老後2,000万円問題とは?対処法やおすすめの資産運用方法について紹介!
2023年08月29日
数年前のニュースで、老後2,000万円問題が話題になりました。「2,000万円」という言葉にショックを受けた方もいるかもしれません。しかし果たして本当に、老後の備えとして2,000万円も必要なのでしょうか。必要だとしたらどのような備えが求められるのでしょうか。
この記事では、老後2,000万円問題の概要や対処法、おすすめの資産運用方法などについて解説します。
老後2,000万円問題とは?
老後2,000万円問題とは、2019年に金融庁が作成した「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」という資料のなかで以下のような記述があったものです。
・夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦2人の平均的な高齢世帯では毎月約5万円が不足
・20~30年この状態で暮らす場合、総額で1,300万~2,000万円が不足
衝撃的な内容であったため当時話題となりましたが、これはあくまで平均的な不足額から算出したものであり、必ずしも「老後資金として2,000万円が必要」という意味ではありません。それぞれの収入や支出、生活レベルなどによって必要な金額は異なります。老後2,000万円問題は、あくまで現役世代が「今後どのような資産形成をしていくべきか」という提言にすぎません。
「老後資金2,000万円が必要」といわれる背景
すべての世帯で老後資金2,000万円が必要というわけではありません。しかし、「老後資金2,000万円」が提言されたのは、それなりの背景があるからです。ここでは3つの要因から解説します。
平均寿命が延びている
1点目は平均寿命が延びていることです。2019年に金融庁が作成した「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」によると、日本人男性の平均寿命は1950年頃には約60歳でしたが、2017年時点では約81歳まで延びています。現在60歳代の人々は、およそ4分の1が95歳まで生きるとされており、「人生100年時代」と呼ばれる高齢社会を迎えようとしています。
長生きできる人が増えることは、一見喜ばしいことのようにも思えますが、長く生きればそれだけ生活資金も必要となります。平均寿命は男性約81歳、女性も約87歳と伸びたものの、健康に生活できる健康寿命は平均寿命より短く、10年前後は日常生活に何らかの制限がある可能性があります。健康を損なうと働くことも難しくなるため、早めに生活資金を確保する必要があるでしょう。
退職金の給付額が減少傾向にある
2点目は退職金の給付額が減少傾向にあることです。2019年に金融庁が作成した「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」によると、1997年の調査では、退職金の平均額は3,203万円でしたが、2017年には1,997万円まで減少しています。
また、退職金制度自体をもたない企業も増加。1992年の調査では企業の92%に退職金制度がありましたが、2017年には80.5%まで減少しています。
日本では従来終身雇用制度(年功序列)がとられていたため退職金も充実していましたが、昨今では終身雇用制度から成果主義へ移行する企業が増えています。成果主義では、退職金についてもそれまでの成果によって金額を算定するため、従来よりも減額されるケースが増加するでしょう。そのため、退職金と年金だけでは豊かな老後生活を送ることが難しくなりつつあります。
働き方が多様化している
3点目は働き方が多様化していることです。終身雇用制度が崩壊しつつある今、転職者が増加しており、転職は珍しいことではなくなりつつあります。退職金の給付額は勤続年数や雇用形態などによって異なるため、転職者が退職金制度のある企業に勤めたとしても、終身雇用だった場合と比べて退職金が少なくなったり、もらえなかったりする場合もあるでしょう。
また、フリーランスという働き方を選択するケースも増えています。フリーランスではそもそも退職金制度がありませんし、年金も国民年金のため、会社員が加入する厚生年金と比べると受給額が少なくなります。
このように働き方が多様化していることから、老後に備えた資金作りが必要とされているのです。
老後2,000万円問題に対処するには?
それでは老後2,000万円問題について、具体的にどのように対処すればよいのでしょうか。2つの対処法を解説します。
老後のライフプランを作成する
冒頭でお話ししたように、老後2,000万円問題は個人によって必要な金額が異なります。まずは、老後のライフプランを作成することで、老後の生活に必要な生活費を把握しましょう。そうすれば、自分には老後資金がどのくらい必要なのか、これから何をしなければならないかがわかるからです。
具体的には、現在から老後までのキャッシュフロー表を1年ごとに作りましょう。キャッシュフロー表とはお金の流れを可視化するものです。収入・支出・資産残高の3つを1年ごとに計算します。教育費や住宅ローンの一括返済、車の買い替えなど将来必要なイベントも記入していくことで、将来の資産がどの程度になるか、老後の備えがどのくらい足りないのかが予測できるようになります。
作成したキャッシュフロー表に基づいて、生活費の見直しなどを行ないましょう。住居費、通信費、生命保険料などの固定費を見直すと効果的です。
正確なキャッシュフロー表を作成するには日々の収支管理も欠かせません。こまめに収支管理を行なうことで、無駄な出費に気付きやすくなります。現役時代に浪費癖がついてしまうと、収入が減少する老後に苦労することになるかもしれません。支出を減らして、用意しなければならない資金を少なくすることも大切です。
投資で長期的な資産形成をする
キャッシュフロー表により、老後までに用意しなければならない資金額がわかったら、次は投資です。銀行の預貯金は低金利が続いており、お金を預けているだけではなかなか資産を増やせないため、投資によって資産形成をするのがおすすめとなります。
投資はできるだけ早く始めて、時間をかけて資産を築いていきましょう。時間が長ければ長いほど複利効果を得られやすくなり、効率的に資産を増やせます。また、早めに投資を始めることで、投資の経験や知識を積める点もメリットです。
老後2,000万円問題への備えにおすすめの資産形成方法
老後2,000万円問題に備えるには、長期的な投資による資産形成が必要です。おすすめの投資方法を3つ紹介します。
NISA・つみたてNISA
NISA・つみたてNISAは、日本に在住している個人向けの税制優遇制度です。18歳以上が対象で、1人1口座開設でき、NISAまたはつみたてNISAのどちらかしか利用できません。
NISAは投資による利益が最長5年間非課税であり、年間120万円まで投資可能です。運用商品は株式、ETF、投資信託などです。
つみたてNISAは、投資による利益が最長20年間非課税となり、年間40万円まで投資可能です。投資対象は金融庁が認めた投資信託のみになるため、NISAよりは選択肢が狭まります。
長期運用を検討しているのならつみたてNISAが、投資の知識がありさまざまな金融商品に投資したい場合はNISAがよいでしょう。
なお、NISA・つみたてNISAは2024年から制度が変わります。新しい制度では「成長投資枠」「つみたて投資枠」という名称に変わり、年間投資枠が成長投資枠は240万円、つみたて投資枠は120万円、ともに非課税期間が無期限になるなど、現在の制度よりも使いやすくなっています。
現行NISA | 2024年からの新NISA | |||
NISA | つみたてNISA | 成長投資枠 | つみたて投資枠 | |
非課税期間 | 5年間 | 20年間 | 無期限 | 無期限 |
年間投資枠 | 120万円 | 40万円 | 240万円 | 120万円 |
運用商品 | 株式、ETF、投資信託、REITなど | 金融庁が認めた投資信託 | 株式、投資信託など | 金融庁が認めた投資信託 |
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、老後資金不足をカバーする制度としてつくられた私的年金制度です。定期預金や投資信託などを運用して利益を得ます。
NISAのように利益が非課税になるだけでなく、掛け金は全額所得控除の対象になるため、所得税や住民税を軽減できます。さらに、受給する際も控除を受けられる点などがメリットです。
税制上のメリットがNISAよりも多いため、iDeCoのほうが良いのではないかと思うかもしれませんが、iDeCoは原則60歳まで運用資産を引き出せません。その点NISAはいつでも運用資産を売却して現金にできます。
iDeCo | 現行NISA | |
投資上限額 | 1万2,000~6万8,000円/月(職業などによって異なる) | NISA:120万円/年
つみたてNISA:40万円/年 |
税制上のメリット | ・掛け金全額所得控除の対象
・運用益非課税 ・受給時に各種控除など |
運用益非課税 |
途中換金 | 原則60歳まで不可 | 可能 |
運用商品 | 定期預金・投資信託・保険商品 | NISA:株式、ETF、投資信託、REITなど
つみたてNISA:金融庁が認めた投資信託 |
不動産投資
不動産投資は、土地やアパートなどの不動産を購入して、第三者に貸し出し利益を得る方法です。入居者が定着すれば、長期的に安定した収入を得られます。
ただし、現物不動産投資は初期費用が多くかかります。また、購入したら終わりというわけではなく、不動産の管理も必要です。さらに、不動産には家賃の下落リスクや空室リスクなどもあるため、初心者には難しいかもしれません。
しかし、最近では不動産投資クラウドファンディングが広がりを見せています。不動産投資クラウドファンディングとは、クラウドファンディングで多くの投資家を募って出資を得て、共同で不動産に投資する方法です。少額から投資できる点や、不動産の管理を任せられる点などがメリットです。詳しい内容は以下の記事をご覧ください。
【初心者必見】現物不動産投資とは?仕組みやメリット・デメリットについてわかりやすく解説
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まとめ
老後2,000万円問題は、老後資金の備えとして2,000万円が必要というものですが、すべての人に当てはまるわけではなく、人によって必要な金額は異なります。まずは、キャッシュフロー表などにより、自分にとって必要な備えがどの程度なのかを把握することが大切です。
必要な金額を把握したら、資産形成のため早めに投資を始めることがおすすめです。自分に合った投資法を選んで老後に備えていきましょう。
■監修者
名前:齋藤 彩(さいとう あや)
所有資格:AFP(Affiliated Financial Planner)、薬剤師免許
おもなキャリア:
急性期総合病院において薬剤師として勤める中、がん患者さんから「治療費が高くてこれ以上治療を継続できない」と相談を受けたことを機にお金の勉強を開始。ひとりの人を健康とお金の両面からサポートすることを目標にファイナンシャルプランナーとなることを決意。現在は個人の相談業務・執筆活動を行っている。