老後破産しないためには?老後破産のおもな原因と今からできる老後破産対策を解説
2024年01月30日
老後に生活費が不足し、破産のような状況に陥ってしまう「老後破産」。老後資産を十分に確保した人でも老後破産に陥る可能性は十分にあり、実際に生活に困窮している高齢者も多くいるのが現状です。
老後破産にならないためには、どうすればよいのでしょうか。
この記事では、老後破産の現状やおもな原因、老後破産しないために今からできる対策を解説します。
意外と身近な「老後破産」の現状
老後破産とは、老後に生活費が足りなくなり、生活に困窮してしまう状態のことです。財産をすべて失っているわけではない、という点で一般的な「破産」とは異なりますが、老後破産は破産のような状態であると考えておくとよいでしょう。
厚生労働省「令和3年度被保護者調査」によると、生活保護を受けている被保護者の約60%が60歳以上と発表されています。また、ある専門家によれば2014年時点で高齢者のおよそ16人に1人が老後破産の状態にあると推計しており、高齢化が進む中で老後破産に陥る人の数はさらに増えていると予想されます。
また、日本弁護士連合会「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」によると、破産債務者のうち25.72%が60歳以上となっており、実際に老後に破産してしまう人もいることがわかります。
このように、老後破産は非常に身近な社会問題です。たとえ老後資金が十分にあっても、老後の生活次第で老後破産に陥る人もいます。
老後破産の4つの原因
なぜ老後破産に陥ってしまうのでしょうか。老後破産の原因となる4つのポイントをみていきましょう。
収支を把握できていない・生活レベルを落とせない
退職後はそれまでの収入がなくなり、年金や貯蓄を頼りに生活することになります。
受け取れる年金は、収めた保険料によって異なりますが、令和5年度の年金月額は国民年金6万6,250円、厚生年金22万4,482円です。
また、2022年度の生命保険文化センター「生活保障に関する調査」(4,844名に調査)によると、老後の最低日常生活費は月額23万2,000円となっています。
厚生年金のみで日常生活費のすべてをまかなうのは難しいのが現状であり、多くの場合、老後の生活を維持していくためには、貯蓄を取り崩すほかありません。不足する生活費は、「年金収入額-生活費」の計算式で算出できるため、どの程度貯蓄を取り崩す必要があるのか、早めに算出しておくのがよいでしょう。
収入が減っている状況で退職前と同じ感覚で支出をしてしまうと、貯蓄もやがてなくなり、生活が成り立たなくなります。特に退職金受け取り後は、貯蓄が一度に増えるため、金銭感覚が曖昧になり、散財してしまう人も多くなります。
日常生活費をコントロールするには、収支を把握し、収入に合わせて生活レベルを落とす必要があります。収支を把握せず、生活レベルを変えられない人は、老後破産に陥りやすいといえるでしょう。
医療費や介護費が増えている
高齢になると、身体機能が衰えるため、病気やケガにより医療費や介護費が増えてしまう傾向にあります。
自身や家族の健康状況によって、必要な医療費や介護費は大きく変わります。これまで大きなケガや病気を経験したことがない人が、不測の事態によって大幅に医療費や介護費が増えてしまう場合もあるでしょう。また、人によっては、老後に親の介護費用を負担しなければならない可能性もあります。
公的医療保険や介護サービスを利用しても、自己負担がゼロになるわけではありません。
医療費や介護費の負担を抑えるためには、日頃から健康的な生活を心がけ、不測の事態に備えられるよう、場合によっては民間の医療・介護保険への加入を検討する必要があるでしょう。
住宅ローンを完済できていない
退職後、収入が減った状態でのローン返済は生活費に大きな影響を与えます。特に返済額が大きくなりやすい住宅ローンの返済が終わっていないと、家計が赤字になり、貯蓄を早く取り崩さなければならない可能性が高まります。
住宅ローン返済済みの場合でも、住宅の改修やメンテナンスには継続的に費用がかかります。退職前にローン返済予定の方も、住宅の維持管理費用も考慮したうえで貯蓄していく必要があるでしょう。
住宅ローンは、老後の生活を踏まえて契約することが大切です。退職して収入が減った状態で、どのようにローンを返済していくのかを考えてローンを契約しましょう。
教育費の負担が続いている
近年は晩婚化や晩産化により、退職後も教育費が必要になる家庭も多くなっています。また、教育費が年々増加傾向にあることから、自身の子の教育費の支払いが終わったとしても、場合によっては孫の教育費を支払う可能性もあるでしょう。さらに、成人後の子が独立せず、子の生活費の一部または全部を負担する場合もあります。
教育費負担による老後破産を避けるには、子の年齢を踏まえて、教育費を計画的に貯蓄しなければなりません。
老後破産しないために!今できること・老後にできること
老後破産を避ける方法には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、老後破産を避ける方法を4つ紹介します。自身の年齢や生活状況を踏まえて、破産を避けるためにできることはなにか、考えてみてください。
老後に向けた資産形成を始める
老後に向けて家計を見直し、貯蓄を殖やしておくと、老後破産を防げる可能性が高まります。老後の生活をイメージし、必要な貯蓄額を算出したうえで、可能な限り早く資産形成を始めましょう。
老後に向けた資産形成に使える制度として、iDeCo(イデコ)やNISA、財形貯蓄が挙げられます。それぞれの特徴を簡単に紹介しますので、資産形成に取り入れてみてください。
●iDeCo(個人型確定拠出型年金)
iDeCoは確定拠出年金法に基づく私的年金制度です。加入申し込みや掛金の拠出、運用方法の選択は加入者本人が行ないます。
iDeCoには、掛金が全額所得控除される、運用益が非課税、受取時も控除を受けられるといった税制上のメリットがあります。ただし、iDeCoの年金資産は原則として60歳になるまで受け取れない点には注意が必要です。
●NISA
NISAは、非課税口座内で毎年一定額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる制度です。そのなかには3種類、一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISA※があり、種類ごとに非課税期間や年間非課税枠、投資可能商品が異なります。
なお、NISAは2024年に大幅な制度改正を予定しています。これからNISAを始める場合は、改正後の制度内容を把握したうえで活用を検討するとよいでしょう。
※ジュニアNISAは2023年末で廃止となり2024年以降は新規投資が出来ません
●財形貯蓄
財形貯蓄には一般財形貯蓄(勤労者財産形成貯蓄)、財形年金貯蓄(勤労者財政形成年金貯蓄)、財形住宅貯蓄(勤労者財政形成住宅貯蓄)の3種類があります。老後の資産形成に向いている財形年金貯蓄を利用すると、事業主を通じて定期的に賃金から積み立てを行なうことで、60歳以降の契約所定の時期から5年以上の期間にわたって年金として支払いを受けられます。
財形貯蓄のメリットは、貯蓄で得られる利子等に対する非課税措置という税制優遇措置があることです。財形貯蓄を始めたい場合は、事業主などに相談してみましょう。
老後にも収入を得る方法を考える
定年となる65歳以降は、多くの方が退職し、収入が大きく減ってしまいます。貯蓄だけで老後の生活をまかなうのが不安な方は、65歳以降も収入を得る方法を考えておくことが大切です。
老後収入を得る方法としては、定年の年齢を引き上げ、65歳以降も働くという選択肢もあります。働く期間が増えれば受け取れる年金額も増えるため、働く期間をある程度延長したうえでの退職を検討してみましょう。
また、老後までに時間の余裕がある方は、継続的に収入を得られるような仕組みをつくっておくのもおすすめです。不動産経営や株式投資などで、働かなくても継続的に収入が得られる環境を整えておくと、老後の資産不足を防げます。
健康的な生活を送る
先述のとおり、病気やケガによる医療費・介護費は老後の生活費を大きく圧迫する要因となります。
老後を踏まえて健康に気を付け、定期検診を受けるなどして病気の早期発見に努めると、老後の医療費・介護費を抑えられるでしょう。特に退職後は外での活動機会が大幅に減るため、体力が減ってしまう方もいます。退職後も積極的に外出し、人と会う機会を増やすことが大切です。
また、医療や介護の経済的負担に備えるなら、民間の医療保険や介護保険の活用も検討しましょう。
困ったときは早めに相談する
どのような対策をとっていても、社会情勢の変化や不慮の事故などにより、生活に困ってしまう場合もあるでしょう。生活に困った場合は、公的機関などに相談し、どのように対処すればいいのか話し合うことが大切です。
生活について相談できる窓口には、以下のようなものが挙げられます。困ったときは、生活が成り立たなくなるまえに、早めに相談してみてください。
相談先 |
特徴 |
地域包括支援センター | 介護予防や総合相談・支援などを行なう機関。市町村主体 |
消費生活センターなど | 商品やサービスなどに関する苦情や問い合わせなどを受け付ける機関 |
法テラス(日本司法支援センター) | 借金や離婚、相続などの法的トラブル解決のための支援を行なう機関 |
自立相談支援窓口 | 就職や住まい、家計管理などで困っている方の相談に乗り支援する機関 |
ファイナンシャルプランナー | 家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金資金などに関する相談を受け、ライフプラン作成の支援を行なう |
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まとめ
老後に資金が不足し、生活が成り立たなくなる「老後破産」は、だれしもが陥る可能性のある問題です。
老後破産を防ぐためには、老後の生活を具体的にイメージしたうえで、早めにライフプランを立てておくことが大切です。
老後破産にならないためにも、今できることから少しずつ始めていきましょう。
【監修者】
氏名:赤上 直紀(あかがみ・なおき)
保有資格:1級ファイナンシャル・プランニング技能士
主なキャリア:元銀行員。資産運用やローンを通じて、多くのお客様のライフプランニングに携わる。現在は、編集者として金融機関を中心に、ウェブコンテンツの編集・執筆業務を行う。