投資用マンション購入に必要な初期費用とは?ローン・登記・税金の内訳と費用の目安

2024年03月15日

投資用マンションの購入時、物件購入費用のほかに初期費用がかかります。初期費用がどれくらいかかるのか不安に感じる投資初心者も多いのではないでしょうか。

投資用マンション購入でかかる初期費用は物件価格の10%以上、中古物件であれば6~8%程度が目安とされます。初期費用だけでもまとまった金額になるため、資金計画を立てる際にも考慮しておく必要があるでしょう。

この記事では、投資用マンション購入に必要な初期費用の内訳、支払いのタイミングなどを詳しく解説します。

投資用マンションの購入における初期費用の目安

投資用マンションを購入する場合、頭金とは別に初期費用を用意する必要があります。新築物件における初期費用の目安は物件価格の10%以上。中古物件では6~8%程度と若干安くなるケースがあります。

例えば、3,000万円の新築マンションを購入するケースだと、初期費用だけで300万円以上用意しておくべきということです。さらに高額な投資用マンションを購入すれば、数百万・数千万円単位の自己資金を用意しておく必要があるでしょう。

初期費用とともに自己資金で準備しなければならないのが頭金です。頭金の準備は投資用マンションの購入に必須ではないものの、頭金の額は不動産投資ローンの審査に影響します。金融機関からは物件価格の1~2割程度の頭金を入れるよう求められるケースが多く、収入や勤務先などの属性によっては、それ以上の頭金が必要になるかもしれません。

高所得者や預貯金が十分にあるケース、資産価値の高い物件を購入するケースなどではフルローンで融資してくれることもあります。ただ、頭金を入れたほうが借入金額は少なくなるため、返済負担が軽くなって審査にも通りやすくなるでしょう。

上記より、初期費用と頭金の合計で物件価格の2~3割程度用意しておくと安心です。

しかしあくまでも目安ですので、購入する物件や個人の属性によって初期費用は異なる可能性があることは覚えておきましょう。

マンション購入に必要な初期費用の内訳

マンション購入で必要な初期費用は、大きく「不動産投資ローン関係」「登記関係」「税金」「その他の諸費用」の4つに分けられます。それぞれに含まれる項目の詳細を見ていきましょう。

不動産投資ローンに関する初期費用

投資用マンション購入にあたって、大半の方が不動産投資ローンを利用することでしょう。ローン借入時には以下の初期費用がかかります。

・ローン保証料
万が一、債務者のローン返済が滞った場合、金融機関と提携する保証会社が全額を肩代わりして一括で弁済します。しかし、ローンの支払が免除されるわけではなく、その後保証会社に弁済が必要です。この保証会社に対して支払う費用がローン保証料です。ローン保証料は借入金額の2%程度を目安に支払いますが、ローン保証料がかからない金融機関もあります。

個人で不動産投資ローンを借り入れるケースでは、配偶者を連帯保証人として立てるよう求められることもあります。連帯保証人を立てていればローン保証料を支払う必要はありません。

連帯保証人を求められた場合、上記のように配偶者がなるというのが一般的です。独身だと連帯保証人探しのハードルが高く、借り入れが難しい場合もあるでしょう。

・融資手数料(事務手数料)
不動産投資ローンを借り入れる金融機関に対して支払うのが融資手数料(事務手数料)です。手数料の割合は金融機関によって異なりますが、借入額に対して1~3%程度の設定が一般的です。

金融機関によっては融資手数料を定額制としている場合もあります。定額制では借入額にかかわらず手数料が一定で、3万円程度が相場です。

・不動産投資ローン契約時の印紙税
ローン契約を結ぶ際に交わす金銭消費貸借契約書に印紙を貼付することで、契約金額(借入金額)に応じた印紙税を納める必要があります。金額ごとの税額は次のとおりです。

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契約金額(借入金額)

印紙税額

1,000万円超5,000万円以下

2万円

5,000万円超1億円以下

6万円

1億円超5億円以下

10万円

(引用)国税庁「印紙税額一覧表(令和5年4月現在)」

不動産売買契約書の印紙税は軽減税率が設定されていますが、金銭消費貸借契約書には適用されないため注意しましょう。

登記に関する初期費用

不動産を取得したときには、所有権保存登記または所有権移転登記を行なう必要があります。登記に際しては登録免許税がかかるほか、手続きを依頼する司法書士への報酬支払いも発生します。

・登録免許税
不動産の所有者として公的に主張するために行なう手続きが「不動産登記」です。不動産登記では、登記の名義人(不動産の所有者)に対して登録免許税が課せられます。登録免許税額は「固定資産税評価額×税率」で求められます。

新築マンションを購入する場合、未登記の建物を新たに取得することになるため「所有権保存登記」が必要です。中古マンションでは、既存建物の所有権が移転するので「所有権移転登記」の手続きが求められます。土地は新築・中古に関係なく「所有権移転登記」となります。それぞれの税率は以下のとおりです。

登記の種類

本則税率

軽減税率

土地の所有権移転登記

2.0%

1.5%

建物の所有権保存登記

0.4%

0.15%

建物の所有権移転登記

2.0%

0.3%

建物の抵当権設定登記※

0.4%

0.1%

※抵当権設定登記の登録免許税は「借入額×税率」で算出

(引用)国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」

登録免許税は土地・建物それぞれに対して課税されます。マンションを購入すると土地の持分も取得することになるため、建物分と土地分の登録免許税を納める必要があります。

土地の軽減税率は2026年3月31日までに登記する土地売買全般に適用されます。一方、建物の所有権保存登記・所有権移転登記で軽減税率の適用を受けるには、以下の要件を満たしていなければなりません。投資用として購入するケースは対象外です。

<所有権保存登記の軽減税率の要件>
・自宅として取得するものであること
・新築もしくは取得から1年以内に登記していること
・床面積が50平方メートル以上であること

<所有権移転登記の軽減税率の要件>
・自宅として取得するものであること
・取得から1年以内に登記していること
・築年数が一定の年数以内、もしくは新耐震基準適合である旨が証明されているなど、耐震基準を有していると認められること
・床面積が50平方メートル以上であること

また、不動産投資ローンを利用する場合、建物の抵当権設定登記に対しても登録免許税が課せられます。先ほどの表のとおり、税額は「借入額×0.4%」で算出可能です。軽減税率も設定されていますが、上記の所有権保存登記・所有権移転登記の要件を満たす物件が対象のため、不動産投資ローンの契約には適用されません。

・司法書士の報酬
不動産登記の手続きは個人で行なうこともできるものの複雑で面倒なため、通常は司法書士に依頼します。依頼した司法書士への報酬も初期費用として見込みましょう。報酬額は地域や登記の内容によって異なりますが4~15万円程度が相場です。

マンションの取得時に発生する税金

不動産を取得すると「不動産取得税」や「固定資産税」などの税金がかかります。

・不動産取得税
不動産取得税はその名のとおり、不動産の取得時のみかかる税金です。原則は土地・建物それぞれ「固定資産税評価額×税率」で計算します。本来の税率は一律4%です。ただし、2024年3月31日までは、土地と住宅に用いられる家屋の税率を3%に軽減する特例措置が適用されています。

・固定資産税・都市計画税
土地・建物は固定資産に該当するため、毎年1月1日時点での所有者に固定資産税が課せられます。加えて、物件が都市計画区域のうち市街化区域内にある場合、都市計画税も課税される可能性があります。都市計画税はすべての自治体で課税されるわけではないため、あらかじめ物件が所在する自治体に確認しておきましょう。

固定資産税および都市計画税の基本的な計算式は次のとおりです。記載の税率は標準値であり、どちらも自治体ごとに異なります。

固定資産税額 = 課税標準額(固定資産税評価額)×1.4%
都市計画税額 = 課税標準額(固定資産税評価額)×最大0.3%

どちらの税も土地・建物それぞれに課税されます。一定の要件を満たす住宅用地については「小規模宅地の特例」と呼ばれる軽減措置が設けられており、1戸当たり200平方メートルまでの小規模住宅用地では固定資産税の課税標準額が1/6、都市計画税の課税標準額が1/3に減額。200平方メートルを超える分についても課税評価額が固定資産税で1/3、都市計画税で2/3に減額となります。

新築マンションを購入した場合、新築された年の翌年から課税対象です。新築の場合のみ2024年3月31日まで、建物分の固定資産税の減額措置が設けられています。一般の新築マンションでは取得から5年間、上記の式で計算した固定資産税額が1/2に減額され、大きな節税が可能です。この措置は都市計画税には適用されません。

毎年1月1日時点での所有者が納税義務者となるため、中古マンションを購入した場合には、売り主が一括して税金を納めることになります。これでは不公平感があるとして、売り主・買い主の間で所有期間に応じて按分するのが一般的です。

・売買契約時の印紙税
住宅ローン契約と同様、不動産売買契約書にも印紙税が課せられます。2024年3月31日までに作成した不動産売買契約書に関しては軽減税率が適用され、税額は以下のとおりです。

契約金額

軽減後の税額

1,000万円超5,000万円以下

1万円

5,000万円超1億円以下

3万円

1億円超5億円以下

6万円

(引用)国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」

その他の諸費用

マンション購入時には、ここまで紹介した費用のほかに次に挙げる諸費用がかかります。

火災保険料・地震保険料
不動産投資ローンを組む場合、万が一の事態に備えて火災保険への加入を求められることがほとんどです。金融機関は対象物件に抵当権を設定することで、債務者が返済不能になった場合の担保とします。資金回収ができなくなるのを防ぐため、不測の事態から担保を守るのが目的です。

火災保険は最大5年ごとに更新する必要があります。また、地震保険は単独加入できず、火災保険とセットで加入しなければなりません。新築マンション(RC造)における火災保険料の目安は、地震保険料ありで5年ごとに10万円程度。火災の発生確率が高い木造物件ではより高額になる可能性があります。

・【中古物件のみ】仲介手数料
不動産会社を通して中古マンションを購入する場合、不動産会社への報酬として仲介手数料を支払う必要があります。不動産会社によって金額は異なるものの、法律で定められた上限額で請求されるケースが多いでしょう。仲介手数料の法定上限額は次のとおりです。

物件価格(税抜)

仲介手数料の上限額

200万円以下

税抜物件価格×5%+消費税

200万円超400万円以下

税抜物件価格×4%+2万円+消費税

400万円超

税抜物件価格×3%+6万円+消費税

(引用)国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」

なお、新築マンションの場合、売り主のデベロッパーから直接購入します。不動産会社の仲介を通さないので仲介手数料は発生しません。

マンションの初期費用を支払うタイミング

ここまで紹介してきた初期費用は、すべて一括で支払うわけではありません。費用によって支払いのタイミングが異なるのです。売買契約時・引き渡し時・取得後に分け、費用項目ごとの支払いタイミングを確認しましょう。

売買契約時に支払う費用

・頭金

・手付金

・不動産売買契約書の印紙税

・仲介手数料の半金(中古物件のみ)

引き渡し時に支払う費用

・ローン保証料

・融資手数料

・金銭消費貸借契約書の印紙税

・登録免許税

・司法書士の報酬

・火災保険料、地震保険料

・仲介手数料の半金(中古物件のみ)

取得後に支払う費用

・不動産取得税

・固定資産税、都市計画税

どのタイミングでいくら支払わなければならないのか把握したうえで、計画的に資金を準備することが重要です。

頭金や初期費用の負担も大きい現物不動産投資

現物不動産を所有して投資する場合、頭金を含めると物件価格の2~3割程度の初期費用を用意する必要があります。手元資金でまかなうのが難しいときには、諸経費分も含めて借り入れるオーバーローンを組むことも可能ですが、借入金額が大きくなるので返済負担が重くなり、キャッシュフローが悪化するリスクもあります。

また、現物不動産で家賃収入を安定的・継続的に得るためには、物件の適切な管理が欠かせません。現物の不動産投資は賃貸経営でありコストも手間もかかります。

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まとめ

投資用マンションの購入時、物件価格に対し10%以上の初期費用がかかります。初期投資に含まれるのは、不動産投資ローン関連費用、登記関連費用、不動産取得税・固定資産税をはじめとした各種税金などです。加えて、購入価格の1~2割程度の頭金も準備したほうが安心。合計で2~3割程度の初期費用を用意する必要があります。

初期費用を用意するのはハードルが高いと感じる方は、不動産投資クラウドファンディングを活用した不動産投資を検討してもよいでしょう。

■監修者

名前:齋藤 彩(さいとう あや)
所有資格:AFP(Affiliated Financial Planner)、薬剤師免許、1級FP技能士

おもなキャリア:
急性期総合病院において薬剤師として勤める中、がん患者さんから「治療費が高くてこれ以上治療を継続できない」と相談を受けたことを機にお金の勉強を開始。ひとりの人を健康とお金の両面からサポートすることを目標にファイナンシャルプランナーとなることを決意。現在は個人の相談業務・執筆活動を行っている。