オーナーチェンジ物件が売り出される理由とは?注意すべきデメリットについても解説
2024年01月25日
投資用の不動産物件を探していると、よく見かけるのが「オーナーチェンジ物件」と呼ばれる物件です。オーナーチェンジ物件とは、住民が入居している状態で売買される中古物件を指し、文字どおりオーナーだけが変更になる点が特徴です。
では、安定した家賃収入が見込めるにもかかわらず、売り主はなぜオーナーチェンジ物件を売り出すのでしょうか。
この記事では、オーナーチェンジ物件が売却される理由、購入によるメリット・デメリットについて解説するとともに、物件選びのチェックポイントも紹介します。
オーナーチェンジ物件とはどのような物件?
オーナーチェンジ物件とは、住民が入居している状態のまま売りに出される物件のことです。旧オーナーと各入居者間の賃貸借契約や、旧オーナーが有していた権利・義務などが、新オーナーにそのまま引き継がれます。
売り主から買い主へ引き継がれる権利と義務
オーナーチェンジ物件の購入により、売り主(旧オーナー)から買い主(新オーナー)へ、一定の権利と義務が引き継がれます。それらは民法で規定されており、具体的な内容は以下のとおりです。
・民法第601条(賃貸借)
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
(引用:e-Gov法令検索「民法」)
簡単にいえば「借主から賃料を受け取る権利」「契約終了時に建物を返してもらう権利」です。また、民法第621条に基づく「契約終了時に借主に原状回復してもらう権利」も、貸主の権利として買い主に引き継がれます。
一方で、民法第601条にあるとおり、貸主は「借主が建物を使用できるようにする義務」を負います。加えて、民法第606条に基づく「建物を修繕する義務」と、民法第622条の2第1項に基づく「契約終了時に借主へ敷金を返す義務」も、貸主の義務として買い主に引き継がれます。
売り主がオーナーチェンジ物件を売り出す理由
売り主がオーナーチェンジ物件を売却する理由としては、次の3点が考えられます。
オーナー個人の事情
まず、オーナー個人の事情によって売りに出すことがあります。
よくあるのは、子どもの進学にともなう教育費やマイホームの購入費用など、直近でまとまった現金が必要になったケースです。不動産が売れれば数百万、数千万といった資金を短期で得られるため、資金確保を目的に売却されることがあります。
また、物件運営に割く時間が足りない、病気やケガで不動産投資ローンの返済が続けられなくなったなど、売り主自身の問題に起因する場合もあるでしょう。
ほかにも、売り主が期待していたキャッシュフローが実現できないため売りに出す、というケースも考えられます。
長期的な投資計画に基づいた売却
売り主が、長期的な投資計画に基づいて売りに出す場合もあります。
物件取得当初から、時期が来たら売却することを前提に投資計画を立てており、ちょうど売却のタイミングになったというケースです。この場合、売り主は運用期間を通じて一定の利益を確保できたと考えられ、売却資金を元手に新たな物件に買い替えるケースもあります。
単に利益が最大化するタイミングで売却するのであれば問題ないですが、なかには大規模修繕を見越して売りに出すオーナーもいます。大規模修繕には多額の費用がかかるため、費用負担が発生する前に売却してしまうのです。この場合、買い主(新オーナー)に大規模修繕の費用負担が発生するため、購入時にはその点を踏まえて投資可否を判断する必要があります。
トラブルによる売却
売り主が「トラブル解決は困難」と判断して売りに出すケースもあります。
トラブルにはさまざまな種類がありますが、特に入居者に起因するものは要注意です。問題のある入居者もそのまま買い主へ引き継がれるためです。
物件の近隣住民とのトラブルが売却要因となっている場合もあります。この場合も、オーナーが変わったところで状況に変化はないため、購入検討時には十分確認しましょう。
オーナーチェンジ物件を購入するデメリット
オーナーチェンジ物件は、どのような点に注意すべきなのでしょうか。購入を検討するにあたって気を付けるべきデメリットやリスクを解説します。
入居者との賃貸借契約は変更できない
オーナーチェンジ物件ではオーナーのみが変更になるため、旧オーナーが締結していた各入居者との賃貸借契約はそのまま引き継がれます。新オーナーは、正当な理由なく入居者との契約内容を変えられないため注意が必要です。
例えば、物件の価値を保つ目的でリフォームをしたいと考えても、既存の入居者に対して立ち退きを要求することは簡単にはできません。周辺家賃相場の上昇などを理由に、契約で定めた家賃を変更することも難しいでしょう。
また、オーナーチェンジ物件では、サブリース契約が承継されるのも重要なポイントです。安定収入が期待できるサブリースですが、契約する会社を買い主が選べるわけではありません。
旧オーナーが、不動産会社とサブリース契約を結んでいた場合、契約更新にあたって家賃の引き下げを要求されることもあるため注意しましょう。
物件内部と入居者の状況把握に要注意
オーナーチェンジ物件では、入居者がすでに居室を利用しているため、事前に居室内部の状態を確認できない点もデメリットです。使い方が悪く、室内が傷だらけになっていたとしても、退去して空室になるまで状況を確認できません。
通常、売買契約に適合しない内容(瑕疵など)があった場合、買い主は「契約不適合責任」を売り主に通知することで、損害賠償請求などが可能になります。しかし、売主が個人の場合、契約不適合責任の通知期間は、引き渡しから2~3ヵ月程度に設定されることが多いため、瑕疵などが通知期間の経過後に発覚することもあるでしょう。
また、入居者審査を実施できないため、入居者の状況把握も困難です。入居者に起因するトラブルで困ることがないよう、入居者がどのような人なのか、売り主や不動産会社へ事前にヒアリングする必要があります。
周辺相場と比較して割高な物件もある
周辺相場と比べて、価格が割高なオーナーチェンジ物件も存在します。不動産を評価する際によく用いられる「収益還元法」では、収益性をベースに物件価格を算定するため、入居者の家賃が相場に比べて高い場合、物件価格も高くなるのです。
また、オーナーチェンジ物件を購入したあとも、同じ家賃水準で入居者付けができるとは限りません。購入時よりも家賃水準が低下すれば、キャッシュフローが悪化したり、物件の売却価格を下げざるを得なくなったりするなど、新オーナーにとって不利になる可能性があります。
入居者がサクラということも
物件購入後、すぐに入居者が退去してしまうリスクもあります。
悪質なケースでは、旧オーナーや不動産会社が入居率を高く見せかけるため、サクラの入居者を手配していることもあります。購入後に入居者が一斉に退去してしまい、キャッシュフローが急激に悪化した結果、賃貸経営が立ち行かなくなってしまうかもしれません。
サクラはいなくとも、退去時期と物件の引き渡し時期が重なることは十分にあり得ます。事前にレントロール(物件の賃貸状況がわかる資料)などで、入居者の契約状況を確認しておくことが大切です。
オーナーチェンジ物件を購入するメリット
オーナーチェンジ物件にはメリットもあります。すでに入居者がいるからこそ得られる利点を、3つ紹介しましょう。
入居者を募集するコストがかからない
引き渡し時にはすでに入居者がいるため、運営開始にあたって入居者を募集する時間的・金銭的なコストがかからない点は、大きなメリットです。
空室物件を購入した場合、入居者募集の広告宣伝や家賃設定など、多くの作業が必要となります。いずれもノウハウが求められるので、投資初心者には骨が折れるかもしれません。オーナーチェンジ物件ではこうしたノウハウがあまり必要なく、初心者でも比較的取りかかりやすいといえます。
また、すでに入居者がいることから、物件購入後すぐに家賃収入が得られるのも魅力です。
新築物件と比べて安い物件が多い
オーナーチェンジ物件は、言い換えると中古物件です。そのため、新築物件に比べて安い物件が多いのもメリットといえます。
ただし、先ほど解説したように、周辺相場よりも高い家賃で貸し出されている物件だと、周辺の中古物件より割高な価格で販売されるケースがあります。新築物件よりは安かったとしても、中古物件を横並びで比較したときの価格は、十分に確認しておきたいところです。
ローン審査に有利なケースもある
オーナーチェンジ物件は、購入する際のローン審査で有利になる可能性があります。
金融機関がローン審査では、申込者の属性や経済力のほか、対象物件の収益性もチェックされます。将来にわたって一定の収益性が見込めると判断されれば、ローンを借りられる可能性が高まります。
オーナーチェンジ物件は、安定的な家賃収入の実績があることが多いため、ローン審査で有利になる可能性があるでしょう。
ただし、空室が多い・家賃が低いといった収益性のマイナスポイントがあると、反対に審査に通りにくくなります。
オーナーチェンジ物件を選ぶ際の確認ポイント
オーナーチェンジ物件にはメリットがある一方、特有のデメリットやリスクが存在します。物件を選ぶ際には、デメリットやリスクをしっかりと精査すべきです。
精査を適切に行なうには、事前の情報収集が欠かせません。確認すべき情報についてはこのあと詳しく解説します。
さらに、事前の情報収集のほかに確認しておきたいのが、売り主や不動産会社の信頼性、物件価格の妥当性です。
サクラを入居させるような悪質な売り主に騙されないためにも、信頼できる取引を心がけましょう。また、単に安いというだけでの購入にはリスクがともないます。価格が安い理由を明らかにするとともに、周辺相場との価格差がどれくらいあるのかも要チェックです。相場とあまりにかけ離れている場合は気を付けましょう。
事前の情報収集
デメリットやリスクを精査するには、事前の入念な情報収集が肝心です。集めるべき情報はどのようなものか紹介します。
入居者との契約内容
入居者との賃貸借契約が、どういった内容になっているか確かめましょう。おもなチェックポイントは、家賃や契約期間、敷金、更新料、原状回復の費用負担、中途解約に関する規定などです。
賃貸経営の履歴(レントロール)
居室ごとの賃貸借条件が一覧になった資料を「レントロール」と呼びます。家賃や契約期間が書かれているほか、入居者の属性が記載されているケースもあります。レントロールをチェックすることで、賃貸経営状況の良し悪しがある程度推測できるでしょう。
現地調査(周辺環境)
オーナーチェンジ物件の居室内を確認するのは難しいですが、現地に足を運んで周辺を調査することで、周辺環境による影響の有無を推測することは可能です。
例えば、周囲に異臭や騒音を発生する嫌悪施設はないか、日当たりに影響を与えるような開発計画はないかなど、現地だからこそ確認できることもあります。
修繕履歴と今後の修繕計画
過去の修繕履歴や、将来の修繕計画も重要な情報です。
とりわけ大規模修繕計画がどうなっているか、大規模修繕に向けた修繕積立金が計画的に積み立てられているか、といった点は確認しておきたいところです。
修繕計画を盛り込むことで、より正確な資金計画での検討が可能となります。
オーナーが売り出した理由
先ほど解説したように、オーナーが物件を売却する理由はさまざまです。オーナー個人の事情であればそれほど心配しなくても良いですが、物件や入居者に問題があるといったケースも想定しておく必要はあります。
都合の悪い理由ほどオーナーから真意を聞き出すのが難しいため、不動産会社にもヒアリングするとよいでしょう。
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すぐに一定の家賃収入が期待でき、入居者募集の必要性が低いなどの特徴から、オーナーチェンジ物件に魅力を感じる不動産投資初心者もいるのではないでしょうか。しかし、実際に運用をスタートしてからは当然賃貸経営のノウハウが求められるため、ハードルが高いと感じる初心者もいるかもしれません。
不動産の専門知識がなくても取り組みやすい投資からはじめてみたい、という方には不動産投資クラウドファンディングの活用がおすすめです。
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まとめ
オーナーチェンジ物件とは、入居者がいる状態で売りに出される中古物件のことで、貸主としての権利や義務が、売り主から買い主へそのまま引き継がれます。オーナーチェンジ物件は、入居者募集のコストが不要で、新築物件よりも割安で購入できる可能性があり、ローン審査に有利な点がメリットです。
オーナーチェンジ物件が売り出される理由には、オーナー個人の事情や長期的な投資計画に基づいたもののほか、トラブルが原因のものもあるため注意が必要です。
オーナーチェンジ物件の購入を検討する場合は、賃貸借契約の内容や、レントロール、修繕履歴・修繕計画などの情報を、事前にしっかりと集めて入念に確認しておきましょう。
また、オーナーチェンジ物件への投資は少しハードルが高そうに感じる方は、不動産クラウドファンディングも選択肢として検討してみましょう。
【監修者】
名前:齋藤 彩(さいとう あや)
所有資格:AFP(Affiliated Financial Planner)、薬剤師免許
おもなキャリア:
急性期総合病院において薬剤師として勤める中、がん患者さんから「治療費が高くてこれ以上治療を継続できない」と相談を受けたことを機にお金の勉強を開始。ひとりの人を健康とお金の両面からサポートすることを目標にファイナンシャルプランナーとなることを決意。現在は個人の相談業務・執筆活動を行っている。