年金減額の仕組みとは?将来に向けて有効な対策も紹介

2024年01月30日

老後の生活を支える公的年金制度は、将来もらえる額が保証されているわけではありません。年金の受給方法や年金保険料の納付実績、社会情勢の変化によって受給額が減額されることがあります。

今回は、年金減額の仕組み、減額対策、年金減額に備えて老後資金を貯める方法とメリット・デメリットを紹介します。

年金が減額となるのはどんなとき?


老後の資金計画を考えるにあたり、年金の支給額を知ることは大切です。年金の減額は全員が該当する場合もあれば、条件に合致した場合の減額もあります。減額されるおもなケースや減額の程度など、減額の仕組みについて見ていきましょう。

年金の繰上げ受給を選択した場合

公的年金を受け取れるのは、原則65歳からです。60~64歳の繰上げ受給も可能ですが、請求時点の年齢に応じた減額率で老齢基礎年金・老齢厚生年金が生涯にわたり減額されます。年金減額は特例に該当しない限り、年金全体が対象です。

減額率は1962年4月2日以降に生まれた方の場合1月当たり0.4%で、最大24.0%の年金が減額されます。

厚生年金に加入して働きながら年金をもらう場合

年金が受給できる年齢になったら、年金をもらいながら働くという選択肢もあります。しし、年金をもらいながら厚生年金に加入して働き続ける場合には、老齢厚生年金が在職老齢年金となり、収入額によって減額の対象となります。70歳以上の方は厚生年金の加入対象から外れますが、勤務先が厚生年金適用事業所の場合には、引き続き減額の影響を受けるため注意しましょう。

年金が一部もしくは全額が減額となるのは、基本月額と総報酬月額相当額を合計した額が48万円を超える場合で、支給停止額の計算式は以下のとおりです。

(総報酬月額相当額+基本月額-48万円)×1/2×12

また、現役時より給与額が一定以上低下し、高年齢雇用継続給付の対象となる場合には、在職による減額に加えて標準報酬月額の最大6%が減額されます。

なお、いずれも減額部分は老齢厚生年金部分であり、老齢基礎年金部分については減額の対象とはなりません。

社会情勢による減額

日本の年金制度は、現役世代が支払った保険料を給付に充てる賦課(ふか)方式を基本とし、物価や賃金の変動に応じて年金給付額も変動する仕組みです。

2016年の年金制度改革により、名目手取り賃金変動率が物価変動率を下回る場合には、年金額の算定に名目手取り賃金変動率が用いられるようになりました。その結果、支給額自体の引き下げも起こり、2021年度は-0.1%、2022年度は-0.4%の減額でした。

年金制度は、少なくとも5年に1回財政検証が行なわれます。今後の社会情勢の変化によっては、今後も年金額が減少する可能性は十分にあるでしょう。

なお、賦課方式では高齢化社会の進行により保険料収入が大きく減少すると、給付が困難になる可能性があります。その対策として、2004年に賃金や物価の上昇局面では、一定の基準により年金給付額の上昇を抑えるマクロ経済スライド方式が導入されました。マクロ経済スライドでは、賃金や物価が上昇していても実質的に年金が目減りすることも覚えておきましょう。

免除・猶予・特例などを利用していた

過去に国民年金保険料の支払いが困難で、保険料の免除や猶予、学生納付特例などを受けていた場合には、老齢基礎年金の支給額が減額されます。

免除の場合の支給割合は以下のとおりです。

●全額免除:2分の1
●4分の3免除:8分の5
●半額免除:8分の6
●4分の1免除:8分の7

保険料の猶予や学生納付特例を受けていた場合は、受給資格期間には算定されるものの、その期間中については年金額には反映されないため、受給できる額も少なくなります。

なお、年金保険料の未納期間については、受給資格期間にも年金額にも反映されません。

年金が減額されないようにするには?


条件に当てはまるために年金が減額になってしまう場合は、働き方や年金のもらい方などを工夫することで減額を避けられるケースもあります。

厚生年金加入者は減額されない範囲内で働く

60歳以降も厚生年金に加入して在職老齢年金をもらいながら働く場合には、基本月額と総報酬月額相当額の合計が、減額されない月48万円を超えない範囲にとどめることで減額を避けられます。勤務日数や時間の調整が可能であれば、有効な方法でしょう。

また、厚生年金への加入義務がない単発のアルバイトや個人事業主として働くことでも、減額を避けられます。厚生年金の加入条件は緩和されており、短時間勤務でも加入対象となることもあるため、注意しましょう。

繰下げ受給を活用する

年金の受給予定額が少ない場合には、繰下げ受給を活用して年金額を増やすことが可能です。年金の繰下げ受給は66歳から75歳までが対象で、1月当たり0.7%、最大84%まで増額されます。

なお、繰下げ受給は老齢基礎年金・老齢厚生年金の一方のみとすることができます。

可能であれば追納する

国民年金保険料の免除や猶予を受けていた場合には、過去10年分についてはさかのぼって年金保険料を追納すれば、年金額を増やせます。

ただし、3年以上前の保険料の追納については追納加算額が発生するため、注意が必要です。

日本年金機構が運営するポータルサイト「ねんきんネット」では、年金保険料を追納した場合、どの程度年金額が増えるのかシミュレーションができます。結果を参考に、追納を検討してみるのもよいでしょう。

年金減額に備えて老後資金を貯める方法とメリット・デメリット


将来、年金が減る可能性もありますが、もともと年金だけで老後の生活費をまかなうことは困難とも言われています。金融庁の金融審議会「市場ワーキンググループ」によれば、無職の夫婦の場合、老後30年間で約2,000万円が不足すると試算されています。

今後、さらに年金が減額になると、安心して老後を迎えられないと不安になるのではないでしょうか。ここからは、年金減額や年金不足に備えるために、老後資金を貯める方法をメリット・デメリットとともに紹介します。

貯金

貯金は、最も簡単に取り組める資産形成の方法です。金融商品に対する知識はほとんど不要で、すぐに取り組めます。

マイナス金利が続く日本では利息が期待できないため、貯金による資産運用効果はほとんどありません。必要に応じて簡単に取り崩せること、通常元本が保証されていて資産を毀損するリスクがないことなどが魅力といえるでしょう。

貯金のデメリットは、インフレに対応ができないことです。運用商品のように物価上昇にともなう資産価値の上昇は期待できません。そのため、相対的にお金の価値が低下していくことになります。

iDeCo

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、公的年金に上乗せできる年金制度で、所得控除・運用益非課税の税制優遇を活用しながら効率的に年金資産を増やせることが魅力です。ただし、掛金は国民年金の被保険者種別および企業型確定拠出年金などの企業年金や共済への加入状況などにより上限が設定されています。

iDeCoは、原則60歳になるまで受給できないことがデメリットです。また、運用対象商品は定期預金や保険、投資信託などがあり、自身で運用商品を選ばなければならないため、最低限の運用知識も必要になるでしょう。

運用商品で定期預金・保険などの元本確保商品以外を選択した場合には、運用成績により受け取れる年金額が減ってしまうこともあるため、注意が必要です。

株式投資・投資信託

株式投資は、企業の発行する株式を購入し、配当金や値上がり時の売却益を狙う運用方法です。資産を大きく増やせる可能性がある一方、株価の変動により資産価値が減少することもあり、リスクは高くなります。

株式投資では銘柄の選択や売買タイミングの見極めが重要で、難易度の高い運用方法です。株式投資が難しいと感じる方は、投資信託で運用するのもよいでしょう。

投資信託は、投資家から集めた資金を専門家がまとめて株式や債券などで運用する商品です。運用をプロに任せられること、株式投資に比べ分散投資がやりやすいことなどのメリットがあり、長期投資にも向いています。

株式投資・投資信託は、NISA(少額投資非課税制度)が利用できることもメリットです。
2024年からは制度拡充(新しいNISA)により、年間最大360万円・生涯1,800万円の投資枠内で購入した金融商品で得られた利益が非課税の対象となり、非課税保有期間も無期限となります。効率良く資産形成を進められるでしょう。

また、成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能となり、投資の幅が広がります。投資目標に沿った投資先の選択が、これまで以上に重要になってくるでしょう。

不動産投資

不動産投資は、所有する物件を貸し出し、家賃収入を得る投資方法です。投資用の不動産を取得するためにローンを利用すれば、自己資金以上の投資もできます。

不動産投資のメリットは、インフレに強いことです。物価の上昇局面では家賃収入の増加が見込めるうえ、不動産現物は現金に比べて資産価値が下がりにくいと言われています。

不動産投資にはローンが利用できるとはいえ高額な物件を購入するため、誰でも取り組める資産運用とは言い難い面もありました。

しかし、近年では少額投資が可能な不動産投資クラウドファンディングも登場し、手軽に投資できることで人気を集めています。実際の不動産に投資するため、本格的な不動産投資を始める前の勉強にも活用できるでしょう。

年金減額の対策には不動産投資クラウドファンディング「COZUCHI」がおすすめ

公的年金には減額の仕組みがあり、少子高齢化が急速に進むなか、将来年金が減額されるリスクは避けることが難しいという意見もあります。年金減額に対策するためには、早い段階から資産形成に取り組み、老後資金を少しでも多く確保しておくことが大切です。

少額から不動産投資ができる不動産投資クラウドファンディングの「COZUCHI」なら、物件の購入に関する手続きや管理は不要で、手軽に老後資産形成のための投資をはじめることができます。

COZUCHIには短期運用型と中長期運用型があり、投資スタイルに応じた投資ができます。個人では難しいオフィスビルやホテルなどへ投資できるのも、不動産投資クラウドファンディングの魅力です。

またCOZUCHIではサービス開始以降、2023年11月末時点で元本割れはありません。

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まとめ

公的年金は、社会情勢や個々の事情、制度改正などにより今後減額される可能性があります。減額への対策には、減額となる要件の回避と併せて、自身でより多くの老後資金を確保することも大切です。

老後資金を確保する手段には、貯蓄やiDeCo、株式投資・投資信託、不動産投資などがあります。なかでも、現物資産である不動産投資は、インフレにも強いことが魅力です。少額投資が可能な不動産投資クラウドファンディングなども活用し、資産運用を始めてみましょう。

【監修者】

名前:齋藤 彩(さいとう あや)
所有資格:AFP(Affiliated Financial Planner)、薬剤師免許
おもなキャリア:
急性期総合病院において薬剤師として勤める中、がん患者さんから「治療費が高くてこれ以上治療を継続できない」と相談を受けたことを機にお金の勉強を開始。ひとりの人を健康とお金の両面からサポートすることを目標にファイナンシャルプランナーとなることを決意。現在は個人の相談業務・執筆活動を行っている。