不動産投資ローンとは?利用するメリットや審査落ちした場合の対策を解説

2023年09月27日

不動産投資に興味がある方のなかには「不動産投資ローンは住宅ローンと比べてどのような違いがあるのだろう?」「審査ではどのような点を見られるのだろうか?」などと疑問を持っている方もいるでしょう。不動産投資ローンは住宅ローンとは性質が異なり、金利や審査の内容などが変わります。

本記事では、不動産投資ローンとはどのようなものなのか、住宅ローンとの違いや利用するメリット、審査に落ちた場合の対策などを解説します。

不動産投資ローンとは

不動産投資ローンとは、投資用の不動産を購入するためのローンで、「アパートローン」と呼ばれることもあります。自分が居住する不動産とは異なり、投資によって収益を上げることが目的であるため、借入には事業計画の提出が求められるなど審査は厳しめです。

不動産投資ローンは保証会社を使うことが一般的ですが、なかには保証会社を利用せず、金融機関が独自の審査で資金を貸し出す「プロパーローン」もあります。プロパーローンは金利が低い傾向があるものの、審査はアパートローンよりも厳しいでしょう。

不動産投資ローンと住宅ローンの違い

不動産投資ローンと住宅ローンの違いはどこにあるのでしょうか。不動産投資ローンは、先ほども説明したように、“投資用の不動産を購入するため”のローンです。それに対して住宅ローンは“自分が住むための不動産を購入するため”のローンです。住宅ローンは、不動産投資ローンと比較すると融資限度額は低めですが、金利が低く、審査も厳しくない傾向があります。

「それなら住宅ローンで資金を借りて、不動産へ投資すればよいのでは?」と考えた方もいるかもしれません。しかし、住宅ローンで借りた資金で投資用の不動産の購入は認められていません。住宅ローンと不動産投資ローンでは貸し出しリスクが異なるため、不動産投資ローンは審査が厳しめになっているのです。

住宅ローンを不動産投資に使用すると不正利用とみなされ、ローンの一括返済を求められるほか、その後の融資も受けられなくなることがあります。そのため、住宅ローンを不動産投資に利用することはやめましょう。

不動産投資ローンを利用するメリット

不動産投資ローンは住宅ローンと比べて金利が高く審査が厳しいケースが一般的ですが、利用することで大きく3つのメリットがあります。

自己資金だけでは購入できない物件に投資できる

1点目のメリットは、自己資金だけでは購入できない物件へ投資できることです。不動産投資は初期費用が多くかかるため、自己資金だけでは投資できる物件が限られます。しかし、自己資金に不動産投資ローンで借りた資金を加えれば、より高額な不動産へ投資も可能です。高額な不動産は、低額な不動産と利回りが同じであっても収益が多くなります。レバレッジ効果により大きな収益が得られるでしょう。

自己資金を残せる

2点目のメリットは自己資金を残せることです。自己資金だけで不動産投資を行なうと、手もとに資金を残せなくなる可能性があります。不動産を運用していると、修繕費などで急な資金が必要になるケースがあるため、ある程度の資金を手もとに置いておくことが大切です。不動産投資ローンを利用すれば、初期費用をローンでまかなえるぶん手もとに資金を確保しやすいでしょう。

団体信用生命保険に入れる

3点目のメリットは団体信用生命保険、いわゆる「団信」に入れることです。団体信用生命保険とは、ローンを完済する前に債務者が亡くなった場合、残ったローンを生命保険で支払ってもらえる制度です。債務者にもしものことがあったとしても、ローンが残らない形で家族に不動産を残せます。ただし、団体信用生命保険は生命保険の一種であるため、健康状態が悪い場合は利用できないこともあります。

不動産投資ローンで審査される項目

先ほど不動産投資ローンの審査は厳しめだと説明しました。それでは不動産投資ローンでは具体的にどのような項目が審査されるのでしょうか。不動産投資ローンでおもに審査される項目を解説します。

物件の収益性

不動産投資ローンでは、ローンが返済不可能になった場合に備えて不動産に抵当権を設定します。実際にローンの返済が不可能になった場合には、抵当権によって不動産を差し押さえて売却し債権を回収する仕組みです。そして、債権を回収できる金額で物件を売却するためには物件の担保価値が大切です。

担保価値は、空室リスクや利回りなどによって決まります。立地が悪い、築年数が経過しているなどの要因により収益性が悪いと判断された場合は、たとえその他の条件が良くても審査が通らない可能性があります。

個人の属性

不動産投資ローンでは、物件の収益性だけではなく個人の属性も審査されます。具体的な審査内容は、年収や職業、不動産経営の実績などです。年収は、金融機関によってまちまちですが、700万円以上が目安といわれています。地方銀行やノンバンクは最低ラインが低めですが、都市銀行は最低ラインが高めです。

また、自営業など社会的に不安定とみなされる職業の場合は、年収にかかわらず審査が通らない可能性があります。逆に、大企業の正社員や公務員、医師など安定した職業の場合は審査に有利です。

自己資金

自己資金がゼロでも不動産投資ローンの審査に通過することは不可能ではありませんが、自己資金があればあるほど審査に通りやすくなります。購入を検討している不動産価格の10%以上は自己資金が欲しいところで、20%以上あればより審査に通りやすくなるでしょう。逆に自己資金が少なく、ほかの用途で借入をしていると審査には不利に働きます。

不動産投資ローンの審査で落とされた場合の対策

不動産投資ローンの審査に落とされた場合は、以下に紹介する対策を検討してみてください。

物件を見直す

不動産投資ローンの審査では、物件の収益性が大切です。審査に落ちた場合は、まず投資を検討している物件を見直してみましょう。例えば、物件は法定耐用年数が長いほど審査に有利です。鉄筋コンクリート造りなど耐用年数が高い物件は担保価値も上がる一方、木造アパートなど法定耐用年数が短い物件は担保価値が下がります。結果的に融資を受けにくくなるでしょう。

なお、一般的に融資期間は法定耐用年数までのため、耐用年数が残っている物件ほど融資期間も長くなり借り手にとって有利です。

自己資金を増やす

自己資金が多ければ多いほど、「計画性がある」「突発的なトラブルにも対処できる」とみなされ、不動産投資ローンの審査に通りやすくなります。そのため、自己資金が少ない方は、まず資金を増やすようにしましょう。特に、年収や職業など個人属性に不安がある方の場合は、自己資金を増やしたほうがよいでしょう。

別の金融機関へ相談する

不動産投資ローンの審査はすべての金融機関で一律ではなく、それぞれの金融機関によって審査内容や基準が異なります。そのため、A銀行で審査が通らなかった場合でも、B銀行であれば審査が通ることもあり得ます。また、地方の物件を購入するのであれば、その土地に拠点のある地方銀行など、地縁のある金融機関を選ぶと審査に通りやすくなることがあります。

ほかにも、日本政策金融公庫を利用するという方法もあります。日本政策金融公庫は中小企業や小規模事業者などへの支援が目的であることから、一般の銀行で融資が難しい場合でも融資を受けられる可能性があります。ただし、融資期間が一般の銀行より短めであるほか、融資の限度額も低めです。そのため、自己資金がより多く必要になるなどの注意点もあります。

不動産会社へ相談する

不動産会社へ相談することも対策の一つです。不動産会社のなかには特定の金融機関と提携している場合があり、審査に通りやすくなる可能性があります。また、不動産投資ローンの手続きや不動産購入後の運用などに関してもアドバイスをもらえるでしょう。

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これまで解説してきたように、不動産投資ローンは住宅ローンと違う点が多くあります。不動産ローンは住宅ローンに比べて金利が高い傾向にあり、審査も厳しいことは事実です。また、不動産投資ローンによって資金が得られたとしても、収益性のある物件を見極めることができなければ、ローンだけが残されてしまう可能性もあります。そのため、不動産投資は初心者にとってはハードルが高いかもしれません。

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まとめ

不動産投資を目的に投資用の不動産を購入する場合、多くの初期費用がかかります。そのため、不動産投資ローンを利用する方が多いでしょう。しかし、不動産投資ローンは住宅ローンと比べて審査が厳しめです。物件や個人の属性などによっては、審査が通らないこともあり、特に年収が700万円に満たない方や自営業の方などは審査が厳しくなります。

不動産投資ローンの審査になかなか通過しない方や、もっと気軽に少額から不動産投資を初めたい方には、不動産投資クラウドファンディングという選択肢もあります。不動産投資クラウドファンディング「COZUCHI」ならローンを組む必要はなく、1万円から不動産投資が可能です。不動産投資を考えているのであれば、ぜひ利用を検討してみてはいかがでしょうか。

【監修者】

名前:金子 賢司
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。
保有資格:CFP