信託の売却によって利益が発生した場合、合計20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)の所得税がかかります。

「想定よりも利益が減ってしまった」という状況にならないよう、投資信託の売り時を考える際には、手数料や税金についても考慮する必要があります。

売却後に必要な手続き

投資信託で得た利益がある場合、納税のため確定申告が必要です。確定申告では、毎年1月1日から12月31日までの所得を取りまとめ、翌年の2月16日から3月15日までに申告・納税します。

ただし、投資信託で発生した利益が20万円以下である場合(他に雑所得等がない場合)、源泉徴収ありの特定口座のみを利用している場合、NISA口座やiDeCo口座を利用している場合には、確定申告は不要です。

なお、取引で損失が出たとしても、損益通算や繰越控除などをしたい場合には確定申告をする必要があります。確定申告の時期を逃さず、確実に申告・納税できるよう準備しておきましょう。

投資信託を売る前に知っておきたい長期保有のメリット

前章にて、投資信託は「原則いつでも売却可能」である旨をお伝えしました。ただし、前提として、投資信託は長期的な運用をするのが一般的です。

投資信託を長期保有すると、以下のようなメリットがあります。

・高い複利効果を期待できる
・リスクを抑えた資産形成がしやすくなる

複利効果とは、運用で得た利益(運用益)を元本に加えて再投資することで、雪だるま式に資産が増えていく効果のことです。運用益にさらに利益が発生する「複利」に対し、元本のみに利益が発生することを「単利」といいます。

例として、元本100万円を年3%の利回りで運用した場合のシミュレーションを見てみましょう。

単利と異なり、複利での運用は、年数が経過するにつれて資産の増加幅が大きくなっているのがわかります。つまり、投資信託の保有期間が長ければ長いほど、複利効果は高まるのです。

また、長期的な運用により、購入タイミングによる価格の振れ幅が平準化され、リスクを抑えた運用がしやすくなるのもメリットです。

短い運用年数で投資信託を売却する場合は、このような長期保有によるメリットが得られなくなることを理解しておきましょう。

なお、投資信託で複利効果を得るためには、分配金を受け取らない、または分配金を再投資する必要があります。

投資信託の売り時を見極めるためのポイント

長期保有するメリットが大きい分、投資信託の売り時を見極めるのは簡単ではありません。

投資信託の売り時を考える際には、おもに以下のポイントに着目するとよいでしょう。

・今後も資産が増加していく見込みがあるか
・目標とする金額まであとどのくらいか
・資産形成の目的の時期がいつ到来するか

投資信託の保有を続けていくなかで、今後の値上がりがあまり期待できない、と感じられるようになったら、売却を検討するのも良いかもしれません。

また、投資信託で運用している資産の合計金額が、当初の目標金額に達しているかどうかは、売り時を見極めるうえでわかりやすい基準です。

さらに、以下のように投資信託を始めた目的を考えれば、その目的の時期が到来するときが売却のタイミングの目安となるでしょう。

・家や車の購入費のため
・子どもの教育資金のため
・老後の生活費のため  など

投資信託の売り時といえる5つのタイミング

投資信託の売り時といえるタイミングには、以下の5つが挙げられます。目標金額や投資目的などと照らし合わせて、適切なタイミングで投資信託を売却しましょう。

【投資信託の売り時といえるタイミング】
1.売却額が目標金額に達したとき
2.投資目的の時期が来たとき
3.投資先を変更したいとき
4.値上がりが見込めないと判断したとき
5.資産配分を見直したいとき(リバランス)

1.目標金額に達したとき

投資信託は、基準価額が上昇していても売却なしでは、利益は確定しません。売却して利益を確定させることではじめて、投資信託での運用目標を達成できます。

投資信託の売り時として挙げられるのが、目標金額に届いたタイミングです。

目標金額に届いたあとも、さらなる利益を求めて投資信託を保有し続けることもできますが、社会情勢などの影響により、その後基準価額が下がってしまうかもしれません。目標金額を決めておき、目標達成時点で売却すれば、当初計画していたとおりの利益を確保できるでしょう。

2.投資目的の時期が来たとき

投資信託で資産形成を始めた目的が明確なら、目的の時期が到来したら売却すると決めておくと、迷いなく投資信託を売却できるでしょう。

売却を先延ばしにすると、売り時を逃すリスクがあります。投資信託を始めるときに、資産形成の目的や、そのお金が必要となる時期を具体的にしておくのがおすすめです。

3.投資先を変更したいとき

より運用益が見込める投資先がある場合、ポートフォリオの見直しのために現在の投資信託を一度売却するのも手です。

運用期間中の資産の値上がり・値下がりによって保有資産のバランスが崩れると、リスク分散が図れず、思わぬ損失を招く可能性があります。運用状況に応じて投資先を変更すれば、ポートフォリオを見直すことができ、リスク分散につながるでしょう。

4.値上がりが見込めないと判断したとき

投資信託は元本が保証されていません。また、投資信託は長期保有が基本ですが、保有期間中に社会情勢の変化などで商品が大きく値下がりするケースもあります。

資産が減る焦りから売却してしまいたいと思うかもしれませんが、一時的な値下がりなのか、成長性が見込めないことによる値下がりなのかを考えてみましょう。成長性が期待できないのであれば売却も視野に入れます。

ただし、金融商品の動向は投資のプロでも予測するのが難しいのが現状です。小さな値動きに左右されず、動向を見極められるよう、長期的な視野で市場を見守ることが大切です。短期的な値動きで焦って売却すると、利益を逃してしまう可能性があります。

5.資産配分を見直したいとき(リバランス)

投資信託で「リバランス」したいときも、売り時の一つです。

リバランスとは、資産配分を定期的に見直し、再配分することです。資産を配分し直す際に、資産の一部を売買します。

例えば、投資信託で「株式50%・債券債権50%」の比率で資産を配分し、運用を始めたとします。その後、株式の資産価値が上昇し、資産配分の比率が「株式60%・債券債権40%」に崩れてしまった場合、リバランスにより「株式50%・債券債権50%」の比率に戻します。

金融商品の価値は常に変化しているため、資産配分を見直さずに放置すると、バランスが崩れてしまいます。リスクやリターンが想定と大きくずれないよう、定期的なリバランスは重要です。

NISAの投資信託の売り時はいつ?

投資信託に投資する際に活用できる制度として、投資で得られた利益が非課税になる「NISA(少額投資非課税制度)」が挙げられます。

2023(令和5)年までの旧NISA制度には、非課税期間や投資可能額が異なる「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3つの枠組みがありました。

2024(令和6)年1月から開始された新NISA制度では、以下のとおり枠組みが変更されるとともに、非課税期間の縛りがなくなり、投資可能な年間上限額も増えました。

なお、旧NISA制度での新規買付はできませんが、保有資産は引き続き運用可能です。

旧NISA・新NISA口座を利用した投資信託の場合は、いつ売却すれば良いのでしょうか。NISAでの投資信託の2つの売り時を見ていきましょう。

1.非課税期間が終了する前

旧NISA制度の非課税期間は、一般NISA・ジュニアNISAで5年間、つみたてNISAで20年間です。非課税期間が終了すると、投資信託はNISA口座から課税口座へ移管され、通常の投資信託のように課税対象となります。その際、買付当初の金額ではなく移管時の時価が基準となり、課税額が計算されます。
つまり、移管後に株式等を売却した際には、売却価格と移管時の時価との差額が売却益または売却損となります。

そのため、売却益を非課税にするという観点では、課税口座へ移管される前に売却するのが一つの売り時ともいえるでしょう。

なお、旧NISA制度では、非課税期間が終了しても課税口座へ移管せず、翌年の非課税投資枠へ移管(ロールオーバー)するという選択肢がありました。
ただし、旧NISAから新NISAへのロールオーバーができない点には注意しましょう。

2.基準価額が値上がりし、投資目的を達成したとき

NISA口座を利用した投資信託も、通常の投資信託と同様に、売却しなければ利益は確定されません。基準価額が値上がりし、投資目的を達成した場合には、売却を検討してもよいでしょう。

ただし、新NISA制度では、成長投資枠・つみたて投資枠ともに、非課税期間が無期限化されています。

また、「投資信託を売る前に知っておきたい長期保有のメリット」の章でお伝えしたとおり、投資信託の長期保有はリスクを抑えた資産形成にもつながるのが特徴です。

非課税制度をフルに活用しつつ、着実な資産の増加を目指すなら、NISA口座での投資信託は長期運用を前提に取り組むとよいでしょう。

円安は投資信託の売り時に影響する?

ニュースで、「円安が進む」などといった表現を見聞きしたことがある方も多いでしょう。この「円安」や「円高」は、投資信託にも影響を与えます。

そもそも円安とは、ドルなどの外国の通貨からみて、日本円の価値が下がっている状態です。例えば、100円で1ドルに交換できる「1ドル100円」の為替レートを基準とした場合、以下のことがいえます。

・1ドル110円になったとき:110円なければ1ドルに交換できないため、円の価値が下がっている(=円安)
・1ドル90円になったとき:90円あれば1ドルに交換できるため、円の価値が上がっている(=円高)

外貨建ての資産に投資する投資信託の場合、株式や債券などの資産価値そのものは変動していなくても、円安・円高により円建ての基準価額が変動するため、注意が必要です。具体的には、円安になると基準価額が上昇(プラスの影響)し、円高になると基準価額が下落(マイナスの影響)します。

為替による上記のような影響を「為替変動リスク」といい、投資先や投資金額によっては、円安・円高の影響が資産形成に大きく影響します。したがって、投資信託の売り時を判断する際には、為替レートの動向も追わなければなりません。

投資信託を売却する際の注意点

投資信託の売却のタイミングを誤ると、想定していた利益を得られない場合があります。また、基準価額が下がったからといってすぐに売却すると、その後値上がりに転じた際に、得られたはずの利益を逃してしまうかもしれません。

したがって、投資信託を売却する際には、本記事で紹介した内容をもとに最適な売り時を見極めることが重要です。

なお、売却価格を平準化させるためには、投資信託を一度に売却せず、売却タイミングを分割するのがおすすめです。

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投資信託は、分散投資をするうえでは有効である一方、前述のとおり投資のプロでも予測するのが難しい値動きを考慮して、売り時を見極めなければならないことがあります。

その点、不動産投資クラウドファウンディングの「COZUCHI」では、売却タイミングを見極める必要はありません。
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まとめ

投資信託の基準価額は常に変動しているため、売り時を判断できず、つい焦って売却してしまう方もいるかもしれません。また、投資信託は長期保有のメリットが大きい分、いつ売却すれば良いか悩んでしまう方もいるでしょう。

「目標金額に届いたとき」「資産形成の目的の時期が到来したとき」「資産配分を見直したいとき」など、売却タイミングを事前に決めておけば最適な判断を下しやすくなります。

また、NISA口座を利用した場合は、「非課税期間が終了する前」も売り時といえます。

日々の値動きに左右されず、長期的な視野で市場を見守りながら売り時を見極めていきましょう。

■監修者

名前:齋藤 彩(さいとう あや)
所有資格:CFP(Certified Financial Planner)、1級FP技能士、薬剤師免許

おもなキャリア:
急性期総合病院において薬剤師として勤める中、がん患者さんから「治療費が高くてこれ以上治療を継続できない」と相談を受けたことを機にお金の勉強を開始。ひとりの人を健康とお金の両面からサポートすることを目標にファイナンシャルプランナーとなることを決意。現在は個人の相談業務・執筆活動を行っている。