マンションの固定資産税はいくらかかる?仕組みや軽減措置についても解説
2023年07月31日
投資用物件としてマンションを購入する、または所有している場合、支払うべき費用の一つに「固定資産税」があります。比較的有名な税金ですが、一方で「具体的にどのような税金かよく知らない」という方も多いのではないでしょうか。
不動産投資を成功させるためには、支出をきちんと把握する必要があるため、固定資産税への理解を深めることも大切です。
この記事では、固定資産税の基礎知識を踏まえつつ、マンションでの相場や税金の仕組み、軽減措置の概要などについて解説します。
マンションの固定資産税とは?
固定資産税とは、土地や建物といった不動産を含む「固定資産」に課せられる税金のことです。毎年1月1日時点における固定資産の所有者が対象であり、その固定資産が存在する自治体(市区町村)に支払います。
マンションを購入した場合、土地・建物の両方を所有することになります。つまり、マンションを所有している限り、土地・建物に対して課税されるということです。
また、固定資産税は「都市計画税」とよくセットにされますが、こちらは市街化区域内に固定資産がある場合のみ対象となります。市街化区域に含まれるかどうかは、各自治体のホームページで公開されている「都市計画図」で調べることが可能です。
マンションの固定資産税の相場
マンションの固定資産税の相場は、新築なら10~30万円程度、中古なら10~20万円程度です。
ただし、実際はマンションの購入価格・築年数・地域・専有面積など、さまざまな要素の影響を受けて変動します。同じマンション内でも、部屋の状況によって税額に差が生じるため、上記はあくまで目安として覚えておきましょう。
また、新築だと後述する建物の軽減措置を受けられるので、中古より税額が安くなることもあります。さらに、売却価格や担保的価値は新築のほうが高いことも考慮すれば、固定資産税の面において必ずしも中古がお得とは限らないのです。
税額の目安は不動産会社から教えてもらえるため、マンション購入前に確認しておきましょう。
固定資産税はいつ支払う?
固定資産税の納税通知書は、毎年4~6月にマンションの所有者宛てに届きます。
支払いのタイミングは地域によって異なりますが、年4回の分割納付が基本です。例えば東京は6月・9月・12月・2月ですが、大阪や名古屋は4月・7月・12月・2月となっています。
また、固定資産税は全期分をまとめて一括納付することも可能です。ただし、一括で支払っても税額が割り引かれることはありません。
また、納付期限を過ぎると延滞金が発生するので、あらかじめ注意しましょう。
固定資産税の支払い方法
固定資産税を支払う場合、基本的に以下のような方法があります。
・窓口での現金払い(自治体・金融機関・郵便局・コンビニなど)
・口座振替
・クレジットカード決済
・インターネットバンキング
・電子マネー
・QRコード決済
最近はPayPayやペイジーに対応している自治体も増えているので、納税通知書の内容も確認しつつ、自分に合った支払い方法を選択しましょう。
ただし、自治体によっては上記全ての支払い方法に対応しているとは限らないため注意が必要です。
マンションの固定資産税の仕組み
マンションの固定資産税がいくらかかるのか調べるためには、税額がどのように決まるのかという仕組みを把握することも大切です。
そこで、ここからは固定資産税の基準や計算方法について解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
「固定資産税評価額」が基準
固定資産税の税額を決めるにあたって基準とされるものが「固定資産税評価額」です。これは固定資産課税台帳に登録されている土地・建物の価格であり、各自治体が算定します。
固定資産税評価額は、自治体による「家屋調査」によって決まります。新築の場合、家屋調査が実施されるタイミングは建築後なので、正確な評価額をすぐ確認することはできません。
また、固定資産税評価額は「課税標準額」とよく混同されがちですが、固定資産税評価額が土地や建物の価格であるのに対し、課税標準額は税額を算出するうえで基礎となる金額を指すため、多少意味合いが異なります。
建物の場合、原則として固定資産税評価額=課税標準額です。しかし、住宅用地については軽減措置などで課税標準額のほうが安くなるケースもあるため、必ずしも両者が一致するとは限りません。
土地の評価額は、国土交通省が年1回定める「地価公示価格」の7割が目安です。その土地の面積や形状、地域事情などを踏まえて評価されます。
一方、建物の評価額については、同じ建物を再度建てた際にかかる「再建築費用」をもとに算出され、その建築費の5割~7割が目安です。建物の構造や仕上げ材の種類といった部分別評価、経年劣化による減価という2つの項目で点数をつけて評価されます。
なお、固定資産税評価額は3年に1度、評価替えによって見直されることも特徴です。建物は経年劣化にともない評価額も下がりますが、土地は景気や再開発などの影響で評価額が上がる可能性もあります。
固定資産税の計算方法
固定資産税の税額は、以下のような計算式で算出されます。
固定資産税評価額(課税標準額)×税率1.4%
土地と建物でそれぞれ計算し、その結果を合計したものが支払うべき税額となります。固定資産税評価額が高くなれば、固定資産税も比例して高くなるという変動型の税金です。
なお、税率は1.4%が全国的な標準ですが、財政難などの理由から1.5%や1.6%に設定している自治体もあります。税率は各自治体のホームページなどに載っているので、こちらも調べておきましょう。
マンションの固定資産税は高い?
マンションも戸建てと同じく、土地・建物の両方が課税対象です。しかし、マンションの土地については、敷地全体の面積を戸数で割った分が入居者1人あたりの所有分となります。
戸建てに比べて土地面積が小さいので、マンションの土地の評価額は総じて低めです。その代わり、建物部分は戸建てより耐用年数が長く設定されているため、建物の評価額も高くなっています。
土地・建物の固定資産税を合計すると、結果的に戸建てよりマンションのほうが高くなりやすい傾向にあります。ただし、軽減措置によって税額を抑えることは可能でしょう。
マンションの固定資産税に適用される軽減措置
マンションを所有している場合、一定の要件を満たせば、固定資産税の軽減措置が適用されるようになります。自分の手元に多くの資金を残せるため、きちんと押さえておきたいところです。
そこで、軽減措置の概要についても詳しく解説します。
建物に対する軽減措置
建物に対する軽減措置は、新築マンションが対象となります。一例として、横浜市の場合では、この特例を適用するために次の要件を満たさなければなりません(2023年5月現在)。
・2024(令和6)年3月31日までの新築分
・専用住宅の場合、マンションは40平方メートル以上280平方メートル以下(※)
・併用住宅の場合、居住部分の割合が2分の1以上でかつ、居住部分の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下
・3階建て以上でなおかつ耐火構造住宅・準耐火構造住宅である
参考:新築住宅に係る固定資産税の減額制度|横浜市
※マンションなどの区分所有家屋の床面積は「専有部分の床面積+一棟の専有部分の床面積の合計に対する、所有する専有部分の床面積の割合に応じて各戸に割り振った共用部分(廊下や階段室等)の床面積」で判定します。また、賃貸マンションなどについても独立的に区画された部分ごとに区分所有家屋に準じた方法で判定します。
引用:新築住宅に係る固定資産税の減額制度|横浜市
これらの要件を満たせば、新築から5年間の期限付きですが、床面積120平方メートルまでの部分は固定資産税評価額が1/2に軽減されます。
なお、具体的な要件などについての詳細は、所有する物件が属する市町村へお問い合わせください。
また、マンションが「長期優良住宅」の認定を受けていて、3階建以上の準耐火構造及び耐火構造住宅である場合、適用期限が新築から7年間に延長されることもポイントです。長期優良住宅は耐震性やバリアフリーなどの面でも優れているので、投資用物件としても検討する価値はあるでしょう。
土地(住宅用地)に対する軽減措置
土地(住宅用地)に対する軽減措置は、新築マンションも中古マンションも対象です。こちらは土地の広さによって「小規模住宅用地」「一般住宅用地」の2種類に区分されており、それぞれ軽減率も変わってきます。
・小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分):固定資産税評価額は1/6に軽減
・一般住宅用地(200平方メートル超の部分):固定資産税評価額は1/3に軽減
また、土地の軽減措置には期限が定められていないので、マンションを所有している限り適用されます。
マンションの固定資産税をシミュレーション!
ここまで解説してきた内容に基づき、事例を用いて新築マンションの固定資産税をシミュレーションしてみましょう。
東京都の物件、固定資産税評価額が2,500万円(建物1,000万円/土地1,500万円)、専有面積が100平方メートル、税率が1.4%と仮定した場合、以下のような計算式になります。
建物:1,000万円×1/2×1.4%=7万円
土地:1,500万円×1/6×1.4%=3万5,000円
固定資産税:7万円+3万5,000円=10万5,000円
また、築6年以上のマンションについても、上記と同じ仮定条件でシミュレーションしてみました。
建物:1,000万円×0.8335×1.4%=11万6,690円
土地:1,500万円×1/6×1.4%=3万5,000円
固定資産税:11万6,690円+3万5,000円=15万1,690円
築6年以上は建物の軽減措置が終了しますが、各自治体の法務局が設定した「経年減価補正率」が適用されるようになります。これは建物の経年劣化にともなう減価分を表したものであり、東京都の非木造建物で築6年なら0.8335です。築年数が経つにつれて経年減価補正率の数値は小さくなり、建物の評価額も下がるので、結果的に固定資産税が安くなります。
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まとめ
マンションを購入・所有する場合、毎年固定資産税を支払う必要があります。購入価格や専有面積によって税額は変動しますが、少なくとも10万円程度はかかってくるため、不動産投資をスムーズに進めたいなら、相場や税金の仕組みを理解しておくことが大切です。
また、マンションの固定資産税には軽減措置が適用されるので、それを踏まえて税額を調べることも重要となります。税額の目安をできるだけ正確に知りたいなら、不動産会社にも問い合わせてみましょう。
【監修者】
名前:金子 賢司
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。
保有資格:CFP