年金から引かれるものとは?天引きされる税金・社会保険料について

2023年07月31日

公的年金は高齢期の生活において大切な収入源です。「老後は年金生活をする」というライフプランを組んでいる方も多いのではないでしょうか。

公的年金は、税金や社会保険料が差し引かれた金額が支給されるため、受給額のすべてを受け取れるわけではありません。そのことを知らずにいると「年金を受給したけれど、想定よりも手取り収入が少ない」という事態に陥る可能性もあります。

この記事では、年金から差し引かれる税金や社会保険料の種類や、税金・社会保険料の金額が決まる要因について解説します。老後の生活に向けたおすすめの資産形成方法についても触れていくので、ぜひ最後までお読みください。

年金から引かれるものとは?

年金から天引きされる税金や社会保険料の内容を理解し、早めに資産形成を行なうことで、ゆとりあるライフプランを組むことができます。

年金から引かれる税金や社会保険料の種類について見ていきましょう。

なお、年金から差し引かれる税金や保険料がある場合は、住んでいる自治体から通知が届きます。詳細はそちらの通知をご確認ください。

1.所得税

一定額の収入がある場合は、収入額に応じて所得税が課税されます。1年間の公的年金等の収入が、65歳未満は108万円、65歳以上は158万円を超えると課税対象です。(国税庁/2023年時点)

2.住民税

住民税の課税対象となるのは、以下の条件に該当する方です。

「65歳以上の方のうち、老齢もしくは退職を支給事由とする年金を受給している方であって、年間の受給額が18万円以上の方」

引用:日本年金機構

3.介護保険料

年金から介護保険料が差し引かれるのは、以下の条件に該当する方です。

「65歳以上の方のうち、老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金を受給している方であって、年間の受給額が18万円以上の方」

65歳以上で年金を受け取っている方は、介護保険の「第1号被保険者」として保険料が引かれます。

引用:日本年金機構

4.国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)

以下の条件に該当する方は、国民健康保険料または後期高齢者医療保険料が徴収されます。

<国民健康保険料>
①~③のすべての条件を満たす方が対象です。
①65歳以上75歳未満(※後期高齢者医療保険制度に該当する方を除く)
②老齢もしくは退職、障害または死亡を支給の理由とする年金を受給している
③年間の年金額が18万円以上

<後期高齢者医療保険料>
①~③のすべての条件を満たす方が対象です。
①75歳以上、もしくは65歳以上75歳未満で後期高齢者医療保険制度に該当している
②老齢もしくは退職、障害または死亡を支給の理由とする年金を受給している
③年間の年金額が18万円以上

引用:日本年金機構

年金から引かれる税金や保険料の決まり方

公的年金から税金や社会保険料が支給前に差し引かれる理由は、年金を受給している方が自分で納付する負担を軽減するためです。また、各自治体も個別に納付勧告などを実施する必要がなくなる利点もあります。

年金から引かれる税金や社会保険料の金額は、扶養家族の有無や、自治体によって異なります。年金から引かれるものがどのように決まるのかについて、具体的に見ていきましょう。

扶養親族等申告書をもとに決まる

扶養親族等申告書とは、年金受給者のうち、所得税の源泉徴収の対象となる方に送られてくる申告書です。所得税は、公的年金受給者に対しても原則的に源泉徴収となります。扶養親族等申告書は、その源泉徴収される所得税に対し、障害者控除や配偶者控除など各種控除を受けるために必要です。

住んでいる市町村によって決まる

国民健康保険料や介護保険料などは、住んでいる地域によって金額が異なります。例えば、介護保険料は市区町村ごとの介護サービスの見込み量などに応じて決めることとされています。

差し引かれる税金や保険料について詳しく知りたい場合は、住んでいる自治体の窓口に確認するとよいでしょう。

年金だけでは老後資金が不足する可能性がある

総務省統計局による「家計調査年報」(2021年)によると、65歳以上の無職世帯について、夫婦のみの世帯の可処分所得は月額20万5,911円、消費支出は月額22万4,436円という結果でした。また、単身世帯の可処分所得は月額12万3,074円、消費支出は月額13万2,476円でした。

可処分所得とは、税金や保険料などを差し引いた手取り収入のことです。調査結果では消費支出が可処分所得を上回っており、このような状況では、毎月の不足分は貯蓄などを取り崩して補填することになります。

公益財団法人生命保険文化センター「生活保障に関する調査」(2022(令和4)年度)でも、夫婦のみの世帯が必要と考える最低日常生活費の月額平均は23.2万円という結果が出ており、多くの世帯が「毎月23万円は必要」と考えていることがわかります。また、旅行や趣味などを楽しめる「ゆとりある老後生活」を送るためには、さらに月平均14.8万円が必要といわれています。

これらの調査結果から、年金だけでは老後資金が不足する可能性が高いといえるでしょう。老後の生活費をまかなうためには、自分自身で老後資金を準備しておくことが大切です。

老後資金を増やすための方法とは

年金は税金や保険料が差し引かれるため、手元に入るお金は額面より少なくなります。一方で、人生100年時代を迎え、老後の生活も長期化することが考えられるでしょう。

年金を受給する段階になって資金不足に慌てることがないよう、早めに資産形成をスタートすることが大切です。

ここからは、老後資金を増やすための考えられる手段を紹介します。

退職金

退職金は、老後資金の大きな収入源の一つです。しかし、近年は退職金制度が廃止されていたり、支給額が減額されたりしているケースも少なくありません。

老後のライフプランを考えるうえでも、自分がもらえる退職金の金額については、在職中に把握しておくとよいでしょう。

つみたてNISA

つみたてNISAは、小額からでも長期で積み立てられる投資方法です。商品は投資信託に限られており、運用をプロに任せられるため、投資初心者も利用しやすいというメリットがあります。また、毎年40万円を上限に、最長20年間まで運用益が非課税になる点も大きな魅力といえるでしょう。なお、つみたてNISAは2024年から新NISAとなり、現行制度から大きく変更される予定です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは私的年金制度の一種で、毎月一定額の掛金を積み立てて運用し、60歳以上に積み立てた資金と運用益の合計額を受け取ることができます。掛金は全額所得控除の対象となり、運用益も非課税のため、節税対策としても有効です。

受け取り方法は、年金か一時金かを選択できます。年金として受け取ると公的年金等控除の対象になり、一時金で受け取ると退職所得控除の対象になります。

原則として、60歳になるまで資産は引き出せない点に注意が必要です。

個人年金保険

個人年金保険は、貯蓄型の保険商品です。毎月一定の積み立てを行ない、受け取り時期になると積み立てたお金を年金や一時金として受け取れます。

商品によっては生命保険料控除の対象になるため、申し込み前に確認しておくとよいでしょう。

不動産投資

不動産投資は、不動産に対して資金を投じることで収益を得る事を目的とする投資活動です。賃貸物件による収入が安定しており今後のキャッシュフローを確保できる、不動産市場の成長や改善によっては物件の価値が上昇する可能性があるといったメリットがあります。

一方で、不動産投資を始めるには資金調達が大変だったり、不動産市場の動向などを注視する必要があるため、不動産投資初心者には少々ハードルが高く感じるかもしれません。
そのような方におすすめしたいのが不動産投資型のクラウドファンディングサービスです。

年金生活に備えて資産形成するなら「COZUCHI」

年金は税金や保険料が引かれるため、手取り収入は額面よりも少なくなります。そのため、年金だけで老後のライフプランを立てている場合は、生活資金が不足する恐れがあります。

老後生活に向けた資産形成には、不動産投資クラウドファンディングサービスの「COZUCHI」がおすすめです。

COZUCHIは不動産の運用をプロに任せられるため、投資家の皆様は「投資後は配当の振り込みを待つだけ」という手軽さで不動産投資が行なえます。また、数十億円の不動産へも1万円から投資できるため、初心者の方も気軽に投資を始められるというメリットもあります。COZUCHIは不動産の購入手数料や運用手数料も無料です。(換金手数料のみ必要)

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まとめ

公的年金は税金や社会保険料が引かれるため、額面よりも受給額が少なくなります。そのため、年金で老後の生活資金をすべてまかなうのは難しく、多くの人が貯蓄を切り崩して生活費に充てています。

老後にゆとりある生活を送るためには、個人での資産形成が欠かせません。貯蓄に加え、つみたてNISAやiDeCoなどの非課税制度を活用したり、投資での資産運用を行なったりして、計画的に資産形成を進めていきましょう。

【監修者】

名前:金子 賢司
東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、業務中の交通事故をきっかけに企業の福利厚生に興味を持ち、社会保障の勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はジャザサイズ。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信している。
保有資格:CFP