現物不動産投資で節税はできる?節税の仕組みや注意点を解説
2023年07月31日
現物不動産投資は、節税手段の一つです。しかし、実際にどのような仕組みで節税になるのかわからないという方は多いのではないでしょうか。
この記事では、現物不動産投資における節税の仕組みや注意点について解説します。現物不動産投資と節税の基礎知識が簡単に理解できる内容になっているので、ぜひ最後までお読みください。
現物不動産投資で節税できる理由
不動産投資で節税ができる仕組みには、税金の軽減や経費計上などが関わっています。この章では、5つの視点から不動産投資と節税の関係性を解説します。
減価償却費
不動産投資を活用した節税手段の一つが、減価償却を利用した方法です。
減価償却とは、不動産など価値が年々減っていく資産を購入した場合に、法定耐用年数に応じて分割して経費として計上できる制度を指します。これによって、本来であれば購入した年度にまとまった経費として計上するところを、法定耐用年数が経過するまでの複数年にわたって計上できるため、その間の所得を少なく申告することが可能です。結果的に、所得税や住民税などの節税対策につながります。
法定耐用年数とは法律で定められた「対象の資産を使用可能とする期間」のことです。一般的な住宅の場合、法定耐用年数は以下のように定められています。
・木造:22年
・木骨モルタル造:20年
・鉄骨鉄筋コンクリートまたは鉄筋コンクリート造:47年
・レンガ・石・ブロック造:38年
・金属造(骨格材の肉厚が3ミリメートル以下):19年
減価償却の代表的な計算方法に、定額法と定率法があります。定額法は毎年同じ額を償却する方法で、定率法は初期に多額を償却し年々その額を減らしていく方法です。建物やそれに付随する設備などについては、基本的に定額法を用います。
一例として、木造の住宅購入における定額法を使った減価償却費のおおまかな計算は、以下のとおりです。
<条件>
取得価額:2,000万円
法定耐用年数:22年
定額法償却率:0.046
<計算式>
減価償却費 = 取得価格 × 定額法償却率(法定耐用年数によって定められている一定の割合)
【計算結果】
減価償却費 = 2,000万円 × 0.046 = 92万円
上記により、木造住宅は毎年92万円ずつ建物の価値が下がるということになります。
経費
不動産投資におけるランニングコストを経費計上することで、課税所得が抑えられ節税につながります。しかし、かかったコストすべてを経費にできるわけではありません。経費にできる項目とできない項目の例は、以下のとおりです。
<経費計上できるもの>
・固定資産税・都市計画税・印紙税・不動産取得税
・管理委託費
・保険料(火災保険、地震保険など)
・減価償却費
・修繕費用
・税理士費用
・ローン金利
<経費計上できないもの>
・住民税・所得税
・打ち合わせの際のスーツ購入費用
どのような項目が経費として計上できるか正しく理解しておくことで、節税のメリットを最大限活用できます。
損益通算
不動産投資で赤字が発生した場合は、損益通算の仕組みを使った節税が可能です。損益通算とは不動産投資で生じた赤字を、給与所得などほかの黒字所得から差し引き、赤字と黒字を相殺することを指します。
損益通算によって課税所得が減るため、税金が安くなる効果があります。減価償却と併せて利用すると節税効果がさらに高くなります。
不動産評価額
不動産を相続した場合や贈与された場合、土地や建物の評価額に基づいて相続税や贈与税が課税されます。相続税評価額に所定の税率(相続税評価額は時価の80%程度が一般的)をかける方式で計算されるため、不動産の評価額は現実の市場価格よりも低く評価されることが多い傾向です。そのため、差額を利用した節税が可能となるでしょう。
また、賃貸用物件の場合は建物や土地を自分の自由にできないため、評価額がさらに軽減されます。そのため、現金で贈与・相続するよりも賃貸用の物件のほうが節税メリットを受けられる可能性が高まります。
法人化
個人で所得税を支払う場合は、所得が多くなるほど税率が高くなるため節税には限界があります。一方、法人であれば法人税の税率は上限が23.2%と所得税よりも低いため、節税効果が期待できます。
課税所得が900万円を超えると、所得税の税率は33%です。しかし法人化することで、法人税の税率を適用した節税ができます。
ただし、法人化するには一定のコストがかかります。おもな項目は、以下のとおりです。
・登録免許税
・定款認証手数料
・司法書士等への費用
なお、法人は企業としての義務や責任が発生することから、運営には専門的な知識や経験が必要です。そのため、法人の設立は慎重に検討しましょう。投資家は、税理士や弁護士などの専門家と協力して、最適な節税方法を模索することが重要です。
不動産投資で節税する際の注意点
不動産投資で節税する際の注意点は、以下の3つです。
・保有期間に注意
・所得が少ない場合はリスクのほうが高くなる
・節税のみが目的の不動産投資はしない
それぞれ順番に解説します。
保有期間に注意
耐用年数を超えると、減価償却による節税の恩恵を受けられなくなります。耐用年数を過ぎた物件は居住用としての需要も低下するため、あらかじめ出口戦略を考えておく必要があるでしょう。その手段の一つが所有している不動産の売却ですが、売却の際は当該不動産の保有期間に注意が必要です。
保有期間の目安は、売却(譲渡)年の1月1日時点で5年経過しているかどうかです。保有期間が5年を超える不動産売却の場合は「長期譲渡」に区分され、5年以下の場合は「短期譲渡」に区分されます。その際にかかる税額はそれぞれの区分に応じて以下のように変わり、単純計算で短期譲渡のほうが長期譲渡に比べ2倍となることを認識しておきましょう。
短期譲渡:税額=課税短期譲渡所得金額×税率41.139%(所得税30%+住民税9%+復興特別所得税2.1%)
長期譲渡:税額=課税長期譲渡所得金額×税率22.1%(所得税15%/+住民税5%+復興特別所得税2.1%)
節税を意識した不動産投資をする際は、売却時の保有期間にも注意が必要です。
所得が少ない場合はリスクのほうが高くなる
不動産投資は、ローンを組んで物件の購入費用を用意することが一般的です。ローンを組むと、原状回復への支出や空室の発生で経営が不安定なときでも、返済は毎月続けなければなりません。
そのため、所得の少ない人にとって不動産投資はリスクが高くなってしまいます。不動産投資を始める前には、節税のメリットと物件を保有するリスクが見合っているか十分に検討することが重要です。
節税のみが目的の不動産投資はしない
不動産投資は、節税だけが目的である場合はおすすめできません。不動産投資は事業であり、さまざまなリスクがあるためです。例えば、需要のない土地に物件を建ててしまうなど、不十分な調査が原因で投資が失敗するケースがあります。その場合、資金繰りが悪化し、ローンを返済できなくなる可能性があるでしょう。
また、赤字の物件を保有していると、自分だけでなく子どもや孫にも迷惑をかける可能性があります。遺産として残すつもりで購入した不動産が、結果的に借金の原因になってしまうこともあるからです。節税を目的としてとらえるのではなく、事業の経営者として不動産投資に取り組む姿勢が必要でしょう。
現物不動産投資で節税する際のポイント
現物不動産投資において節税の効果を出すためには、物件選びが非常に重要です。減価償却の効果を上げるためには、新築よりも中古の物件を選ぶことがポイントです。中古物件は建物の耐用年数が短いため、減価償却の効果が高くなり節税につながります。
また、初期費用を抑えられる点も中古物件を選ぶメリットです。中古物件は新築物件よりも価格が安いうえに、仲介手数料や不動産取得税を抑えられます。
加えて、節税のためには、不動産投資に関する法律や税制について十分な知識が必要です。不動産投資における節税の方法は多岐にわたるため、使いこなすには税理士などの専門家に相談するのもよいでしょう。
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まとめ
現物不動産投資を利用することで、減価償却や損益通算を活用した節税が可能です。ただし、節税を目的とした投資には、いくつかの注意点があります。例えば、一定の収入がある人でないと節税効果を十分に受けられず、物件を保有するリスクと見合わなくなるでしょう。また、適切な期間で物件を保有しなければ、売却時に高額な税金の支払いが生じるケースがあります。不動産投資で節税するためには、メリットとデメリットを十分に比較したうえで検討することが重要です。
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【監修者】
名前:金子 賢司
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。
保有資格:CFP