遺産分割協議書とは?必要なケースや作成の流れ、相続財産について解説
2024年01月30日
遺産分割協議書とは、遺産相続にあたり相続人全員が話し合って合意した内容を書面にまとめたものです。遺産分割協議書は、遺産分割の結果を証明するために作成が必要なケースもありますが、法的な作成義務はありません。そのため、自分の遺産相続のケースでは作成すべきかどうかを知りたい方もいるでしょう。
この記事では、遺産分割協議書が必要になるケースや、遺産分割協議書の作成の流れを解説します。遺産分割協議書を作成することで、相続手続きがスムーズに進むだけでなく、相続人同士でのトラブルも防げるでしょう。
遺産分割協議書とは?
遺産相続にあたっては、被相続人(亡くなった方)の相続財産をどのように分けるか相続人全員で話し合う遺産分割協議を行ないます。遺産分割協議書とは、その遺産分割協議で合意した結果をまとめた書面です。規定の書式はありませんが、相続人全員が署名・押印し、印鑑証明書を添付する必要があります。
遺産分割協議書には、法的な作成義務はありません。しかし、相続内容を明確にしておかなければ、あとから相続人同士のトラブルにつながるおそれがあります。また、遺産の名義変更などで遺産分割協議書を求められることもあるため、作成するのが望ましいでしょう。
遺産分割協議書の作成が必要なケース
相続財産を遺言書の内容どおりに分ける場合や、法律で定められた相続割合(法定相続)のとおりに分ける場合には遺産分割協議を行なわないため、遺産分割協議書を作成する必要はありません。相続人が1人しかいない場合も同様です。
しかし、以下のケースでは遺産分割協議が必要なため、遺産分割協議書の作成が必須です。
●遺言書がなく、法定相続とは異なる分け方をする場合
●相続人全員が遺言書に従わない遺産分割を希望している場合
●遺言書に記載されてない相続財産が見つかった場合
このほか、相続財産に不動産や自動車がある場合にも、名義変更手続き時に遺産分割協議書の提出を求められるため、遺産分割協議書作成の必要があります。
遺産分割協議には作成期限はありませんが、相続税の納付期限は相続の発生より10ヵ月以内です。そのため、すみやかに遺産分割協議を行ない、遺産分割協議書を作成することをおすすめします。
相続財産に含まれるもの・含まれないもの
遺産分割を行なう際には、遺産分割協議の対象となる相続財産に含まれるもの・含まれないものを正しく理解しておくことが必要です。それぞれ具体例を挙げて詳しく紹介します。
相続財産に含まれるもの
相続財産に含まれるものは、被相続人が亡くなった時点で保有していた、すべての財産と負債です。具体的には、以下が挙げられます。
●現金や預貯金
●株式や小切手、債券などの有価証券
●不動産(自宅の土地・建物、事業用の土地・建物、山林など)
●動産(車や貴金属、骨董品など)
●ゴルフ会員権
●借金やローン残債
●未払いの税金
相続財産に含まれないもの
一方で民法上の相続財産に含まれないものには、以下が挙げられます。
・墓や仏壇・仏具などの祭祀財産
先祖を祀るための財産であるため、相続人で分割する対象とはされません。
・香典
香典は被相続人ではなく、喪主・遺族への贈与とみなされます。
・受取人が指定されている生命保険金
受取人が指定されている場合は、受取人固有の財産とみなされます。
・被相続人だけが行使できる権利や義務
年金受給権や養育費の請求権などの権利です。
・受給権者が特定している死亡退職金
遺族固有の財産であるため、相続財産には含まれません。
ただし、生命保険金や死亡退職金はみなし相続財産という扱いになり、相続税の課税対象となるため注意が必要です。
遺産分割協議書を作成する流れ
遺産分割協議書を作成する流れを、4つのステップに分けて説明します。
(1)相続人を明確にする
遺産分割協議には、相続人全員が参加しなければなりません。そこでまず、相続人を明確にする必要があります。
相続人を明確にするには、被相続人が出生してから死亡するまでの戸籍をすべて取り寄せて調べます。家族関係を把握するために、相続人全員の戸籍も必要です。
相続人には、被相続人の配偶者や子、両親などが挙げられます。被相続人の家族構成によっては、兄弟姉妹や孫、甥や姪が相続人となる場合もあるでしょう。
戸籍を確認すると、過去に認知していた子など遺族が認識していない血縁者が出てくる可能性もあるため、調査に時間がかかることも考慮しておいてください。
(2)被相続人の相続財産を洗い出す
遺産分割協議にあたっては、被相続人の相続財産をすべて洗い出す必要があります。被相続人の通帳や書類を確認したり、金融機関に問い合わせたりして把握しましょう。判明した相続財産は、目録としてまとめるのがおすすめです。
財産の洗い出しでは、プラスの財産はもちろん、借金や未払いの税金など、マイナスの財産も忘れずに含めてください。近年では、インターネット銀行などの口座もあるため、被相続人が使用していたパソコンやスマートフォンも確認する必要があるでしょう。
また、相続財産の洗い出し時点で、遺言書が見つかっていないか確認することも大切です。遺産分割協議後に遺言書が出てくると、トラブルの原因となるため注意しましょう。
(3)遺産分割協議を行なう
相続人や相続財産、遺言書の有無が明確になったら、誰がどのように財産を相続するのかを決めるために、遺産分割協議を行ないます。遺産分割協議では全員の合意が必要なため、その場に集まれない相続人がいる場合は、電話などで意思確認してください。
遺産分割は、相続人全員が合意すれば分け方は自由です。自宅のように分割が難しい不動産は、どのような方法で相続するかよく考える必要があります。
遺産分割協議では相続人によって主張が異なり、一度では話がまとまらないケースも珍しくありません。相続税の申告も必要なため、早めに遺産分割協議を開始するとよいでしょう。
(4)遺産分割協議書を作成する
相続人全員の合意が得られたら、協議内容をまとめて遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書に指定の書式はありませんが、以下の項目が必須です。
●被相続人の名前
●被相続人の死亡日
●相続人が遺産分割の内容に合意している旨
●相続財産と遺産分割の内容
●相続人全員の名前、住所、実印(未成年の場合は法定代理人の実印、印鑑証明書)
国税庁のWebサイトにある「相続税の申告のしかた」のなかに、遺産分割協議書の記載例があるため、参考にして作成するとよいでしょう。法律事務所のWebサイトなどでも、フォーマットが公開されています。
おもな相続財産の書き方は以下のとおりです。
【不動産】
登記簿謄本の表題部のとおりに記載します。
【預貯金】
金融機関名・支店名・口座番号・口座名義人を記載します。ただし、残高は利息により変動するため、記載しません。
【有価証券類】
証券会社名・支店名・有価証券の種類や数量などを記載します。
【自動車】
自動車登録番号・車台番号を記載します。
遺産分割協議書はトラブル防止のため、相続人全員が同じ内容のものを所持しておくのが一般的です。また、名義変更などの手続きで遺産分割協議書の提出が必要な際には、相続人全員分の印鑑証明書の添付が必要になります。
なお、間違いや不備が見つかった場合には、作成し直しとなるため注意してください。
財産を相続したあとはどうする?
財産を相続したあとは、どのように取り扱ったらよいのでしょうか。相続で取得することの多い不動産と預貯金について、相続後の運用方法を考えてみましょう。
不動産を相続した場合
不動産を相続した場合、自分や家族が住むほか、住む予定がなければ賃貸物件として利用できます。人に貸し出せば、定期的に家賃収入を得られるでしょう。
ただし、不動産を所有すると、毎年固定資産税などを負担しなければなりません。立地などの条件が悪く借り手が見込めない場合には、売却して他の方法で運用するという選択肢も検討したほうがよいでしょう。
預貯金を相続した場合
預貯金の相続によって、まとまった現金を手にすることもあるでしょう。
相続後に注意したいのは、そのまま預金しておいても利息が期待できないことです。現在の日本は超低金利状態にあるため、相続した預貯金をそのまま受け継いでもほとんど増えません。それどころか、インフレの進行により、資産価値が目減りしてしまうこともあるでしょう。
金利の低さやインフレのリスクに備えるためには、現金からインフレに強い資産に替えて運用するのがおすすめです。インフレに強い資産には、株式投資や不動産投資などが挙げられます。
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まとめ
遺産分割協議書は、遺言や法定相続分以外の割合で遺産を分割する際に、遺産を相続人間でどのように分けたかを明らかにするために作成します。不動産などの名義変更時や相続税申告時には、遺産分割協議書の提示が必要です。
遺産分割協議を行なう際には、どの財産が相続財産に含まれるか、間違えないようにしましょう。また、相続人同士でのトラブルがないように、プラスの財産も負債も漏れのないよう調査します。相続人全員でしっかりと協議し、遺産分割協議書にまとめてください。
【監修者】
名前:金子 賢司
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。
保有資格:CFP