相続とは?相続税の仕組みや相続税対策についても解説

2024年01月30日

「相続」が財産の引き継ぎを意味することは何となく知っていても、具体的に何を準備すべきかわからないという方は多いでしょう。さらに、相続税の仕組みや相続税対策も複雑で、どうすれば良いか悩んでしまうかもしれません。

そこでこの記事では、相続の基礎知識をはじめ、相続税の仕組みやおすすめの対策について解説します。相続に関する疑問や不安を解消し、スムーズな相続に向けた知識を手に入れましょう。

そもそも「相続」とは?

相続とは、亡くなった方が所有していた財産を、配偶者や子どもなどが引き継ぐことです。亡くなった方を「被相続人」と呼び、財産を受け継ぐ方を「相続人」と呼びます。相続では、現金や不動産などのプラスの財産以外に、借金などのマイナスの財産も引き継がれることに注意しましょう。

なお、相続は財産を引き継ぐ範囲によって単純承認・限定承認・相続放棄の3つに分けられています。

・単純承認:相続人がプラスとマイナスの財産をどちらも引き継ぐ方法
・限定承認:相続人がプラスの財産の範囲内で、マイナスの財産も引き継ぐ方法(相続した財産以上に債務を引き受けなくて良い方法)
・相続放棄:相続人がプラスとマイナスの財産を一切引き継がない方法

限定承認にする場合は、相続人全員で家庭裁判所に申し立てを行なう必要があります。

相続財産の種類

相続財産にはプラスの財産とマイナスの財産があり、プラスの財産には以下のようなものが含まれます。

・不動産:土地や建物など
・金融資産:預金や株式、債券など
・動産:車両や家具、宝石などの資産
・その他:知的財産や事業権などの権利

一方、マイナスの財産には、以下のようなものがあります。

・借金:住宅ローンやクレジットカードの利用残高など
・保証債務:被相続人が他人の借金の保証人となっている場合の責任
・公租公課:固定資産税や所得税などの未納分
・その他:未払いの請求書や家賃など、上記に該当しない負債

法定相続人とは?

法定相続人とは、被相続人と一定の身分関係にある人のことを指します。具体的には、配偶者・子ども・孫・親・兄弟姉妹などが該当し、被相続人の財産は基本的に法定相続人が相続します。

法定相続人の相続順位と相続割合は、民法で次のように定められています。なお、被相続人の配偶者は、常に法定相続人になることを把握しておきましょう。

・配偶者
被相続人に配偶者がいる場合は配偶者が常に相続人になり、配偶者には法定相続分として一定割合の相続が保護されます。残りの割合は、以下で説明する第1順位~第3順位のいずれかに相続されます。

第1順位:子ども(子がいない場合は孫)
被相続人に配偶者と子どもがいる場合、相続財産の割合は配偶者が2分の1、子どもが2分の1です。

第2順位:親(親がいない場合は祖父母)
第2順位の相続人には被相続人の両親が該当し、第1順位の相続人がいない場合に繰り上がって、相続権を持ちます。配偶者との相続財産の割合は、配偶者が3分の2、両親が3分の1です。

第3順位:兄弟姉妹
第3順位の相続人には被相続人の兄弟姉妹が該当し、第1順位・第2順位とも存在しない場合に繰り上がって相続権を持ちます。配偶者との相続財産の割合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1です。

3種類の相続方法とは?

相続方法は以下の3種類に分けられます。

遺言による相続

遺言による相続とは、亡くなった方が書いた遺言書に沿って相続する方法です。遺言書の内容は法定相続より優先されます。

なお、遺言には以下の3種類があります。

・自筆証書遺言:被相続人自身が手書きで作成し、署名・押印した遺言書
・公正証書遺言:公証役場の公証人と2人以上の証人が立ち会い、被相続人の意思を確認したうえで、公証人が作成する遺言書
・秘密証書遺言:被相続人が内容を秘密にして作成する遺言書で、公証役場の公証人と2人以上の証人による、秘密証書遺言であることの確認が必要

遺言書で指定すれば、法定相続人以外の人(受遺者)にも財産を譲ることが可能です。ただし、法定相続人(被相続人の兄弟姉妹を除く)には「遺留分」と呼ばれる一定の相続分が保証されており、最低限の相続を請求する権利があります。

遺産分割協議

遺言書がない場合、遺産分割協議が行なわれる場合があります。遺産分割協議は、相続人全員で話し合いを行ない、遺産分割方法や割合を決める方法です。法定相続分と異なる遺産分割を行なう場合や、遺言書に記載のない財産の取り扱いを決めるために行なわれます。

遺産分割協議では、話し合いで合意した内容を「遺産分割協議書」と呼ばれる文書にまとめ、署名・押印して相続人が1通ずつ所有します。

関連記事:遺産分割協議書とは?必要なケースや作成の流れ、相続財産について解説

遺産分割調停・審判

遺産分割協議で相続人全員の合意が得られない場合、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。また、遺産分割調停でも合意が得られない場合は、遺産分割審判を行なうことになります。

遺産分割審判は、家庭裁判所の裁判官が遺産分割方法を決定し、遺産の分割を命じるものです。より強制力があるものですが、基本的には法定相続分に沿って遺産分割を行ないます。

相続税の仕組みとは?

相続税とは、財産を引き継いだ相続人に課される税金のことです。ただし、相続税は必ず課税されるわけではなく、財産の総額が一定額(控除額)を超えた場合にのみ発生します。なお、これまで相続税の課税対象となった件数は、1年間に起きた相続全体の約9.3%です。

相続税の税率が適用されるのは、相続財産の総額から基礎控除額を差し引いた金額に対してです。なお、基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)」で計算されます。

例えば、配偶者と子ども2人がいる場合の基礎控除額は4,800万円です。この場合、遺産総額が1億円とすると、基礎控除額の4,800万円を差し引いた、5,200万円に対して相続税がかかります。

ただし、基礎控除額を超えても、特例や他の控除を活用することで課税対象にならないケースもあります。

おすすめの相続税対策4選

相続税は、原則として現金一括納付です。売却できない財産の割合が大きい場合などは、相続人にとって大きな負担になるかもしれません。そのため、相続税の基礎控除額を超える可能性がある場合は、相続税対策を行なっておくのがおすすめです。

以下では、おもな相続税対策を4つ紹介します。

生前贈与

生前贈与とは、被相続人が生きているうちに無償で財産をほかの人に譲ることです。生前贈与により相続財産の総額を減らすと、結果的に相続税を節税できます。

生前贈与の方法としては、1年あたり110万円以下の贈与を行なう「暦年贈与」がおすすめです。年間110万円の基礎控除があるため、この金額を超えないように贈与すれば、課税されずに財産を譲れます。

ただし、暦年贈与を連年続けて行なうと、「連年贈与」と判断される場合があるので注意しましょう。連年贈与と判断されると、あらかじめ譲るつもりだった金額を分割して贈与しているだけとみなされ、贈与の合計金額に対して贈与税が発生してしまう可能性があります。

また、相続開始前一定期間に行なわれた贈与分は、相続財産に含める必要があるため注意しましょう。2023年(令和5年)までは相続開始前3年以内、2024年(令和6年)以降は7年以内の生前贈与が加算の対象になりますので、こちらも注意しておきましょう。

生命保険

生命保険の保険金は相続税の課税対象ですが、「500万円×法定相続人の人数」の非課税枠があります。相続税の基礎控除額を上回る部分を生命保険の保険料として支払っておけば、生命保険の非課税枠が利用でき、結果的に節税になります。

なお、受取人が指定された生命保険金は相続財産に含まれず、遺産分割の対象にもなりません。また、相続放棄している方も、生命保険金は受け取れます。ただし、生命保険金の非課税枠は、法定相続人以外の方や相続放棄した方は使えないので注意しましょう。

お墓・仏壇の生前購入

お墓や仏壇は相続税の課税対象外なので、生前に購入しておくことで相続財産を減らせます。

ただし、金の仏像などの骨董価値があるものは、相続税の課税対象になる点に注意してください。また、お墓をローンで購入して完済前に亡くなった場合の未払い金は、遺産総額から控除されません。

不動産投資

不動産投資も相続税対策として有効です。不動産は現金に比べて相続税評価額が低いため、不動産投資によって評価額の圧縮につながり節税になります。

例えば、現金5,000万円で購入した不動産は、3割減の3,500万円まで評価額が落ちることがあります。この場合、1,500万円分は課税対象から外せますが、実際の資産価値が3割減るわけではないので、節税の方法としておすすめです。

また、所有する不動産を賃貸物件として活用すれば、相続税評価額をさらに下げられます。不動産購入時に借入金を作れば、マイナスの財産を作る効果もあります。

不動産投資は、家賃収入や将来の売却益も期待できるため、残された家族の生計にも寄与できるでしょう。空室リスクや災害リスクなどの考慮は必要ですが、節税効果だけでなく資産運用もできるため、検討に値する方法といえます。

「COZUCHI」の中長期運用型は相続税対策としても期待できる

不動産投資クラウドファンディングは、「任意組合型」の場合に、相続税対策として効果が期待できます。

任意組合とは、複数の組合員(投資家)による出資を通じて結成する組合が、共同で事業を営むものです。任意組合型の不動産投資では、不動産運営は業務執行組合員である事業者に委任します。そのため、投資家は自らが事業運営する手間をかけることなく、不動産を実際に所有するのと同様のメリットを得られます。このように、任意組合型の不動産投資には所有権があるため、相続税対策になります。

COZUCHIの「中長期運用型」は、任意組合型の不動産投資クラウドファンディングです。お好きなファンドを選んで投資するだけで、半年に1回の定期的な配当金が期待できるほか、不動産売却にともなってキャピタルゲインが発生した場合も、持ち分に応じて配当されます。

10万円から投資が可能で、一般的な不動産投資で必要となる多額の資金やローンも、COZUCHIの中長期運用型なら必要ありません。

相続税対策も期待できるだけでなく、投資先としても魅力的な選択肢となっているので、気になる方はぜひ一度サービス内容をご覧ください。

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まとめ

相続とは、亡くなった方の財産を引き継ぐことです。相続財産には現金や不動産のほか、借金などのマイナス資産も含まれ、基本的には法定相続人が相続します。

相続が一定額以上になると、基礎控除額を超えた部分に相続税が課せられます。相続税は財産を引き継いだ相続人に課税されるため、その金額によっては相続人にとって大きな負担になることに注意が必要です。

そのため、一定額以上の相続が見込まれる場合は、生前贈与や生命保険、お墓・仏壇の生前購入、不動産投資などにより節税対策を行なうとよいでしょう。

 

【監修者】

名前:金子 賢司
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。
保有資格:CFP